新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

奈良・寺社巡り 唐招提寺① 千体の仏様を持つ廬舎那仏、千本の手を持つ千手観音。金堂内の巨大仏に圧倒される

2022-06-12 | 奈良旅

 

                               (JRキャンペーンポスター より)

 唐招提寺は、わが国で初めて正しい仏教の戒律を身につけるための修行の場として創設された寺だ。

 指導に当たったのは、唐の高僧だった鑑真和上。5度も渡航に失敗し、その間失明してしまうという不幸に見舞われながらも、不屈の意志でついに754年来日を果たし、我が国の仏教布教に大きな功績を残した。

 その鑑真和上の寺が、759年に創建された唐招提寺だ。

 南大門を通るとすぐ眼前に金堂がとらえられる。創建以来5回の大改修が行われたが、2009年の平成大改修を終えて、すっかり清新な姿に戻っている。

 その屋根の両端に光るのは、屋根飾りの鳩尾(しび)。井上靖が鑑真の生涯を描いた著書のタイトルにもなった「天平の甍」だ。

 正面は8本の柱によって支えられている。

                              (NHK8K国宝へようこそ より)

 金堂内には巨大な像が安置されている。本尊は廬舎那仏座像。座像なのに3mもある大きさで、光背を含めれば5mを超す。圧倒される迫力だ。

                               (NHK8K国宝へようこそ より)

 その迫力の大きな要素は、光背にびっしりと居並ぶちいさな仏様の姿だ。当初は実に1000体の仏様があったとか。現在でも864体が盧舎那仏の周囲から、対面する私たちを見据えている。

 経典によると、「廬舎那仏は蓮華の中央に座し、自らの体を千体の釈迦如来に変化させて、蓮華の一葉一葉に出現させる」という。

                           (カラーブックス薬師寺・唐招提寺  より)

 もう1つ、さらに驚きの像がある。千手観音立像。これも537cmの巨像。しかも本当に千の手を持つ極めて珍しい最古最大の千手観音像だ。

                              (NHK8K国宝へようこそ より)

 通常千手観音像といっても42本の脇手で代表されるのだが、この観音像はさらに911本の小手が放射状に広がって合計953本の手を備えている。もともとは本当に千本の手があったらしい。そしてそれぞれの手に人々の病をいやすためや願いをかなえるための様々な持ち物を持っている。

                          (仏像に会う 53の仏像の写真と物語 より)

 千の数字は「数えきれない」ことを意味する。つまり観音様は無限の功徳を持って人々を救う存在なのだということを示唆しているという。 

 そんな巨大仏の発する威厳と威圧感で、堂内ではただ、立ちすくむだけだった。

 

 

 

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奈良・寺社巡り 東大寺⑦ 二月堂の舞台で、暮れてゆく奈良の風景を楽しんだ。

2022-06-09 | 奈良旅

 

 東大寺・二月堂では、張り出した舞台の椅子に座って休憩を取りながら、眼下に広がる奈良の景色を楽しんだ。 まずは大仏殿の屋根。

 境内に広がる桜の合唱。

 

 すぐ手前にも咲きこぼれる花の大群が・・・。

 遠方には霞が出てきたようだ。

 釣り灯籠には風情が感じられる。

 舞台にある烏帽子がかすかな日差しに反応して輝いていた。

 社殿にはこんな板絵が掲げてあった。

 舞台横には背の高い灯篭も飛び出している。

 反対側の建屋には鬼の面が下界をにらんでいた。これは迫力あるなあ。

 

 その先には、屋根のついた階段があった。長谷寺と同じように雨露も気にならずに上り下りできる階段だ。

 石造りの階段で、長年使われてきてあちこちすり減っているのが、歴史を感じさせる。

 そうこうしているうちに日が傾きだし、空が色づき始めた。ぼちぼち街に戻ろう。

 

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奈良・寺社巡り 東大寺⑥ 不空検索観音像の両掌の間には、水晶玉がきらり

2022-06-05 | 奈良旅

 次は坂道を上り法華堂から二月堂を目指した。途中、石灯籠の列が続く。

 坂上に建物が見えてきた。

 法華堂だ。前の回で触れた法華堂。この堂は天平年間に創建されており、東大寺の中でも最古の建物。

(東大寺パンフレット より)

 中にあるのがこれも国宝の不空検索観音像だ。不空検索とは投げ縄上の罠のことで、不空(余すことなく)検索ですべての人びとを救う観音様だ。

 

                        (週刊朝日百科 日本の国宝 より)

 それにしてもこの観音様は豪華絢爛だ。全身が金で覆われているのはもちろんのこと、銀製の宝冠には実に2万個以上の宝石類が埋め込まれているという。

                        (天平の楽園 東大寺 三好和義 より)

 さらに、前で合掌する両掌の間にも、水晶玉が挟まれていた。

                         (東大寺パンフレット より)

 以前にはこんな形で日光月光像も観音像の両脇に位置していた。

 法華堂を出ると、二月堂が見えてきた。大きな階段が待ち構えている。

 でも、大階段は避けて横にあった細めの階段から上を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

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奈良・寺社巡り 東大寺⑤ 日光月光菩薩像に四天王像。国宝勢揃いの絢爛豪華な東大寺ミュージアム

2022-06-02 | 奈良旅

 大仏殿を出て少し戻り、近年新しく完成した東大寺ミュージアムに入った。ここには豪華な仏像群が並んでいた。

 まずは日光月光像。本来は法華堂の不空検索観音像の両脇に並べられていたが、ミュージアム完成によってこちらに移された。

                  (天平の楽園 東大寺 三好和義 より)

 向かって右に日光菩薩。穏やかな表情を浮かべ、そっと手を合わせる姿は、それを見る人にも心の落ち着きを与えてくれるような安寧の気持ちを伝えている。

 (週刊朝日百科 日本の国宝 より)

 胸元はわりと広く開いて、衣服の襞が胸から全身にかけて太い紋のように流れ落ちている。

                      (天平の楽園 東大寺 三好和義 より)

 左の月光菩薩。両手を合わせる姿は同じだが、心持ち物思いに沈むかのような表情に見える。

                       (週刊朝日百科 日本の国宝 より)

 胸元の開きは狭く、衣紋も袖の周囲に限定されている。

また、元々は戒壇院に安置されている四天王立像が、建物の修理のために臨時にここに並んでいた。こちらは日光月光像とは対照的な表情だ。

 (週刊朝日百科 日本の国宝 より 以下同)

 まず、カッと目を見開いて怒りを全身に湛えた増長天。

 真一文字に結んだ口元の緊張感が熱気をはらむ持国天。

 現状を憂うるかのような眉の張りに引きつけられる多聞天。

 すべてを見通すごとくに、まなじりを決して立つ広目天。

いずれもただならぬ迫力で、全身から気迫がみなぎっている。

 

亀井勝一郎は、自らの著書に「四天王の美は戒壇院を頂点とする」と記している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      

 

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