中門横の受付から境内に入る。ちょうど桜の時期、花びら越しに大仏殿が現れた。
門に掲げられた几帳の文様は丸形に鳳凰が描かれ、その下に雲がなびいている。これは正倉院文様を基にデザインされているようだ。
大仏殿に入る前に注目したいものがある。金銅八角灯篭だ。
境内の建物はほとんどが完成から1300年も経過して、何度もの改修修復を繰り返してきているが、開眼供養の時に造られたこの灯篭だけはほぼ原形のままの貴重な財産。もちろん国宝に指定されている。
名前の通り8つの面を持つが、うち4面には音声菩薩と呼ばれる菩薩像が彫刻されている。
まず、横笛を吹く菩薩。
次に尺八を鳴らす菩薩。
3番目はシンバルような打楽器を打ち鳴らし、
4番目は笙の笛だ。
広い境内で楽器を使って音楽を奏でるという伸びやかな菩薩たちに迎えられて、大仏殿に歩を進める形になるわけだ。
なお、残る4面には獅子の姿が彫り込まれている。
境内ではまさに満開の桜。
その花びらを通して、風格十分の大仏殿が立ち上がる。