極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

美肌のバイオ工学

2012年05月14日 | ネオコンバーテック

 

 

     

     

      そら豆の殻一せいに鳴る夕 母につながるわれのソネット / 寺山修司

 

 

これも気になっていたいたのだが、「あさいち」でクミンシードオイル料理を紹介していたのだが、
確か、河合真理
料理研究家の「白身魚のエスニック風」というものだが、クミンを栽培しているもの
で興味を引いた。作り方は、鍋
またはフライパンにオリーブ油を入れて中火で加熱し、少し泡が出て
きたらクミンシードを加え、はじけて焼き色が
つくまで加熱し、火を止めるて、そのまま冷ましビン
などで保存しクミンオイルをつくるというもの。もうひとつ、フラ
イパンなどにクミンシードを入れ、
香りが出てカラカラになるまで煎って粗熱をとり、指やヘラでザッとつぶすし、塩
を入れて混ぜ合わ
せてクミン塩をつくるというものだ。ハーブ栽培していなければ市販のオイルやホールあるいはパウ
ダーを買えば
済む。

   

クミンシードは加熱することでクミンアルデヒド(cuminaldehyde/(H3C)2CHC6H4CHO)という香りの
主成分が揮発し香り高くなるのだろう。クミンは地中海沿岸原産のキンポウゲ科クロタネソウ属の一
年草。古くから
高度な民間薬として使われていた。乾癬治療や免疫系の皮膚病(アレルギー性)に有
効で、老化の進行・湿疹やニキビなど様々な皮膚トラブルに有効だとかいうが使ったことはない。古
代ローマでは、毒ヘビやサソリの刺し傷などの治療に使われたとか、特にブラッククミンシードオイ
ルがツタンカーメンの墓の中から発見されたということだ。栄養学的には、
ビタミンA・B1・B2・B6・
C・ナイアシン・フォラシンなど豊富で様々なビタミンを含み、カルシウム・カリウム・鉄・マグネ
シウム・セレン・銅・リン・亜鉛など多くのミネラルを含んでいるという。

Cuminum cyminum - Köhler–s Medizinal-Pflanzen-198.jpg

料理にはインド料理には必須のスパイスで、ガラムマサラやチャツネを作る際にもよく使われ、テク
ス・メクス料理ではチリコンカーンのチリパウダーにも配合されるし、トルコ、レバノン、モロッコ、
スペイン、満洲料理でもよく用いられ、スープ、パン、ケーキ、ピクルス、ソーセージなどにも用い
られ漢方では胃薬として用いられるオールラウンドな香料なのだが、花を開花を楽しみ、できれば、
収穫した種をクミン塩やオイルとして楽しめればと思っている。

 

 
【イタリア版食いしん坊万歳:ソラマメのソース】

   Salsa di fave

 

食 材:新鮮で柔らかいソラマメ300 g、新鮮なペコリーノチーズ80g、にんにく2片、生のミント、
    オリーブ油

作り方:さやからはずしたソラマメは、新鮮で柔らかいものでなければならない。それからさらに薄
    皮をむいて乳鉢に移し、ニンニク、ミントの若葉ひとつかみを加えてよくすり潰し、ペコリ
    ーノおろしチーズを加えて混ぜ合わせ、オリーブ油を徐々に線状にたらして、適当な固さの
    ペースト状にのばす。このソースは、イタリア北西部リグーリアの海岸地帯(リビエラ)で、
    マロ(maro)と呼ばれている。ゆでたり、オーブン焼きにした野菜料理に非常によくマッチ
    する。




5月といえば、仕事が終わり生ビールの突き出しに出される空豆の塩ゆでを放り込み、店主と世間話
を交わすのが楽しみだったことを思い出すほどに翡翠色の空豆が印象的だ。イタリア料理にも空豆の
スープがあるがこれはシンプルで一押しだ。家の摘みたてのミントを潰し頂く季節がもう目の前に来
ている。

【艶肌のバイオ工学】

クミンオイルが肌によいことを知ったのだけれど、そのメカニズムまではわからなかった。そこでこ
こでは美肌つまり肌艶を保つためのメカニズムついて考えてみよう。皮膚は、体内の水分蒸散抑制や
外界からの体内防御を行う大きな組織。皮膚にはコラーゲン、ヒアルロン酸、セラミドなどが存在す
る。栄養が皮膚にどのような影響を与えるのかについて検討したデータがある。摂食するタンパク質
のアミノ酸バランスの悪化は、コラーゲン、ヒアルロン酸量を減少させ、高脂肪食摂食は、アディポ
ネクチンなどの減少を介して、コラーゲン、ヒアルロン酸に加えて、セラミドを減少させたというも
のだ(大石裕一『
栄養条件は皮膚機能を制御する』バイオサイエンスとインダストリー vol.70 No.3)

※アディポネクチンの作用


※「「アディポネクチンと糖尿病・心血管病の分子メカニズム」 門脇孝、山内敏正、窪田直人

例えば、(1)ラットにアミノ酸バランスの良いカゼインを含む食餌(2)アミノ酸バランスの悪い
グルテンを含む食餌(3)タンパク質を全く含まない食餌の3種類の食餌を1週間給餌し、ラット背
部皮膚からコラーゲン、ヒアルロン酸およびセラミドを抽出し、その量を測定したところ、I型トロ
ポコラーゲン量は、カゼイン食(1)に比して、無タンパク質食で顕著に減少(3)、同様ににその
mRNA量も減少。Ⅲ型トロポコラーゲンおよびそのmRNA量とともに、グルテン食(2)および無タン
バク質食(3)ともに顕著に減少した。Ⅰ型およびⅢ型トロポコラーゲンの減少は、3日間の食餌の
給餌でも起こった。

ヒアルロン酸量は、コラーゲンよりも大きな影響を受けた。グルテン食の1週間摂食で、カゼイン食
の約半分にまで減少した。この減少率は、無タンバク質摂政と同等であった。また、その合成酵素の
mRNA量は、has2のmRNA量ではカゼイン食に比して、グルテン食で約17%、無タンパク質食で約5%に
まで減少した。has3のmRNA量も同様に顕著に減少した。ヒアルロン酸の減少は、タンパク質栄養条件を
1日間変えるだけで起こった。このことから、タンパク質栄養の変動は、速やかにコラーゲン、多糖
であるヒアルロン酸に大きな影響を与えることがわかったという。



これらのことから、栄養条件が悪い場合に創傷治癒が遅延することに、Ⅲ型コラーゲンの合成抑制が
関わっていることを示唆している。皮膚の単位面積当たりの重量はタンパク質栄養の悪化で減少する
が、これは、保水力の大きいヒアルロン酸の減少によると考えられた。一方、セラミド量は、タンパク
質の質や量によって変化することはなかった。以上のことから、タンパク質の摂取が皮膚代謝にとっ
て、非常に重要であることが判明する。

※メッセンジャーリボ核酸(mRNA)

高脂肪摂食と皮膚

これらのことから5%から25%の動物性脂防食を4週間与えたラットの背部皮膚中のI型トロポコラー
ゲン量とそのmRNA量は、摂食脂肪量依存的に減少し、ヒアルロン酸量も依存的に減少する。ヒアルロ
ン酸合成酵素のうち、ヒアルロン酸酵素has2のmRNA量も同様に減少したが、興味深いことに、表皮に
多いヒアルロン酸酵素has3のmRNA量は逆に増加したという。皮膚中のTGF-β1mRNA量を測定したとこ
ろ、摂食脂肪量に依存して減少)。さらに、表皮細胞でTGF-β1の遺伝子発現を促進するアディポネクチ
ンの血中量を測定したところ、摂食脂肪酸依存的に減少した。TGF-β1は、ヒアルロン酸酵素Has2 mRNA
量を増加させ、ヒアルロン酸酵素Has3 mRNA量を減少させるレアディボネクチンは、皮膚線維芽細胞に
作用してI型コラーゲン合成やヒアルロン酸合成を促進することが報告されている。

 

これは、脂肪の摂食によって、血中アディポネクチンが減少し、それが直接的にI型コラーゲンやヒ
アルロン酸酵素has2の合成を抑制する、あるいは皮膚TGF-β1量を減少させ→I型トロボコラーゲン量、
ヒアルロン酸酵素has2の減少、同じくhas3の増加を導いたと考えられた。皮膚ヒアルロン酸量は、has2
による合成の方がhas3による合成よりも大きく依存すると言われていることから、高脂肪食摂食により
減少したと考えられている。

皮膚中の脂質量は高脂防食摂食によって減少した。特に、セラミド量の減少が顕著だった)。セラミド
合成に関わる酵素SPTのmRNA量、コレステロール合成の律速酵素HMG- COA reductase も減少した。脂
肪酸合成酵素(FAS)のmRNA量は変化しなかった。一方、β酸化の律速酵素であるCarnitine palmitoyl
transferase(CPT)-1のmRNA量が完遂した。このことから、皮膚中の脂質量減少はβ酸化の促進が
関わると考えられ、
以上のことから、脂肪の摂食過多も皮膚代謝に悪影響を及ぼすことが考えられる
という。特に表皮脂質は、皮膚の大きな役割である体内の水分の蒸散を防ぎ、さらに外界から体内を
守ることに大きく関わると考えられていて、この脂質量の減少を抑制することが皮膚さらには身体の
機能維持に重要だとされる。

このように、皮膚は栄養状態に大きく影響される組織である一方で、皮膚は、体内と外界を隔てる組
織なので、皮膚代謝を正常に保つことは体内を守るために重要→
老化とともに、皮膚のコラーゲン合
成能、ヒアルロン酸量は減少すると言われているが、タンバウ質栄養の悪化や、高脂肪食の摂食は、
皮膚老化と同様の結果をもたらすことが示されたという。従って、(1)タンパク質を摂取しないダ
イエットや(2)脂質を多く含む食品の摂取過多は、老化と同様の皮膚状態を招く
。と、考えられる。



以上、今夜のブログはクミン、ミントのハーブを話の媒体として、エスニック、イタリア料理に話題
展開し、クミンオイルの効用から美肌(艶肌)の維持・亢進にかかわる栄養条件と皮膚機能の科学ま
で話が拡張した。そこでどのように考えたか? 工業的な表面加工は、外部環境からの加工方法であ
って、バイオ学的な表面加工は内面的な加工法であること、そして、『ネオコンバーテック』という
概念はそのため修正する必要があるということに気づいたというわけだ。コラーゲンは外からしか摂
取できないという論理は、カゼインの内部摂取でも同等、あるいはそれ以上の可能もあるのではとい
う道筋がみえてきたということに。また、ネグロな、有機無機工学にはない方法がバイオ(生物)工
学にあるという極めて常識的な結論に辿り着く。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする