極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

オフィスグリコとターミネータ種子

2014年08月06日 | 時事書評

 

 




● お菓子でリフレッシュ:オフィスグリコ

江崎グリコは5日、企業のオフィスなどに専用ボックスを置いて菓子やアイスクリームを販売する「オ
フィスグリコ」事業が好調なことを受けて、2017年度に同事業の売上高を13年度(45億円)比で3割
増やすことを目指すと発表。 同事業がスタートした02年度の売上高は3億円だったが、仕事中に小腹が
すいた時に手軽に買えることなどが受けて需要が拡大した。13年度は収支も同事業開始以来、初の黒字。
売上げ拡大に向けて、現在の約10万事務所のボックス設置先を17年度には12万事務所に拡大。現在はサ
ービスを行っていない北日本や海外への展開も検討すという。富山の「置き薬」を連想させる、グリコ
の「置きおやつ」、関西のおばちゃんの「飴ちゃん外交」?ともリンクする、現在日本社会の、コミニ
ュケーションツールとして世界展開する?かもしれない(2014.08.05 毎日新聞)。
 

 

 

【遺伝子組み換え作物論 15】

 

  The Future of Food - Trailer


                           
 弟5章 遺伝子組み換え作物の危険性 

    ⑤ 自殺する種子

  自殺する種子(ターミネーター)

  「ターミネーター技術」とは、遺伝子を導入することで植物に種子をつくらせないようにする技
 術である。バイテク産業はその目的について、「遺伝子組み換え作物が自生して、拡散しないよう
 にするための技術である」と言い訳してきた。しかし、遺伝子操作によって作物が種子をつくらな
 くなれば、農家は種子を自家採取できなくなる。したがって、「この技術の目的は、遺伝子組み換
 え種子の特許権を保護することにある」と批判されている。種子を生産する方法を支配してしまえ
 ば、種子生産は農家の畑からバイテク企業の本部に移り、農家は種子の生産を完全に企業に依存し
 なければならなくなる。ニ一ューヨーク・タイムズ」組は次のように批判する。

  「モンサント社などの企業は、ターミネーター技術を導入することで、自然が人間に与えた最も
 偉大で共通の財産を私物化することになる。一万年前から始まった、農業を通して改良してきた作
 物の遺伝子を、企業が独占するのだ」

  ターミネーター技術は、農民にも消費者にもまったく役に立だないし、自然にとっても大きな脅
 威である。もしも、この遺伝子が野生種に転移したら、多くの植物が絶滅してしまうだろう。国連
 食糧農業機関(FAO)でさえ、「ターミネーター種子は、非人道的である」という声明を出した。
  さらに問題なのは、米国鳥務省とモンサント社が買収した企業が、納税者の税金を使ってターミ
 ネーター種子を関発したことである。1999年には世界中の貧困層に大きな影響を与えることを
 考慮してか、開発を一時中止することが世界的に同意されたが、「アストラゼネカ社」と「ノバル
 テイス社」(両社は2000年に統合、Tンンジェンタ社」が設立された)が特許
権を取得してい
 る。モンサント社もまた、「ターミネーター技術は使用しない」と言いつつ、「念の
ため」と称し
 て特許権を取得している。さらに恐ろしいのは、米国農務省が78ヵ国でターミネー
ター技術の特
 許権を取得していることだ。この種子が販売されることになれば、米国農務省も売上高の5%を特
 許使用料として受け取ることができる。米国農務省の広報官ウィラード・フェルプスは次のように
 語っている。
 
  「米国農務省としてはこの技術が世界各国で広く認可され、できるだけ早く多くの種子会社に利
 用してもらうことを望んでいる。米国の種子開発企業が所有する特許品の価値を高めて、新興国や
 途上国で、新たな市場を開拓するのが我々の目標だ」
  世界で第8位の種子開発企業「デルタ・アンド・パイン・ランド社」のハリー・コリンズも20
 00年1月に「ターミネーター技術の開発は遅らせない。商品化することが目的だ」と述べた米国
 のNGO「国際農村発展基金(RAFI)」は「各国の政府が禁止しなければ、ターミネーター技
 術はやがて商品化されてしまうことになる」と警告する。
  なぜ政府はターミネーター技術を禁止しないのだろう。なぜ公益よりも巨大企業の利益を優先す
 るのだろう。そして、なぜ政府は富裕で権力をもつ者の声しか聞き入れないのだろう。これこそ、
 遺伝子組み換えをめぐるもっとも本質的な疑問なのである。

   トレイター技術

  ターミネーター技術と同様に「トレイター技術」も、種子をつくる能力など、種子の形質を自由
 に操作しようとする技術である。種子に特殊な化学薬品処理をほどこすことによって、医薬品とし
 ての性質を発現させたり、あるいはアレルゲンを発現させないようにする。この技術開発に積極的
 なのも「ノバルティス社」で、独自の化学薬品を散布した種子だけを生育させる技術をもっている。
  言い換えれば、まさに化学物質漬けの種子であり、この作物が生存するためにはノバルティス社
 の化学薬品が必要なのである。つまりは、「ノバルティス社」の利益のためだけに生産された種子
 なのである。
 
  最も警戒すべきトレイター作物としては、病原菌の感染力を調べるために、あえて免疫力を低下
 させた植物がある。万一、この形質が主要な作物に転移したら、予想もつかない大惨事が起こるだ
 ろう。これまでバイテク企業が実際に引き起こしてきた数々の混入事件を考えると、決してありえ
 ないことではなく、恐ろしい作物となる可能性がある。

 

※ Method of controlling the fertility of a plant US 6147282 A
※  Wheat variety W010712A1
※  Plants and seeds of hybrid corn variety CH637365 US 8796552 B2
※  Maize variety hybrid X08B719  US 8796521 B1

 

 




   ⑥ 特許料を請求される農民

  もしも遺伝子組み換え作物を阻止しなければ、バイテク産業が将来、どのような社会をつくりだ
 すのか、それを実証する事件がカナダで起きた。「消費者が主役」の時代は終わり「笑顔でサービ
 ス」どころか、「笑顔で企業に告訴される」時代が到来するのだ。
  カナダ西部の農家で73歳になるパーシー・シュマイザー氏は、普通のナタネを生産していたが、
 近隣から遺伝子組み換えナタネの花粉が飛来して、交雑が起きてしまった。もともと彼は、交雑を
 防ぐために種子の自家採取をやめて、わざわざ新しい種子を毎年購入していたのに、収穫したナタ
 ネの20%に遺伝子組み換えナタネが混入していたのである。さらに不幸なことには、モンサント
 社が彼の畑を調査して、遺伝子組み換えナタネを見つけだしたのである。モンサント社は、遺伝子
 組み換えナタネを生産する農家にはライセンス料として、0.4ヘクタールにつき一五カナダドル
 を請求しており、もしも正式に契約を交わしていなければ特許権の侵害にあたるとして農家を告訴
 していた。その遺伝子組み換え作物を農家が意図的に栽培したのか、それとも交雑によるのかは問
 題ではなかった。
 
  信じがたいことに、モンサント社はシュマイザー氏を告訴した。企業にとっては都合のよいこと
 に、特許法の下では、交雑によって生まれた作物でさえ、すべてモンサント社の財産と認められた。
 農家には何の権利もないのである。モンサント社は、25年にわたる種子の研究費として60万カ
 ナダドルを請求してきたが、それはシュマイザー氏の蓄えと同額だった。『エコロジスト』誌によ
 れば、「モンサント社は、シュマイザー氏が遺伝子組み換え種子を違法に人手していないことを知
 っていたがそれは重要な問題ではない」と後に語ったという。
  それでもシュマイザー氏は、「モンサント社が自社の商品を管理できない以上、特許料を請求す
 る権利はない」と確信していた。米国の民間による環境問題研究所「ワールドウォッチ研究所」の
 農業専門家ブライアン・ハルウェイルも、「他人の土地にゴミを投げ捨てておきながら、。盗まれ
 たこと主張するようなもので、まったくばかげている」と批判する。そこでシュマイザー氏もまた、
 モンサント社に対抗して訴訟を起こし、最高裁にまで上告した。シュマイザー氏は、モンサント社
 が彼の畑から採取したナタネに含まれていた遺伝子組み換えナタネの混大宰について、モンサント
 社は嘘をついていると考えていた。彼はモンサント社が提出したサンプルには疑問があると主張し
 た。なぜなら彼自身が採取して裁判所に提出したサンプルには遺伝子組み換えナタネが混入してい
 なかったからだ。現在シュマイザー氏は、バイテク企業がどのように農民の権利を奪っているのか、
 世界中を回って自分の体験談を語っている。


  2002年にモンサント社が訴訟を起こしたり、脅したりしている農家の数は、北米だけで15
 00件にのぼる。ミシシッピ州のある農家は、モンサント社に特許権の侵害として78万ドルを支
 払うことを裁判所に命じられた。そのため多くの農家はしぶしぶモンサント社との示談に応じてい
 るのが現状である。農民を悪者と決めつけるモンサント社に対して、農民には法的に対抗する
だけ
 の余力がないからである。

 
  モンサント社がこれまでも一度も敗訴していないのには理由がある。彼らは農民を屈服させるた

 めに、年間1千万ドルも費やして、75人が調査を担当している。さらにモンサント社には告訴す
 る相手を見つけるための武器がある。モンサント社のスパイ役となった農家に近隣の農家を見張ら
 せて密
告させるのだ。その結果、米国の農家ケム・ラルフは八ヵ月間も留置場に入れられ、170
 万ドルの支払いを命じられた。メキシコでもモンサント社は、「契約せずに遺伝子組み換え作物を
 栽培した場合には、9ヵ月間の禁固刑に処せられる可能性がある」と宣伝して、直接、農民に脅し
 
かけている。
 
  こうして多くの人々が、種子に特許権を認めるのは不当であると感じている。何世紀にもわたっ
 て種子を自家採取してきた無実の農民を、モンサント社は犯罪者に仕立て上げるのだ。いったい本

 当の犯罪者とは誰なのだろうか。巨額の罰金を支払わせて刑務所送りにすべきなのは、モンサント
 社の方ではないだろうか。

  The Future of Food - TIntroduction

 

   ⑦ 食品生産から流通まで支配する企業

   企業の奴隷になる農民

  今後も農家がさらに企業活動に組みこまれることになれば、遺伝子組み換え作物を生産するため
 に農家は40~60%以上も価格の高い種子を購入しなければならないし、企業に縛りつけられて
 中世の農奴と同様の存在になってしまう。カナダ・モンサント社との契約条件には、「当社の遺伝
 子組み換えナタネを生産する農家は、当社のブランドの除草剤を使用しなければならない」と記載
 されているのだ。
 
  しかも2年間、遺伝子組み換え作物を栽培した後に、再び一般の作物仁尻る場合には、その後の

 3年間、バイテク企業の検査を受けることになる。ところが、前年に栽培した遺伝子組み換え作物
 の種子は畑にこぼれて除草剤に枯れずに翌年も自生してしまうため、完全に駆除するのは不可能で
 ある。ナタネの種子なら、休眠状態に入って10年後に発芽することもある。こうした場合にも農
 家は、特許料を支払っていなかったとして訴えられる可能性があるのだ。結局、一度、遺伝子組み
 換え作物を栽培したら、一般の作物に戻ることはできなくなる。一度でも契約書に署名したら、抜
 けだすことができないのだ。遺伝子組み換え作物を生産する農家も、そうでない農家にも選択肢は
 ない。モンサント社に訴えられないためには、遺伝子組み換え種子の使用を増やすか、一般の作物
 の栽培をあきらめるしかないのである。

 
  シュマイザー氏は次のように警告する。


  「モンサント社との契約は、地球上で最も悪質で抑圧的な条件だ。ところが、農民としての権利

 や自由が奪われているのに、北米の人々は何か起きているのかを知らない。もっとも不愉快なのは、
 遺伝子組み換え作物の栽培をやめても、その後の三年間は。モンサント警察〃が畑に侵入し、倉庫
 の中まで無断で検査することだ。ご沢して契約書に署名するな。種子を自家採取する権利を絶対に
 放棄するなこと私は農家に訴え続けている。契約を結んでしまえば農家は奴隷となって土地に縛り
 つけられてしまうのだ」
 
  シュマイザー氏の推計によると、北米では少なくとも四万戸の農家が調査されてきた。この仕事

 を担当させるため、モンサント社は元警察官を35人も雇用している。農家のロドニー・ネルソン
 は米国の現状について次のように語る。

 「モンサント社は、。一粒でも遺伝子組み換え大豆が確認された場合には、特許権の侵害にあたる

 可能性があること我々に伝えてきた。ところがすでに米国では非遺伝子組み換えの種子を入手する
 ことは不可能になっている。種子会社が販売する種子には、多かれ少なかれモンサント社の遺伝子
 組み換え種子が混入しているのだ」
 
  結局、モンサント社は米国で一般の吉見を栽培する農家なら誰でも告訴できる。しかも、こうし

 たあるまじき行為をしているのはモンサント社だけではない。シンジェンタ社も、農家が同社の種
 子を使用する場合には、同社の除草剤を使用することを強要しているのだ。 
  BASF社(ドイツの化学企業)で種子保護部門の代表を務めるフリードリッヒ・フオーゲルは
 「農家に利益をもたらすことが必ずしもバイテク企業の目的というわけではない」と明確に言いき
 り、「当社の作物を生産している限り、農家は利益を上げられる。その代わり、遺伝子組み換え企
 業は農家に対して、どのように作物を生産すべきか指示することができるのだ」と述べている。
 
  問題なのは、企業が食品の生産から流通に至るまですべてを支配しようとしていることにある。

 政治家やマスコミもまたバイテク企業と共謀して活動している。カナダ・ケベック州の農業大臣
 ーミ・トゥルーデルは次のように指摘する。

 
  「我々の世界は、まるで中世の時代に戻ったようだ。農民たちの生活は、強い権力をもつ唯一の

 企業が決定している」
  バイテク企業もこの事実を認めている。モンサント社の副社長ロバート・フレーリーは1996
 年に次のように語っている。
 
  「今、起きていることは、種子会社の単なる吸収合併ではない。実際には、食品の生産から流通

 まですべてを統合しつつあるのだ」

  


                    リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』

                                      この項つづく
  
 

 

  BBC Future of Food - Part 1: India

 

  ● 今夜の一曲

ヨーゼフ・アントン・ブルックナー(Josef Anton Bruckner, 1824.09.04 - 1896.10.11)は、オースト
リアの作曲家。
西洋音楽史の中では後期ロマン派に位置づけられ、作曲技法的にはベートーヴェン、
シューベルトの影響を、管弦楽法、和声法ではワーグナーの影響を受ける。この交響曲八番は「すべ
ての交響曲の中で最も優れた交響曲は何か?」という話題になるほど名前が挙がる傑作。
1896年10月
11日、享年72、ウィーンで生涯を閉じる。生涯を通じて非常に信心深いローマ・カトリック教徒で
あり、晩年に至るまで多くの若い女性に求婚したが、結婚することはなかったという。


●「ターミネーター技術」「トレイター技術」も続々特許申請されているようだが、これらの事前、
事後・経過評価調査は充全に行われているのだろうか?日本列島の襲った福島原発事後例のようなこ
とにはなりはしないか心配ではあるが、決め手となる安心情報は決め手に欠けているようだ。時間が
許される限り自分なりに調べて行きたいと思うのだが、チョット待てよ? 太陽光発電モデル事業を
構築するため、知り合いの業者に見積依頼の失敗を経験に、具体的な実践行動に着手したばかりとい
う状況下で、忙しいいという、ある意味、嬉しいことではあるけれど、割ける時間に限りがあり、少
しばかり思い悩む。

●昨日届いた守口市の友達へ暑中見舞いの電話返礼を入れたものの、それだけでは十分ではないと不
安になり、ネットで残暑見舞いの三輪の素麺を送ることにした。いやはや、心とは揺れ動くものだと
自分に感心し呆れ返る。

 

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ドローン革命って。

2014年08月05日 | デジタル革命渦論

 

 

 

 


特開2013-108927  航空写真撮影方法及び航空写真撮像装置

特開2001-18895 ロータブレードサブアセンブリ

特表平11-510127 回転翼航空機の回転運動の制御及び自動安定用のシステム

 

【無人飛行ロボ時代】 

このところ無人飛行ロボットの事業化の話題で持ち切りだ。日刊工業新聞ビジネスライン(2014.08.05
によると、NECは民間向け無人飛行ロボットの事業化に乗り出し、防衛省向けに開発・納入実績があ
り、培ってきた技術を民間向けに応用し、老朽化対策が課題のインフラ点検、災害調査、農業、プラン
トメンテナンスなどの分野で需要が見込めると判断。開発を加速すし、インフラ点検用は2019年ま
でに試作機を完成し早期の事業化を目指すとのことだが、同じように、千葉大学は、自律飛行技術の開
発・検討を行っている「ミニサーベイヤーコンソーシアム」と共同で小型無人ヘリコプター(マルチコ
プター)「MS-06LA」のデモンストレーション飛行を「TECHNO-FRONTIER 2014」で披露している。
MS-06LA
にはレーザースキャナー(赤外線センサー)を搭載しており、壁や障害物を回避しながら自律
して
飛行できる。GPS が使用できない屋内や地下街、トンネル内、森の中、橋脚の下などでも点検や観
測な
どに利用できるという(同上日刊工業新聞ビジネスライン、2014.07.29)。米国では、"ドローン革
命(The Drone Revolution)"と呼び新たな産業革命の勃興と位置づけているようだ")。

つまり、ドローンとは、単音で変化の無い長い音を指す音楽用語意外に、
針を持たず密もつくらない雄
蜜蜂を、あるいは低所得労働者の寄生者を意味する他、軍事関係無人偵
察機(遠隔操作型、半自律型)を、
さらに、ラジコンのマルチコプターなど玩具などを
意味するらしいが、ドローンは、固定翼と回転翼の
2種類の自律・反自律・遠隔操作型無人飛行機に分れる。

 

そして、ドロン革命の背景技術には、群デジタル革命技術である情報通信技術、電算機・半導体プロセ
ッサ・ストレージ(メモリ)技術、人工知能技術の飛躍があり、さらにはブラシレスモータ技術、リチウ
ムイオン
電池などの高性能小型電池技術の改良があり、「軽・薄・短・小」などの基本特性などの影響
が大きく
貢献している。また、ドローン革命の産業的展開としては、前述したフィールド(民需・官需)
の他に
自立型無人機構器による物流運送、大きなものは無理にしても、書籍などの十キログラム程度の
物資の
短距離搬送なら扱える。とはいえ、プライバシーなどの人権侵犯や権力的・軍事的・犯罪的悪用・
不利
益や飛行機の事故発生も想定できるからして、その産業化や普及浸透に備えた法整備も十全に行わ
なけ
ればならないだろう。




 

【遺伝子組み換え作物論 14】


                            弟5章 遺伝子組み換え作物の危険性

   (3)農家にとっての問題点

     ① 減少する一般の作物

  「英国土壌協会」は、「遺伝子組み換え作物が商品化されてから、わずか数年で、一般の種子を
 人
手することが非常に困難になった」と指摘する。それは、一般の種子の品種改良が進まないこと
 を
意味している。なぜなら遺伝子組み換え作物の開発企業は、主要な種子販売企業でもあるからだ。
  「米国トウモロコシ生産者財団(ACGF)」の理事長で、ネブラスカ州の大豆生産農家のゲイ
 ル・
ラッシュは嘆く。
  「農家には選択の余地がなくなってきた。非遺伝子組み換えであることが確かな種子を人手する
 のが非常に困難になったからだ。人手できても、品質の悪い種子しかないのが現状だ」

    ② アルゼンチンの悪夢

  ダニエル・モンタルトは、アルゼンチンで遺伝子組み換え作物を普及してきた人物だ。ところが
 その彼でさえ、「アルゼンチンにおける遺伝子組み換え大豆の生産は、環境と社会にとって悪夢の
 ような出来事になってしまった」と語る。
  1990年代に入ってからの十年間でアルゼンチンの大豆生産量は3倍近くに増え、2002年
 には耕作地の43%が大豆畑になった。現在ではほとんどが遺伝子組み換え大豆である。それ以前
 は作物の栽培と家畜の飼育を組み合わせた混合農業が主流だった。ところが牛乳、コメ、トウモ
 コシ、ジャガイモ、ハーブなど、多種類の主食になる食糧を生産する農家が急激に減少し、大豆

 に代わってしまった。かつてアルゼンチンでは、全人口に必要な十倍の量の食糧を生産してお
り、
 牛肉や小麦も大量に輸出していたのに、それも途絶えてしまった。その地方で生産され、安価
で買
 えた作物も手に入らなくなったため、最近の調査では、25万人以上の子どもたちが栄養不良
に陥
 っている。


  『Argentina:The catastrophe of GM soya(アルゼンチン・遺伝子組み換え大豆の悲劇)』という報
 告書
の中で、アン・スコールとファクンド・アリサバラガは次のように批判する。
  「大豆の輸出量が増えるにつれて、豊かだった恵みの大地に、飢えや貧困、そして農業からの撤
 退が広がった。畑を耕し作物を育てる農民の仕事は、飛行機による農薬の空中散布や、農業機械に
 取って代られ、地方に人がいなくなった。都市への移住者は驚異的な散にのぼる。30万人もの農
 家が地方を離れ、500以上の村が放棄されて消滅しつつある。都市の周辺には職のない元農業労
 働者が押し寄せて、スラムが次々と誕生している」
  英国のNGO「社会における科学研究所」所長メイワン・ホー博士も次のようにアルゼンチンの
 状況を告発している。

  「除草剤ラウンドアップの主成分であるグリホサートに耐性をもつ雑草が広がっている。そのた
 め除草剤が頻繁に散布され、濃度も高くなっている。さらには、"ジクロロフェノキシ酢酸"や"パ
 ラコート"など、かつて使用されていた毒性の強い、多くの国で使用が禁止されている除草剤が再
 び使われるようになった。しかも飛行機を使って大豆畑に除草剤を散布するため、近隣の住民に大
 きな健康被害をもたらしている」
 
  英国の科学誌『ニュー・サイエンティスト』も、遺伝子組み換え大豆の畑に散布した除草剤が近

 隣の村コロニア・ロマ・セネスにまで影響を及ぼした問題について報じている。
  「除草剤の毒は私たちの土地にまで漂ってきて、家の中にも入ってきたこと農民は語る。"子ど
 たちのはだしの足には発疹ができた。翌朝には、村中が悲惨な状況に気づいた。育ててきたほと

 どの作物が枯れており、目を疑った。その後の数日から数週間で、鶏や縁も死んだ。離縁や離ヤ

 には死産や早産が続いた。散カ月後にはバナナの樹が変形して成長を止め、実をつけなくなった。

 1ヵ月後になって、フォルモサ大学の農学者が訪れて、農家の不注意によって除草剤が振りまかれ、
 村中が強力な除草剤の被害にあったことを確認した」


  こうした事件は決して例外的ではなく、大豆に限った問題でもない。アルゼンチンの著名な農学
 者ホルヘールジは次のように指摘する。
 
  「我々は、大豆の実験室の中に住んでいるようだ。あらゆる種類の毒素によって、性早熟症、早

 産、発育不全などが起きている」

  科学誌『ニュー・サイエンティスト』の記事も同様の指摘をしている。


  「農業経済学者チャールズ・ベンブロック博士の報告によれば、アルゼンチンで遺伝子組み換え

 大豆を生産する農家は、一般の大豆農家に比べて2倍の量の除草剤を散布している。それというの
 も、雑草に除草剤が効かず枯れないという予想外の事態が生じているからだ」
  農業生態学者ワルテル・ペング(ブエノス・アイレス大学)の計測によれば、除草剤グリホサー
 
号ウンドアップ)の使用量は1997年に約1万4000トンだったが、2003年には15万
 ト
ンに増加した。問題はそれだけではない。森林が破壊されて大豆州になったため、大規模な洪水
 が
起きるようになった。ボリビア国境の高地にある亜熱帯のユンガス地方でも、森林を伐採して大
 豆
畑を切り拓いている。「このままでは5年以内に、古代から残る。"雲霧林"が消滅してしまう」
  と
グリーンピースは警告する。

  アンデス山脈西麓に広がる雲霧林には、サル、ピューマ、ジャガーなどの動物や、アルゼンチン

 にいる半数の鳥類、多種多様な植物などが生息している。南米最大の3つの森林の一つであり、散
 十万人もの人々が生活している。森の多様性に依拠して生きる人々は、この森の破壊者たちに暴力
 を振るわれており、抗議活動が起きている。小農も地主によって家を破壊され、農民団体(MOC
 ASE)は民兵組織に襲撃されたり、政治的な迫害を受けたりしている。


   ③ 保険の対象にならない遺伝子組み換え作物

  自分の流儀を押し通すバイテク企業は、自らの技術が現実に問題を起こしても、責任を取らない
 だろう。英国の保険会社が経済的なリスク評価を行なったところ、遺伝子組み換え作物が事故を起
 こした場合の責任は無限大になると予測した。そのため英国では上位五社の保険会社が2003年
 に、「遺伝子組み換え作物による被害については、サリドマイド、アスベスト、テロリズムなどと
 同様に、保険の適応外にする」と発表した。農家はまるで、オールのない船で川を上るような状態
 に置かれているのだ。遺伝子組み換え作物を生産する農家も、遺伝子組み換え作物の混入によって
 被害を受けた農家のいずれもが、問題が発生しても経済的に保護されることはないのである。

  米国の保険会社も、「食品医薬品局による規制がないため、遺伝子組み換え作物は保険の対象に
 ならない」と語る。リスク了不ジメント会社「マーシュ」の副社長トーマス・グリーニーも、「こ
 れが医薬品や医療機器ならば、食品医薬品局の監督責任は重大であり、保険会社も保険の対象にす
 る」と指摘する。「米国保険情報協会(III)の首席エコノミストであるロバート・ハートウィ
 グも、「遺伝子組み換え食品は、今後、起こりうる損害の中でも最大級のリスクを抱えている」と
 指摘する。裁判でどのような判決が下されるのか予測できないため、保険業界にとっては、遺伝子
 組み換え食品のリスクを想定することさえ不可能である。米国の保険会社が危惧しているのは、バ
 イテク企業に対して厖大な賠償請求を求める訴訟が起こることだ。現在、バイテク企業は保険会社
 に高額の掛け金を支払っているが、給付対象となる範囲は限られている。しかしもしも農家や消費
 者に対する損害賠償請求が認められるようなことになれば、保険が適応される範囲を超えて、支払
 いを請求される可能性もある。

  「農民法律訴訟グループ(FLAG)」所属の弁護士デヅィッド・メラーは次のように指摘する。
  「農家が、遺伝子組み換え作物を生産する場合には、その費用と利益だけを考慮すべきではない。

  同時に、遺伝子組み換え作物を栽培して販売することが引き起こすかもしれない法的責任につい
 てもあらかじめ想定しておくべきである。」 

   ④ 特許による生命資源の略奪

  米国軍が、民間人を戦闘で殺傷した時には、「巻き添え」つまりは「軍事力行使に伴うやむを
 えない犠牲」といった婉曲な表現を用いる。バイテク産業も同様に、「生命資源の略奪(バイオパ
 イラシ土」という言葉を使わず、「生命資源の保護(バイオプロテクティング)」と表現する。こ
 れは、
1997年にテキサスの企業「ライステク社(RiceTec)」が、インド原産の高級米「バスマ
 ティ米」
の特許権を米国で取得した時に使った言葉である。遺伝子組み換え作物の承認中止を要求
 するNG
O「5年間の凍結」によれば、同社のコメは、アジアの農民たちが、インド原産のバスマ
 ティ米に
他の在来種を何年もかけて自然交配させて改良したものである。ところが「ライステク社」
 はこの
バスマティ米由来の改良種を、自分たちの発明と称して特許権を取得したのである。さらに
 「ライステク社」は特許権を盾にとってバスマティ種のコメの輸出を中止することを農民に脅迫し
 た。インドの「科学・技術・エコロジー調査財団」のシヅァニ・チョウドリーは次のように批判す
 る。

  「バイテク企業が特許権を取得することは、インドの農民たちの伝統的な知恵を私物化すること
 にほかならない。様々な人々が何年もかかって研究し、自然交配によって改良してきた品種を略奪
 して、一企業の特許商品にしてしまうのだ」
  こうして途上国における多様な生物が、公益のためでなく、バイテク企業の利益のために盗まれ
 ている。作家のルーク・アンダーソンは、次のように指摘する。
  「ある植物に遺伝子を導入することで、企業が自分の発明品であると主張するとは異常なことだ。
  伝統的な知恵を継承する社会的な社組みこそが重要であり、数千年以上にわたり生物の多様性を
 培ってきた人々にとっては、特許法など何の関係もないことだ」
  良心をもたないハイテク企業にとって、特許法が整備されていない途上国は、新商品として販売
 する安価な種子を探しだすために理想的な土地である。とくに彼らが関心を寄せているのが、熱帯
 雨林と途上国における、遺伝子資源(生物種)だ。
 
 NGO「クリスチャン・エイド」は、「バイテク企業は、生命資源の略奪(バイオパイラシー)に
 よって、途上国から毎年45億ドルを巻き上げている」と批判する。バイテク企業が遺伝物質を取
 得するための対価を支払うことはほとんどないし、支払ったとしてもその額はごくわずかで、取引
 という言葉がまったくあてはまらないのが現状である。
 
  現在では六社の多国籍企業が、5つの主要な穀物(コメ、小麦、トウモロコシ、大豆、ソルガム)
 に関する特許権の70%を取得している。
  とくにこの分野で積極的に活動を展開しているのがシンジェンタ社だ。たとえば「ゴールデンラ
 イス」については独占的に販売することを狙っており、70近くの特許を申請している。
  インドにある「インディラ・ガンジー農業大学」には、公的な費用によって収集された様々な希
 少なコメの種子が保存されており、世界第2位の規模を誇る。そこでシンジェンタ社は2002年
 に、この大学から2万3000種もの権利を秘密裏に買収しようと計画したが、最終的には社会か
 ら大きな批判をあびて、撤退する事件があった。それでも同社は現在も、インド国内に多数ある研
 究所と「共同」して、種子や遺伝物質をかき集めている。
 
  ジョン・コンリー教授(ノースカロライナ大学・法学部)は、バイオパイラシーと遺伝子特許こ
 そが、人々による品種改良を妨害すると批判する。

  「この問題を経済的利益の視点から考える企業は、人々が遺伝子資源を普通に活用することは非
 生産的で、非効率的であると批判する。自分だちならその潜在能力を引きだして最大限に活用でき
 るのに、人々が将来に向けた進化を妨げていると主張するのだ。しかし、多くの人々は、特許権に
 よる私物化こそが誤りであり、制限されるべきだと考えている」
  特許権の取得を止めさせるため、バイテク企業に対して訴訟を起こすことは正当な行為のはずだ
 が、向こう見ずにも遺伝子組み換え作物に反対した人々は必ず、「科学技術の進歩に対する破壊者」
 と批判されてきた。

  ケニアの政ワンガリ・マータイ博士(グリーンベルト運動の創始者、アフリカの女性として初の
 ノーベル平和言受賞者)も激しく抗議した。
  「歴史上、人類に対する犯罪が何度も繰り返されてきた。ところがそうした行為は、商業的な利
 益を追及し、権力を揺る政府によって正当化されてきた。今日では、生物に対する特許権が認めら
 れ、それを商品化する遺伝子組み換え技術が正当化されている。貧困層にも食料や医薬品を提供す
 ることで、社会に貢献するというのが名目だ。しかし実際には、企業が未開発の生物資源を独占す
 ることによって、その国や地域における生物資源開発の可能性を巧妙に妨害しているのだ」
 
  「緑の革命」を推進した故ノーマン・ボーローグ博士でさえ、遺伝子特許には反対していた。
  「我々は遺伝子特許に反対して戦ってきた。私と「国際小麦・トウモロコシ研究所」の故グレン
 ・アンダーソンがインドで主張してきたように、遺伝子資源は自由に交換されるべきなのだ。米国
 政府は生物に対する特許権の取得を認めるが、もしもそれが許されるなら人類はすべて餓死するこ
 とになる」


                    リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』

                                      この項つづく
  

 

 

 

  ●今夜の一曲

アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー(Alexander von Zemlinsky 1871 - 1942)がアルマ・シントラ
ーと出会って恋に落ちたのが1900年、この「交響曲第1番 ニ短調」(1891年/1892年)それよりも前

若きツェムリンスキーの作品となる。非西欧的でも、無調音楽とも違った西欧的なロマン主義なワーグ
ーナー、ブルックナーやブラームスを想わせるような楽想となっている。
 

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マテリアルインフォマティクス最前線

2014年08月04日 | デジタル革命渦論

 

 

 

 

【遺伝子組み換え作物論 ⅩⅢ】

 

"ハイテク"と言う言葉がもつ「両義性」と「不可逆性」――世界的な政治経済の幻想的基軸の現在的
課題を遺伝子組み換え作物――に焦点を当て考察を深める。さて今夜は・・・



                            弟5章 遺伝子組み換え作物の危険性

   予期せぬ毒物

   その他にも、マイケル・アントニウス博士は、次のような危険性を指摘する。
  「遺伝子操作によって製造された細菌や酵母、植物、動物にも、予期せぬ毒物が生じることがわ
 かっている。ところが問題は、それが成長するまで危険性がわからないという点にある。とくに遺
 伝子組み換え作物の場合には、直ちに健康に対する影響があると判明する場合もあれば、毒性が表
 面化するまで何年もかかる可能性もあるのだ」


Cry1Ab and Cry1F Bt Plant-Incorporated Protectants
September 2010 Biopesticides Registration Action Document

 
  Bt毒素

 
  害虫に殺虫性をもつ「Bt作物」とは、すでに述べたように土壌菌の一種「バチルス・チューリ

 ングンシス菌(Bt菌)」の遺伝子を導入した作物である。言い換えれば、「Bt毒素」という殺
  虫
剤を埋めこんだ作物であり、「Bt作物」を食べることは、殺虫剤を一緒に食べることになる。

 「憂慮する科学者同盟」のマイケル・ハンセン博士はその危険性を指摘する。

 「遺伝子組み換えトウモロコシ、綿、ジャガイモなどに含まれるBt毒素が、人間の免疫系に悪
 影響をもたらし、アレルゲンにもなりうるという証拠がますます増えている」
  しかも、Bt毒素は炭疸菌の近縁種なのである。
 「米国環境保護庁(EPA)」は、「Bt毒素は胃の中で分解される」と断言するが、この見解は
 あくまでもバイテク企業が提出した資料に依拠したものだ。モンサント社の実験によれば、「Bt
 トウモロコシの毒性タンパク質(Cry1Ab)は、胃液によってすぐに分解される」という。ところが
 彼らは、わずかばかりのこのタンパク質(9ユか)を分解するために、胃液よりも酸度が高い大量
 の酵素を使用していたのである。当然、「この実験は現実的でない。できるだけ早くタンパク質を
 分解するために、意図的に行なわれたものだ」と批判された。『偽りの種子』(野村有美子、丸田
 素子訳家の光協会、2004年)の著者、ジェフリー・M・スミスも次のように批判する。

  「環境保護庁も食品医薬品局も、こうした安全性試験を実施するための基準をつくらない。基準
 がないために、バイテク企業が行なう安全性試験の手順や結論がどのようなものであろうとも、す
 べてを受け入れてきたのである」




   ⑥ 発がん性のリスク

  遺伝コードの複雑さを考えると、たとえ細菌のような単純な構造の生物であっても、遺伝子を組
 み換えて生産した食品が、人間の健康に対して長期的かつ総合的にどのような影響をもたらすのか、
 予測することはできない。遺伝子組み換え食品がもたらす発がん性のリスクには多くの科学者が不
 安をもっており、サミュエル・エプスタイン教授も次のように指摘する。

 「遺伝子組み換え食品によって、ある種のがんによる死亡率が著しく増加することは確実だろう。
 しかもその程度で悪形響かおさまれば、幸運と言えるかもしれない」

  1999年にはプシュタイ博士とイーウェン博士が、雄のラットに10日間、遺伝子組み換えジ
 ャガイモを給餌する試験を行なった。これは、遺伝子組み換え作物が生物の内臓に与える影響に
 ついて調べた数少ない研究の一つである。その結果について、組織病理学者で膠原病の専門家であ
 るイーウェン博士は次のように語る。
 
 「(試験結果によれば)胃、小腸、大腸、直腸の内部に影響して、細胞が異常増殖しており、それ
 が大腸ポリープを発生させる可能性があった。この遺伝物質に接触し続ければ、影響を受けやすい
 人々にはがんが急増するかもしれない」

  ちなみにイーウェン博士によれば、大腸がんの遺伝的素質をもつ国(たとえば、北東部スコット
 ランド、北米、ニュージ土フンドなど)の人々のポリープの発生率は70倍にもなるという。実験
 で、普通のジャガイモを給餌したラットには、こうした影響は確認されてない。
  イーウェン博士の結論としては、「遺伝子を発現させるプロモーター遺伝子(CaMVカリフラ
 ワーモザイクウイルス)が、原因物質である」という見解だが、それに反対する科学者もいる。い
 ずれにせよ、彼らの発見は憂慮すべき事態であり、原因究明のために、さらなる調査が必要である
 ことだけは確かだ。イーウェン博士は批判する。

  「疑問が残されたまま、なぜ遺伝子組み換え食品を食べ続けなければならないのか。遺伝子組み
 換えジャガイモの中で、ウイルスの遺伝子断片が機能している可能性があるにも関わらず、動物実
 験さえ十分には行なわれていないのだ」
  「遺伝子組み換え食品」と表示せず、摂取した人々の追跡調査も行なわないと、もともと発がん
 率の高い米国などの国々では、遺伝子組み換え食品によって発がん率が上昇しても、原因は不明の
 
ままとなる。つまり誰も「遺伝子組み換え食品が原因である」とは断定できないのであり、バイテ
 ク産業のロビー団体が、遺伝子組み換え食品の表示に強く反対する理由はそこにあるのだ。

  ⑦ 影響を受けやすい乳児と子ども


  遺伝子組み換え食品は、子どもたちの健康にも影響を与える可能性がある。乳幼児毒性病理学の

 専門家ビビアン・ハワード博士(リバプール大学病院、乳幼児毒性病理学部長)は指摘する。

  「生物間で遺伝子が転移すれば、未知の毒性やアレルゲンを生みだす危険性があり、その影響を

 もっとも受けやすいのが子どもたちである」

  英国の元環境大臣マイケル・ミーチャーも、英国王立協会の報告書をもとに、「遺伝子組み換え

 原料を含んだベビー・フードを食べた乳児にアレルギー反応が急増したり、遺伝子組み換え大豆に
 由来する女性ホルモン作用が、子どもたちの性的発育に影響を与える可能性がある」と指摘する。

  ⑧ 未知の毒素


  英国の開業医の80%が加盟する保守的な「英国医師会」も、「遺伝子組み換え食品は、一般の

 食品より危険性が高い」と指摘する。同医師会は2002年に、「遺伝子組み換え食品が人間の健
 康に与える潜在的な影響に対しては、確実で完全な調査がいまだに行なわれてない」と批判してい
 る。公衆衛生という視点から、十分な安全性試験が実施されていないと批判したのである。
  毒物学の専門家E・J・マシューズ博上来国・食品医薬品局)も警告する。

  「遺伝子組み換え作物は、未知の植物性毒素を高濃度に含んでいる可能性がある。その中には一
 般の類似種にはありえない、特殊な毒素が生まれている危険性もある」
 
  リチャード・レーシー教授(英国・リーズ大学・食品安全学部、微生物学者)とブライアン・グ
 ッドウイン(英国・シューマプハ・カレッジ生物学部)たち二I名の学者も、「遺伝子操作によっ
 て、従来の
食品の成分が変化したり、毒素を楽生する可能性がある」という見解を発表している。 

                    リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』

                                      この項つづく
  




●ホンダが世界を滑空する時代

【マテリアルインフォマティクス最前線 Ⅰ】

「バイオインフォマティクス」という言葉があるように、「マテリアルインフォマティクス」という
言葉は、より良い材料の使用、選択、開発、および発見を理解するために、材料科学と工学への情報学
原則を適用する研究分野で、高速かつ堅牢な買収、管理、分析、および多様な材料データの普及を
成することを
目標とした新興分野このフィールドは、材料や情報との関係いくつかの伝統的な理解
に限定されるものではなく、コンビナトリアルケミストリープロセスモデリング材料特性データベ
ース、
材料データ管理製品ライフサイクル管理を包括したフィールドで、マテリアルインフォマティ
クス
は、これらを超越し、教訓を適用することで、より大きな洞察力と深い理解を達成するための潜在
的な
他者への材料の1種類に集められ学習することで、最適なメタデータ収集と個別のデータポイン
トの値
を大幅に拡大するを意味する。

京都大学の田中功教授と田中勝久教授らの研究グループは、リチウム電池の寿命を6倍以上に延ばす新材料
を開発した。物質の原子構造をコンピューターで網羅的に計算することで新材料を探索する研究手法を確立し、
実証した。電池以外の材料開発も百倍以上に効率化でき、リン酸化鉄系リチウム電池の寿命を充放電サイ
クル2万5000回以上に延ばした。1日1回充電した場合、70年以上使える計算になり、設置型の
大容量蓄電池の材料として応用できるという。
計算科学と合成実験を組み合わせた高速材料探索手法を
確立した。物質の電子状態を計算する第一原理計算を使って、2000種類以上の元素の組み合わせや
組成比を網羅計算した。実際に材料を合成して性能を確かめる手間が省ける。少なくとも研究を百倍効
率化できると発表した(2014.07.30)。

ところで、オバマ大統領が  2011年6月に打ち出した材料ゲノム・イニシアチブ  (MGI)は、米国の製
造業衰退を
食い止め、逆に大きく発展させようと意気盛んなものでなもとして導入。材料開発にあたり、
データ科
学 を活用することで、材料の発見から製品化までスピード従来比を2倍にするという目標の
もと、約百億円の予算をつぎ込んだプロジェクトが2012年から始まっている。その中で注目されている
技術のひとつが、高精度な量子力学計算であり、膨大な計算結果として得られたデータを活用したハイ
スルーブット・スクリーニングにより、的確に物質設計を行うというもの。これにより従来からの試行
錯誤的な材料探索のプロセスを大幅に短縮することが可能になると期待されている。日本では、材料立
国を標榜し、材料研究で世界のトップランナーを自負、このデータ活用型の材料開発の新しい流れに対
しても、スパコン「京」を中核とした産官学での研究者グループや,元素戦略などの国家プロジェクト
で対応し,実験と計算を包括したマテリアルズ・インフオマテイクスという分野が勃興しつつある。こ
の研究の成果は、その分野の先駆けとなる成果と位置付けられる。

さて、対象のリチウムイオン二次電池の正極材料は、リチウムイオン二次電池が、携帯電話をはじめと
するポータブル機器の電源として広く利用され、電気自動車や再生可能エネルギーの蓄電など大型機器
への応用研究も精力的に進められている。携帯電話の電池が数年程度のサイクル寿命で設計されている
のに対し、大型機器では、毎日の充放電で少なくとも数10年というサイクル寿命が求められている。こ
の要求に応えるには新しい技術要素の開拓が必要であり,各国で研究開発にしのぎが削られている中、
この成果は画期的なもと考えられている。 



それはそれとし、物質設計結果の実証には、合成や評価の実験を並行して行うことが不可欠。とくに従
来報告のない新物質,新組成の合成には、様々な物質に汎用的応用手法がキーとなる。この様にリチウム
イオン電池の正極材料のような無機物質では、原料粉末を混合して合成する固相法が主流だが、汎用性
の観点から、気相や液相の利用が有効だとされる。そこで、環状エーテルを使ったゾルーゲル法であり、
金属塩化物のようなありふれた塩を溶解した水溶液に環状エーテルを添加により、溶液のpHをゆっく
りと上昇させ、金属塩の反応を制御することが可能となる。溶液のpHが増加すると多くの金属塩は水
酸化物を形成するが、反応速度は金属塩の種類に応じて大きく異なる。この手法では、pHを徐々に上
昇することで多種類の金属塩の反応速度を制御し、原子レベルで元素を均一に混合できるという特長を
もつ。今後、
様々な系での物質設計結果の実証に応用できると期待されている。

●研究手法・成果

1.第一原理計算

 「第一原理計算」とは、実験であらかじめ得られた構造などの知見に頼ることなく、量子力学の原理の
みに基づいて原子構造や特性を予測することが吋能な手法。計算コストが高いため10年ほど前までは材
料探索への利用は限定的でしたが、近年の計算機の進歩により、多数の計算を身近な計算機で実施する
ことが可能になる。米国のMGIでも中核となる技術となっている。この研究では、リチウムイオン電池
の正極材料として広く用いられているリチウム鉄リン酸塩(LiFeP04)のサイクル寿命
特性を改善する目
的で、この物質に固溶させる元素を、数千種類という多数の組み合わせを考えて網羅
的に高精度の第一
原理計算を実施((結果の一部を図1に示します)。
このデータを活用し、充放電による結晶の体積変
化がサイクル寿命の決定因子になるというアイデア
に基づいてハイスルーブット・スクリーニングする
ことで最適な化学組成を効率的に探索する。

2.試料合成

上記の理論予測の結果を実証するために合成実験を行う。X線回折測定の結果(上図参照)、不純物のな
い材料が、設計どおりの構造で得られることを確認。また充放電による結晶の体積変化率を測定した結
果(下図)。理論計算と実験とが良い一致を示すことも確認された。
 これまでに実験報告のない新物質,新組成の合成のためには,様々な物質に汎用的に応用できる手法
を使うことが重要となります.リチウムイオン電池の正極材料のような無機物質では,原料粉末を混合
して合成する固相法が上流ですが,汎用性の観点からは,気相法や液相法を利用することが有効です.
本研究で利用したのは,環状エーテルを使ったゾルーゲル法です.環状エーテルの一種であるプロピレ
ンオキシドを用い,ゾル(溶液)のpHを調整してゲル化(固体化)することで,各元素が原子レベルで
均一に分散された状態の前駆体を得て、それを熱処理するだけで所望の材料を合成することに成功する。
この手法は汎用性が高く、今後、様々な系での物質合成に応用できると期待されている。

 

3.電池のサイクル特性

このようにして得られた新材料を正極とし、負極と電解質は通常材料を用いアルミ・ラミネート中に封
入することでリチウムイオン電池を作成、電池のサイクル特性を評。比較に
固溶元素を無添加のリチウ
ム鉄リン酸塩を正極とした電池も作成し、同じ条件にて充放電サイクル特性
を評価(下図参照)。今回
開発した新材料を正極として使用した電池(CellA)は、無添加正極の電池(CellB)に比べ,サイクル
寿命
が約6倍になることがわかりました.容量が70%に減少する充放電サイクル回数は約25000回と予
測で
きる。これは毎日1回の充放電で,約70年間繰り返し使用できることに相当するという。



  ●今夜の一曲

《浄められた夜》(Verklärte Nacht)作品4は、1899年にシェーンベルクがウィーンで作曲した弦楽六
重奏曲。シェーンベルクの初期作品の中で《グレの歌》と並んで最も有名かつ最も重要な作品の一つ。
シェーンベルクは、こんにちでは20世紀前半の無調音楽十二音技法の開拓者で現代音楽の礎とな
る。享年77、1951年7月13日没。故郷ウィーン中央墓地の墓石は直方体を斜めに傾けた形状だとか。

 

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古典音楽を終焉させた男

2014年08月02日 | デジタル革命渦論

 

 

 

 

【オールソーラーシステム完結論 ⅩⅠ】

● 集光型太陽電池の弱点を徹底克服

話はずれるが、パワーデバイスの一翼になうシリコンカーバイドの界面欠陥が解消される?との情報が
入り色めき立った。つまり、ゲート絶縁膜を形成時に欠陥を生じるSiC(シリコンカーバイド)由来
の副生炭素を一酸化炭素として除外する反応操作で世界最小値(1011cm-2eV-1以下)に逓減でき
ることを喜多浩之東大准教授らのグループが実証したというのだが(2014.07.25)、なるほどこれでま
た省エネ・ダウンサイジングというデジタル革命がまた一歩前進だとと感心する。さて、本題。

究極の高変換効率でなおかつ安い発電システムを"ウィ・フォロー・ザ・サン"しているわけだが、その
の1つの技術が集光型太陽電池。その具体例として、単接合から多接合化合物半導体系の集光型太陽電
池システムの新規考案の1つとして下図が提案されている。これは、太陽エネルギーを電気に変換する
太陽電池に太陽エネルギーを集中させ使用する電池受け構造であり、支持体上や1つ以上のⅢ-Ⅴ族化
合物半導体層を搭載した太陽電池を含む。光学素子は、太陽電池の上に配置し、離れて太陽電池から直
面の入口と太陽電池に面する出口を有する光チャネルを持つ構造である。フレームは、支持体上に配置
され、フレームが支持体の上方に延び、光学素子に面する内側面を有する太陽電池の周りに外延する。
また、カプセル材料が支持体上に配置、光学素子とフレームとの間に含まれ、光学素子とフレームとの
光学素子とフレームの接触点の高さ距離が逓減できるこの受け構造は、太陽電池モジュールに使用でき
るというものである。

ところが、実際には、集光用レンズや反射鏡を用い集光体の構造光をPVセル上に収集し、集束させ一
日中、太陽の動きを追跡する光コレクタやコンセントレータを使用するには、(1)曇りの日や朝夕の
散乱光を収集する性能も要求されるが、このようなシステムは(2)複雑であり(3)嵩張り大きいと
いうため簡素化とコンパクト化も強く要求されている。さらに、長時間過酷な環境下にさらされるため、
使用部材の例えば、紫外線に対する(4)耐久性やそれに起因する(5)発電能力の低下(劣化)防止
が要求されているが(2)~(5)には集光という根本的な光特性をいかに制御するかに関わるだけに
難しく、例えば、(1)平面受光したものを導波パネルで瞬時に集光させる、(2)あるいは全ての吸
収波長を特定の固有波長に変換させて集光できれば理想である。この場合(1)の場合、散乱光を効率
よく集光できれば、壁に取り付けることが可能となり設置面積は大まか1/2~1/4に縮小できるだ
ろう。また(2)の場合、例えば蛍光体で特定波長に変化することで集光により色収差問題が解消でき
れば高屈折レンズ系を平面展開させ高倍率に集光させることも可能になる。このことにより、受光・集
光構造が簡素化され、(6)結露による不具合や(7)レンズなどの位置合わせ不良の不具合が解消で
きる。さらに、(8)高屈折率層に低屈折率層をサンドイッチした構造とした集光体で軽量で低コスト
しようという提案もされている。
下記の新規考案4件は平面集光例を理解に参考掲載する(下図をクリ
ック)。 

 

また、(1)フレネルレンズを使用した場合に生じやすい、(2)太陽電池用集光レンズ部材とスタン
ドとの接点がレンズ部の頂点となることから、構造的に不安定であり、太陽電池用集光レンズ部材とス
タンドとの位置決めも困難となりための問題解決――集光型太陽光発電装置を構成するスタンドへの設
置・固定が容易でかつレンズが傷つき難い太陽電池用集光レンズ部材を用いた集光型太陽光発電装置の
提供されている。

 

以上のほんの一例ではあるが、枚挙にいとまがないほどに新規考案が提案させているからには、そう遠
くない近未来では廉価なコンパクトな集光型太陽光発電機構がいたるところで配置機能した社会が実現
しているであろうことが想像できるはずであり、「原発に不都合な真実」をますますリアリティをもっ
て水際立たせるであろう。
 

                                       この項つづく

 

   

 

   

 

【遺伝子組み換え作物論 ⅩⅢ】

 

 


                            弟5章 遺伝子組み換え作物の危険性

    
    食品業界も危惧する「バイオ医薬品」用作物

  さらに驚かされるのは、アイオワ州の事件と同時期に、ブッシュ大統領が「プロディジーン社」
 の社長を「国際農業開発基金」の米国理事と「米国国際開発庁(USAID)」の顧問に指名して
 い
たことである。そのうえ、ネブラスカ州の事件が起きた際、米国政府は同社に対して厳しい措置
 を講じるどころか、財政支援を行なっていた。同社はネブラスカ州の大豆を廃棄処分するために
  350万ドルの費用をかけ、罰金2五万ドルを支払っていたが、米国政府は親切にもその経費を
 補
助するために税金から350万ドルを支給したのである。むろんこの事実を「米国農務省」が公
 開す
るはずもなく、後になって米国の消費者団体「公益科学センター」の調査によって発覚しか。

 「消費者同盟(CU)」のジーン・ハロランは次のように批判する。
 
  「医薬品用作物を一般の食用作物と区分して管理することなど、現実的に不可能である。人間な

 らミスを犯すのが当然であり、自然を管理することなどできない。結局、遺伝子操作によって作物
 から医薬品を生産することなど、行なってはならないのだ」
 「憂慮する科学者同盟」の主幹研究員ジェーン・リスラーも次のように指摘する。
 「吉見にトウモロコシを混入させないといった単純な仕事もできないのに、医薬品用トウモロコシ
 を区分管理するという、さらに困難な仕事を企業ができるはずがないのだ」
 
   「バイオ医薬品」用作物を栽培することに対する批判は高まりつつある。NGOの連合である
 「遺伝子組み
換え食品警戒連合(GEFAc)」は米国農務省に対して、野外における「バイオ医
 薬
品」用作物の試験栽培を禁止することを要求している。食品業界もこの問題については慎重な態
 度を示しており、「バイオ医薬品」の生産はタバコなど食品以外の作物に限定するよう、バイテク

 産業に要請している。遺伝子組み換え推進派の科学誌『ネイチャー・バイオテクノロジー』(20
 04年2
月号)でさえ、食料や飼料用作物を使って「バイオ医薬品」を生産することについては批
 判し
ている。彼らは「バイオ医薬品」用作物の事故によって、バイテク事業全体が混乱におちいる
 こと
を恐れているのだ。

    ③ 「ウィルス遺伝子」を使用する危険性

  「遺伝子組み換えによる最大の危険性は、ウィルスの遺伝子を作物に導入することである。実験
 によれば遺伝子操作によって、新たな猛毒のウィルスがつくれることもわかっている」
  この衝撃的な事実を語るのは、ジョセフ・カミンズ博士(カナダ・西オンタリオ大学、遺伝学名
 誉教
授)であ。新たな猛毒のウィルスが生まれれば、作物に病虫害が発生し、飢饉を引き起こす可
 能
性もある。あるいは動物や人間に対して新たな疾病をもたらすかもしれない。モンサント社をは
 じ
めとするバイテク企業を儲けさせるために、ウィルスによる疫病を発生させる危険性を冒す必要
 な
どあるだろうか。
 
  カミンズ博士は、「プロモーター遺伝子(目的とする遺伝子の機能を発現させるスイッチとして
 一緒に組みこまれる遺伝子)も、高放射線量のガンマ線と同様の影響をもたらす可能性がある」と
 指摘する。つまりプロモーター遺伝子が、DNAの中に突然変異を起こす部位(ホットスポット)
 をつくりだすことによって、DNAの断片全体が不安定になる可能性があるというのだ。遺伝学者
 であり、ノルウェー政府の顧問を務めるテルジュ・トラービク博士(「遺伝子エコロジー研究所」
 事務局長)も「プロモーター遺伝子は、細胞分裂の際に、遺伝手間で行なわれるDNAの再結合反
 応を妨げる可能性がある」と指摘する。
 
  さらにテルジュ・トラービク博士は、プロモーター遺伝子として一般に使用されている「カリフ
 ラワーモザイクウィルス(CaMV)」を組みこんだ作物を、ラットに一回給餌させただけで細胞
 組織の中に「CaMV」の遺伝子を確認した。他の研究者による同様の研究でも、人間の胃、腸リ
 ンパ、腎臓、肝臓、肺臓の細胞の中に「CaMV」の遺伝子を確認している。
  こうした研究は、バイテク産業にとって不都合な報告である。彼らは、「遺伝子組み換え食品に
 合まれるCaMVは安全である。なぜならその遺伝子が、消化器宮内の細菌や内臓器官に転移する
 ことはないからである」と主張しているからである。しかし、テルジュ・トラービク博士は、さら
 にもう一つの危険性を指摘する。「プロモーター遺伝子によって、人間の細胞内で活動を停止して
 いる休眠遺伝子が活動を開始する可能性がある」というのである。
 

    ④ 「抗生物質に耐性をもつ遺伝子」を使用する危険性 

  目的とする遺伝子の導入に成功したことを確認するための目印(マーカ士として、抗生物質に耐
 性をもつ遺伝子が使用されている。問題なのは、遺伝子組み換え食品を摂取することによって、こ
 の抗生物質に耐性をもつ遺伝子が、消化器官の細菌に転移する可能性があることだ。抗生物質に耐
 性をもつ遺伝子が体内に取りこまれれば、抗生物質が効かない新たな病気が発生するかもしれな
 い。
 
  バイテク企業は「そうした問題は起きない」と主張するが、マイケル・アントニウス博士は反論
 する。
 
  「遺伝子組み換え作物には、様々な種類の抗生物質耐性遺伝子が大量に合まれている。消化器官
 の中の細菌がその遺伝子を取りこめば、治療用の抗生物質に耐性をもつことになるだろう。遺伝子
 組み換え食品を食べて、体内に抗生物質耐性遺伝子を取りこんだ人が病気になっても、治療用の抗
 生物質が効かなくなるかもしれない
  
  世界保健機関、米国医師会、英国上院議会、英国王立協会でさえも、「遺伝子組み換え食品に抗
 生物質耐性遺伝子を使用しないこと」を要請している。
  米国食品医薬品局のウェブサイトも、抗生物質に耐性をもつ菌が生まれた場合の危険性について
 説明している。「抗生物質に耐性を獲得した細菌が引き起こす感染は、死亡率を高めるし、治療を
 長引かせて、合併症を起こすことがある。その結果、肺の一部を切除したり、心臓弁を交換しなけ
 ればならないこともある」

  すでに英国では抗生物質耐性菌の影響で年間3500人以上が死亡しているのだ。


   
⑤ 新たな毒素やアレルゲンが生まれる危険性
  
  バイテク食品の熱心な推進派であるはずのアンドリュー・チェッソン博士(「家畜栄養に関する
 欧州科学委員会(ECSC)」副委員長)も、「遺伝子組み換え食品に潜む未確認の有害物質によ
 って、悲惨な事故が起こる可能性がある」と指摘する。
  サミュエル・エプスタイン教授(イリノイ州立大学・公衆衛生大学院・環境医学部、「全米がん
 予防連合」理事長)もまた次のように指摘する。
 「遺伝子操作によって生みだされた新たな物質が、同じ機能をもつとは限らない。ところが現在
 の安全性試験は、既知の毒物しか調べないため、人工的につくられた新たな毒物は検知できない可
 能性がある。結局、我々は、遺伝子操作によって、白分か何を生みだしたのか知ることはできない
 のだ」




 
  「トリプトファン事件」

  1989年に米国では、細菌の遺伝子を組み換えて大量生産した必須アミノ酸の一つ「L-トリ
 プトファン」というサプリメントに有害物質が含まれる事件が起きた。そのため、全米で37人が
 死亡、1500人が部分的に麻舜をおこし、5000人に一時的な障害をもたらした。「好酸球増
 多筋痛症候群(EMS)」と呼ばれる深刻な症状を引き起こしたのである。患者の一人は、「両足
 がまるで電柱のように腫れあがり、大量に薬を飲んでも痛みは治まらなかった」と語っている。多
 くの人々は足から感覚が失われ、さらには内臓、肺へと麻疹が広がって、最後は呼吸困難に至る「
 上行性麻疹」という症状に見舞われた。
  この事件の原因について製造企業の見解は、「品質管理における不手際」というものだった。こ
 の企業は素早く細菌を廃棄してしまったため、それ以上、原因を究明することができなくなった。
 それでも一般には、遺伝子組み換えによって予期せぬ毒物が製造されたことが原因と考えられてい
 る。「トリプトファンを過剰に摂取したことが原因である」という説もあるが、一般の製品でこれ
 はどの被害が出たことはない。
  
  しかも米国食品医薬品局は、バイテク産業の利益を守るため、重要な情報を隠したまま、奇妙な
 理屈を発表した。病気の原因が遺伝子操作にあるとは認めずに、サプリメントー般の危険性を指摘
 したのである。当時の食品医薬品局の目的は、むしろサプリメントの規制に対して権限をもつこと
 にあったからである。製造企業の「昭和電工」は反省の意を表すため示談に応じ、2000人以上
 の人々に総額20億ドルを支払った。

 
  マイケル・アントニウス博士は次のように指摘する。

 「もし今、この製品が製造されても、現在の安全性審査では問題を見逃してしまうだろう。一般
 の製品と比べて成分の99
%以上が同じであるため、。実質的に同等〃と見なされるからである。
 したがって、新たに生まれる可能性のある新規の毒性を発見するためには、あらゆる角度からの安
 全性試験を行なう必要があるのだ。ところがサプリメントに問する基準では、不純物の含有量が製
 品の0.1%以下であれば、新規の毒素が産生されていても検出されずに承認してしまう。これで
 は毒性があっても検査に引っかからないので、再び悲劇がくり返されることになる」

 
                    リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』

                                      この項つづく
  

 

  ●今夜の一曲

今宵は古典音楽を終焉させたグスタク・マーラーの「交響曲第五番 第4楽章 アダージェット」を聴
きながら眠ることに。さても、マーラーの壮大な交響曲は欧州のクラッシック技法を鯨飲し、亜細亜と
融合したところで、マーラーにしてマーラー自らクラッシックの幕を引くことになる。享年51、1911
年5月18日没。「私の墓を訪ねる人なら、私が何者だったのか知っているはずだし、そうでない人に訪ね
てもらう必要は無い」という生前の言葉通り、墓石には「GUSTAV MAHLER」という文字以外、生没年
を含め何も刻まれていないという。それでは、アイゾ・グテン・ナハッ(Also, gute Nacht !)。

 

 

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フェンネルピクルスと冷奴

2014年08月01日 | 創作料理

 

 

● フェンネルピクルスの冷奴

今朝は、フェンネルの花が咲きほころぶワン・シーンをショット。種子も撓わに実し後は収穫を待つば
かり。そこでフェンネル漬けのレシピをピックアップ。スターアニス(八角)、コリアンダー、フェン
ネル、クミンの種を香りがするまで弱火でフライパンで3分間かき混ぜ焙煎、レモングラスとオレンジ
の皮を一緒に薄地の綿布(チーズ袋)で包み入れ括り、あらかじめ塩、砂糖、酢と1/2カップの水を
シチュー鍋で沸騰させ酢液に入れ、ビネガーを香料袋とフェンネルに注ぎ漬し、半日放冷し、さらに、
2週間冷蔵保管しておく。次に、楔状にカットしたチェリートマトとオリーブ油とビネガーを混ぜ塩、
胡椒し30分間室温で放置させておき、食前に、唐辛子が焦げるまで油炒めし、胡椒、フェンネル・ピ
クルス、フェンネルの葉と準備していたトマトに注ぎ和えれば完成。これからが楽しみだが、このフェ
ンネル・ピクルスを冷奴豆腐にふりかければ美味しいことは間違いない。
  

   

【遺伝子組み換え作物論 ⅩⅡ】


                            弟5章 遺伝子組み換え作物の危険性

   ② 広がる危険性

   「害虫抵抗性作物」

  「害虫抵抗性作物」とは「バチルス・チューリングンシス菌(Bt菌)」という土壌菌の遺伝子を
 導入して、作物が自ら殺虫成分をつくりだすようにした作物である。「Bt作物」あるいは「殺虫
 性作物」とも呼ばれる。ところが、この害虫抵抗性「Bt作物」が普及することによって、「Bt
 毒素」に耐性をもった害虫も急速に広がることになる。当初は作物を食べた害虫を殺すが、作物
 体が殺虫成分を含んでいるため、害虫もすぐに耐性をつけてしまい、「Bt毒素」を用いた殺虫

 では駆除できなくなる。そのため、これまで有機農業でも一般に行なわれてきた、「Bt殺虫剤(
 
Bt菌を利用した生物農薬)」を作物に直接、散布して害虫を駆除する安価な方法が使えなくなる
 のだ。
「インド農業研究所(IARI)」の昆虫学者の調査によると、「Bt毒素」に対する害虫
 の耐性は最
長で6年回も持続した。綿の害虫「オオタバコガ」の幼虫は、Bt遺伝子がつくりだす
 毒性タンパ
ク質(CrylAc)に対して31倍もの耐性をつけてしまい、その性質が六世代も受け継が
 れたという
のである。

   自社の広告に対する批判には、ほとんど言及しないモンサント社でさえ、「遺伝子組み換え作物
  による害虫の駆除は、長期的には好ましくないかもしれない。耐性菌を生みだし、畑の中で様々な
  問題を生みだすからである」と認めている。
   しかも、この問題を緩和する方法さえ、無視されているのが現状だ。農家は「Bt綿」の栽培を
 畑の50~80%以下にとどめ、残りの品種は「非Bt」作物を栽培して、緩衝地帯を設置するよ
 うに指導される。ところが2000年の調査によれば、30%近くの農家がこの面倒な指針に従っ
 ていなかった。なぜなら「この規制に従えば、簡単にBt作物を栽培できるというメリットがなく
 なるからだ」と「英国土壌協会」は指摘する。
  最近の研究によれば、害虫が短期間で突然変異し、Bt菌を捕食するようになったと報告されて
 いる。これもまたバイテク産業の誇大広告が都合よく無視している事実であり、Bt菌に適応でき
 る害虫を増やす可能性があるのだ。
 
  さらに問題なのは「Bt作物」が特定の害虫だけではなく、害虫を捕食する益虫までも駆除する
 ことである。その結果、別の害虫を大量に発生させてしまうことがある。中国の「南京環境科学研
 究所」も、「Bt綿がオオタバコガの天敵まで駆逐したため、他の害虫を発生させている」と指摘
 する。カリフォルニア大学が行なったシミユレーションによれば、「害虫の天敵まで殺してしまう
 ため、Bt作物の効果がなくなることがある」という。「Bt作物」が栽培されてから数年で、当
 初から想定されていた問題が広がっている。生物の多様性を破壊し、益虫も駆除することで、害虫
 を抑止することがさらに困難になっているのだ。

 
  「ウィルス抵抗性作物」

  ウィルスに抵抗性をもつ作物も、結果的に、新たなウィルスを急速に進化させ、他の広範な植

 へと伝播することになるだろう。しかも、ウィルスの進化は非常に速いので、遠くない将来に
「ウ
 ィルス抵抗性作物」が「Bt作物」以上の問題を引き起こす可能性がある。


  「フザリウム菌」を育成する除草剤「ラウンドアップ」

  モンサント社の除草剤「ラウンドアップ」は、雑草を一時的に枯らすことはできるかもしれない。
 ところがその反対に、危険な毒素を育成して、時には人を死亡させる危険性がある。それは「フザ
 リウム菌」が除草剤[「ラウンドアップ」を好むという問題があるからだ。土壌科学者ロバート・ク
 レーメル(ミズーリ州立大学)も、「除草剤ラウンドアップの主成分グリホサートは、土壌内にい
 るフ
ザリウムなどの病原菌の生育を促進する」と指摘する(『学術論文50編』)。
  2002年にはミシガン州で、トウモロコシの30~40%が「フザリウム菌」に感染して病気
 が発生し、問題の深刻さが明らかになった。そのため、世界で最も使用されている除草剤に重大な
 問題があり、モンサント社の主力商品である除草剤「ラウンドアップ」耐性作物それ自体にも、フ
 ザリウム菌を生育させる可能性があると考えられている。

  予測できない脅威

  生物学者バリー・コモナー博士(ニューヨーク市立大学・上席研究員)は、「遺伝子組み換え作
 物
とは制御できない巨大な実験である。どんな結果になるのか本質的なことは予測不可能だ」と指
 摘
する。

  遺伝子組み換え作物がもたらす脅威について、さらにいくつかの実例を紹介しよう。

  ・インド南部のアーンドラ・プラデーシュ州では、綿の害虫「桃色オオタバコガ」の発生が問題 
   となった。害虫抵抗性綿の「Bt毒素」は「緑色オオタバコガ」だけに殺虫性をもっているた
   め、それに代わって「桃色オオタバコガ」加入発生し、遺伝子組み換え綿と一般種の綿の両方
   被害をもたらしたのである。
  ・米国で「Bt綿」を栽培した初年度には、数十万エーカーの畑でその機能が発揮されなかった。
   またミズーリ州では、綿花が落下したり、除草剤耐性のはずなのに除草剤を散布したら枯れて
   しまった。テキサス州では、栽培した綿の半数近くが期待したほどの殺虫性を発揮しなかった。
   発芽しない、成長が不均等、収穫量が少ないといった被害が多数の農家で発生した。
  ・米国南部の農家では、高温によって多くの大豆の実が割れてしまった。これは遺伝子組み換え
   によって大豆のリグニン含有量が増加し、茎がもろくなったためであり、収穫量が40%も低
   下しか。
  ・除草剤耐性作物は、一般種よりも病気に感染しやすく、元気がない場合がある。これは新たな
   遺伝物質が導入されたことによって、その植物が本来もっていたストレス耐性が低下したため
   ではないかと考えられている。
  ・ある種の害虫に抵抗性をもった遺伝子組み換えジャガイモは、別の害虫を引き寄せることがわ
   かっている。この事実は、生物の一部の性質を変化させても、複雑な生態系のすべての問題に
   は対処できないことを示している。


 (2)食品に入りこむ遺伝子組み換え作物


  ① 食品への混入事件

  
  「スターリンク事件」


  遺伝子組み換え作物の商業栽培が始まってからわずかしか経過しておらず、その栽培地も限られ

 ているのに、食品に混入する事件は何度も起きており、社会に警告を発している。
  遺伝子組み換え作物が食品に混入した最悪の事故は「アベンティス社(現在のバイエル・クロッ
 プサイ
エンス社)」によって引き起こされた。商品を店頭から撤去するために10億ドルを要した。
 事件は2000年10月に米国で起きた。家畜の飼料用として認可された遺伝子組み換え「スター
 リンク」トウモロコシが、タコスの皮など食品にも混入してしまったのである。「スターリンク」
 を開発した「アベンティス社」は、農家や穀物倉庫の管理会社に対して「スターリンク」を他のト
 ウモロコシから区分管理して、特別な扱いが必要であると伝えるのを怠ったために起きた事件だっ
 た。その結果、300種類を超える食品が回収されることになった。「ABCニュース」は次のよ
 うに報道している。
 
 「スターリンクの生産量はアイオワ州で生産されていたトウモロコシ全体の1%しかなかったが、

 「スターリンク」由来のものではなかった。その代わりに大腸菌からつくられた合成タンパク質が
 提出され、両者は別物だったのに、食品医薬品局は、提出されたタンパク質(9巡の)の純度を独
 自に検査することもしなかったのである。
  アベンティス社が提出した報告書もお粗末だったが、食品医薬品局の科学諮問委員会は、「ス
 ーリンクがアレルゲンである可能性は中程度である」という、当初からの見解を維持した。「ス

 ーリンク」によって死者が出て、生命にかかわるほどの状態に陥った人々が多数発生したにも関

 らず驚くような結論だった。

  
  国際環境NGO「地球の友」は次のように指摘する。

  「スターリンク事件は、規制する側の担当局が、実は。規制される〃側にいるバイテク産業や食
 品産業に大きく依存していることを示した。業界は、公開できない虚偽の報告書を提出することも
 できるし、そのことに対して責任を取る必要もない。・・・・おそらく食品医薬品局は自らが公然と推
 進してきたバイテク事業において問題が起こるのを避けるため、アベンティス社の報告を信用する
 遺を選んだのだろう」
  「スターリンク」トウモロコシが供給・生産中止になった後も、その遺伝子は問題を引き起こし
 た。2000年には南米のボリビアに送られた食糧援助用トウモロコシから、2002年には日本
 に輸出されたトウモロコシから、また2002年と2004年には中米に送られた食糧援助用トウ
 モロコシの中から、「スターリンク」トウモロコシの混入が発見された。他の輸出国でも発見され、 
  メキシコでは在来種の中からも発見された。事件から3年たった米国内でも、検査したサンプルの
 1%以上から発見されている。

  米国のトウモロコシ種子生産農家は次のように語っている。
  「スターリンクという径物の、後片づけをしたのは我々だった。私の農場では、遺伝子組み換え
 作物を絶対に栽培しない。それが私の教訓だ」



  
  「Bt10」トウモロコシのスキャンダル

  
  2005年3月になって、シンジェンタ社は、「2001年から2004年にかけて、EUで販

 売が承認されていない。"Bt10"トウモロコシを数百トン流通させた」ことを認めた。EUでも
 承
認済みの「Bt11」トウモロコシと誤って販売したというのである。米国内では1万5000
 ヘク
タールの畑で栽培されており、15万トンが流通されていた。ただしシンジェンタ社は、輸出
 先の
国名を明らかにしなかった。
 
 「地球の友」のエイドリアン・ベッブは次のように指摘する。

 「この事件は、バイテク業界が、遺伝子組み換え作物の流通をコントロールできないことを証明
 ている。しかもシンジェンタ社は、四年もの間、農家が栽培していたトウモロコシがEUでは未

 認であることを知らせずにいたのである。今後、消費者や農家がシンジェンタ社を信用するはず

 ない。しかもこの事件は、米国における遺伝子組み換え作物の規制策が見かけ倒しに過ぎないこ

 も明らかにした。さらに悪質なのは、4ヵ月前には米国政府もこの事実を知っていたにも関わらず、
 問題が発覚するまでシンジェンタ社と一緒になって秘密にしていたことである」
 
  そもそもこの事件を最初に報道したのは、科学誌『ネイチャー』(2005年3月22日)たっ
 た。事件の発覚後、英国の「環境・食糧・農村地域省(DEFRA」は、沈静化をはかるため翌日
 には見解を発表したが、真実をほとんど伝えずにバイテク産業の利益を守ろうとした。英国の遺伝
 子組み換え反対団体「GMフリー・ウェールズ」は、「英国政府の態度は、責任逃れのための言い
 訳にすぎない。公式には事件を認めていないし、対策を講じようともしない。英国や欧州の各国政
 府は何の対処もしないし、無関心すぎる」と批判した。「欧州委員会(EC)」がこの問題に対応
 したのは10日後のことだったが、「欧州委員会(EC)」と「英国食品基準庁(FSA」は、「
 欧州に輸入されたBt10トウモロコシはすべて家畜の飼料に使われているため、人間への影響は
 ほとんどない」と発表したのである。

  ところが情報公関法にもとづいて「GMフリー・ウェールズ」が人手した情報によると、実はシ
 ンジェンタ社は、「5品種のBt10トウモロコシが、多くの加工食品用に使われた」と「環境・
 食糧・農村地域省(DEFRA)」へのEメールで認めていたのである。
  それでも彼らの公式見解は、「Bt10トウモロコシは、Bt11トウモロコシとほとんど同等
 であり、安全である」というものだった。しかしジャック・ハイネマン博士(ニュージーランド・
 カンタベリー大学遺伝子エコロジー研究所)は次のように指摘する。
 
  「シンジェンタ社の資料によれば、Bt10とBt11トウモロコシには大きな違いがあること
 を示している。夕ンパク質にも違いが見られるし、その他にもまだ確認されていない違いがあるか
 もしれない。たとえばBt10とBt11には、二つの新たな殺虫性タンパク質「Cry1Ab」と「P
  AT」が含まれているが、Bt11よりBt10のほうが殺虫性タンパク質の含有量がかなり多め
 であり、安定性も高い。したがって、アレルギー症状を引き起こす可能性が過小評価されていると
 考えられる」
 
  シンジェンタ社は、Bt10トウモロコシに関する情報を後になってすべて公開した。さらに、事
 件が発覚した際にはシンジェンタ社も米国の「環境保護庁(EPA)」も、抗生物質耐性遺伝子を
 マーカー(目印)として使用していることを認めなかった。EUの承認基準は、不使用を求めてい
 たからである。
  シンジェンタ社は、2000年に起こした同様の事件でも情報を隠していた。遺伝子組み換えが
 混入しているトウモロコシがニュージランドに5.6トン輸出され、違法なことに非遺伝子組み換
 えの種子として使用されたのである。
  こうして、ついに欧州も2005年4月には、Bt10トウモロコシでないと証明されるまで、
 米国産トウモロコシの輸入を中止することを決めた。

 

  遺伝子組み替えトウモロコシ品種一覧



   中国における、未承認の遺伝子組み換え米の流通

  2005年4月に国際環境NGO「グリーンピース」は、中国湖北省で二年間にわたり、未承認
 の遺伝子組み換えイネが違法のまま栽培され、販売されていたことを明らかにした。一般のコメと
 して流通した2004年産の遺伝子組み換えコメは、推定で950から1200トンに及び、海外
 にも輸出されていた。中国の販売者によるとこのコメは、遺伝子組み換えイネを専門に研究してい
 た湖北省武漢市にある「華中将技大学」から供給されたものだった。さらにこのイネの種子はイン
 ターネットを通じて農家に販売されていたと、英国紙「ガーディアン」は報じている。

  「グリーンピース」のセー・パン・チャンは、次のように批判する。
  「バイテク産業は、もはや自らをコントロールできなくなっている。危険な少数の科学者グルー
 プが、世界で最も重要な主食であるコメを自分の手中に収めて、予想もつかない実験に中国の人々
 をさらそうとした。私たちは中国政府に対して、未承認のコメを農地と食品流通から回収すること
 を要請する」
  ところが中国政府の対応は、すべての報道機関がこの大問題について報道するのを禁止すること
 でしかなかったのである。

 
   止まらない混入事件


  同様の混入事件はこの他にも続いている。米国で商業栽培が開始された翌年の1997
年には、
 英国が輸入した大豆の中に遺伝子組み換え大豆が混入していたことを「グリーンピース」が発表し
 ている。その他にも、販売許可を受けていない遺伝子組み換見脈が食用として販売されたり、

 農務省(USDA」が開発した毒性のある遺伝子組み換えトウモロコシが販売されたり、あるい

 遺伝子操作によって糖尿病患者の失明状態と同様の疾患をもつ豚が盗まれてソーセージとして供

 された、といった事件が起きている。

  「農業分野で、バイオテクノロジーを制御することはできない」と多くの人が考えているのはこ
 うした事件が止まらないからである。

 
   ② 不安な「バイオ医薬品」用作物

  そのうえ、人々が知らない悪夢のような出来事がある。それが「バイオ医薬品」用作物の栽培
 あり、遺伝子組み換えによって、一般の作物から医薬品や化学物質を生産しようとしているのだ。

 「バイオ医薬品」用作物の多くはトウモロコシを使用しているが、コメ、大豆、タバコが使われる
 こともある。理論上では、遺伝子組み換え作物を使用すれば、工場で製造するより低価格で薬品が
 つくれることになっているが、今ではそれも疑問視されている。それでもまもなく、「バイオ医薬
 品」が食品の中に混入することになるだろう。医薬品の種類としては、ワクチン、避妊薬、妊娠中
 絶薬、止血剤、食品産業用酵素、アレルゲンタンパク質の分解酵素など、様々なものがある。健康
 上のリスクは不明のまま、遺伝子組み換えされた作物から薬品が生産されるのである。
  
  人間用の「バイオ医薬品」用作物はまだ商品化されておらず、試験栽培を行なっている段階で、

 栽培面積も少ない言壮聡評靉詰皿昌計特‰貼疑牡汪ご。それでも「憂慮する科学者同
 盟」の調査によれば、すでに「バイオ医薬品」用作物が一般の作物と交雑して、食品流通の中に入
 りこんでいる可能性があると指摘する。1997年以降、300回以上も野外での試験栽培が実施
 
されているが、その場所は完全に秘密となっており、市民がことはできない。しかも商品化の一歩
 手前にあるという、恐ろしい証拠も存在する。

   混入していた遺伝子組み換え医薬品

  2002年11月に米国政府はバイテク企業「プロディジーン社(ProdiGene)」に対して、ネブ
 ラスカ州で栽培した1万3600トンの大豆を廃棄することを命じた。食用として生産された大豆
 の中に、承認も安全性試験も受けていない、豚用ワクチンを生産するための遺伝子組み換えトウモ
 ロコシが混入していたのである。世界的に著名なトウモロコシ遺伝学者ノーマン・エルストランド
 教授(カリフォルニア大学)は、「米国政府は幸運だった」と指摘する。
 
 「もしもこの遺伝子組み換えトウモロコシの栽培が、大豆畑の中でなく、トウモロコシ畑の中で

 なわれていたら大変なことになっていた。他のトウモロコシと交雑したら、どのように拡散した

 か知ることもできなくなっていたからだ」
 
  ところがその翌日になって米国政府は、「2ヵ月前にもプロディジーン社は、アイオワ州で同様
 の問題を起こしていた」と発表した。同社は交雑を防ぐために必要な政府の規制に従わず、遺伝子
 組み換えトウモロコシを栽培していたのである。食用として承認されていないトウモロコシの花粉
 が拡散することを恐れた米国鳥務省は、周囲にあった62ヘクタールのトウモロコシ畑を焼却する
 ことを命じていた。
  しかしなぜこの事件は、2ヵ月間も公表されなかったのだろうか。米国鳥務省は同じような問題
 を隠しているのではないだろうか。もしもマスコミによってネブラスカ州の事件が発覚しなかった
 ら、アイオワ州の事件も隠し続けたのではないかという疑問が残るのである。

                     リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』

                                      この項つづく
 

今日も午前中の作業から気がつけば正午を遙かに過ぎていることに気付き即席麺を例のように電子レン
ジチンで小腹を宥め急停なしで、午後4時前までノンストップ。玄関と庭に打ち水と散水を素早く済ま
せ、休憩と夕食に入る。そこで、例の、紫蘇ジュースと炭酸水と氷を冷蔵庫から取り出しグラスに放り
込み、そこにテキーラーを注ぎマドラーでかき混ぜてカクテルをステアし、これに冷蔵庫の絹ごし豆腐
半丁を取り出し、醤油と米酢とオリーブオイルを振りかけ、そこに塩、胡椒、味の素を加え即
席の無国
籍風冷奴をつくり食す。美味である。ところで、ヘリオトロ-プは太陽に向かうペリー原産の
ニオイム
ラサキである。なぜ、ヘリオトロ-プなのか?  高効率と集光型太陽電池の最新の国際特許技術
を調査
作業に入れ込んでいるのはいいが、限界点を越えていたというわけで、ほろ酔い気分でぼんやり
とヘリ
オトロ-プのことを連想した次第。それにしても米国のこのフィールドの特許申請数は半端じゃないね
ぇ~
~~。そんなわけで今夜はこの辺で ^^;。

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