モンマルトルの丘の西側に ムーラン・ド・ギャレトの風車がある
ここは19世紀後半にオープンした ダンスホールのついた酒場だ
この場で思い出されるのは 印象派の画家ルノアールの代表作
「ムーラン・ド・ギャレットの舞踏会」
柔らかな日差しの降り注ぐ 広場に集う庶民たちが
楽し気にダンスに興じる 幸せの風景だ
ルノワールはこの酒場の姿に魅せられ 近くにアトリエを借りて毎日ここに通った
外光の明るい昼下がりと 透き通る陰影との対比を意識しながら
酒とダンスに心も弾む人たちの 表情を見事に描き切った
モンマルトルは パリの中心部から離れた田舎の地だった
なのにこんな豊かな集いが なぜ出現したのだろうか
それには時代の背景が 大きくかかわっている
当時ナポレオン3世による パリ大改造計画が進んでいた
パリ中心部を再開発して 全く新しいパリを造ろうというもの
最も影響を受けたのは 開発の支障となる貧しい労働者たちだった
中心部に住んでいた彼らは 未開発のモンマルトル周辺に追われた
また貧しかった若き芸術家たちも 同様に中心部から排除された
その結果庶民たちの ささやかながら大らかな楽しみの場と
光を描くことに目覚めた若き画家たちの テーマとが奇しくも合致して
名作が生まれ モンマルトルが新しい名所となって行った
こうした歴史を思い出させてくれるのが モンマルトルの風車でもある
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます