ならまちと呼ばれる風情ある街並みの一角に「なら格子の家」があった。高い天井と深い奥行きは、昔からの造りを思わせる。
中に入って後ろを振り返ると、外の明るさと対照的に内側には暗闇の部分が強調される。
「陰影礼賛」。谷崎潤一郎の言葉を思い出させる。
居間の奥に箱階段があった。写真では見たことがあったが、実物は初めて。階段好きにはたまらない。
下には文机があり、その上には生け花と手毬が。いい感じ。
中庭には石の渡り道が設えてある。お寺にも通じる風情だ。
二階に上がった。格子窓から差し込む明かりが美しい。
階段を降りる時に目に入る壁には、仏像のポスターが。やっぱり奈良らしい。
さりげなく置かれた鉄瓶も落ち着いた雰囲気にピッタリ。
外に出て、歩いているとあちこちの民家の軒先に赤い布を丸めたようなものがぶら下がっている。これは「身代り申」というもので、災いが襲いかかるのを身代わりとなって防いでくれるお守りなのだという。
その身代りに加えて、わらじのふちだけのようなものも飾られていた。その曰くについては聞き忘れてしまった。
しばし一時代昔に帰ったような雰囲気を味わう通りだった。