<1月の鑑賞予定映画>
~その日、全国民が敵になった~
2019年 アメリカ映画 (2020.01.17公開)
配給:ワーナー・ブラザース映画 上映時間:131分
監督:クイント・イーストウッド
原案:マリー・ブレナー
脚本:ビリー・レイ
美術:ケヴィン・イシオカ
音楽:アルトゥロ・サンドヴァル
衣装:デボラ・ホッパー
出演:ポール・ウォルター・ハウザー/サム・ロックウェル/キャシー・ベイツ
ジョン・ハム/オリヴィア・ワイルド/ニナ・アリアンダ/イアン・ゴメス
<見どころ>
アトランタオリンピックで起こった爆破テロを題材にした実録ドラマ。
容疑者とされた爆弾の第一発見者と真実を求める弁護士の闘いを描く。
メガホンを取るのは、俳優・監督としてさまざまな作品を世に送り出して
きたクリント・イーストウッド。『スリー・ビルボード』などの
サム・ロックウェル、『アバウト・シュミット』などのキャシー・ベイツ、
『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』などのポール・ウォルター・ハウザー
に加え、オリヴィア・ワイルド、ジョン・ハムらが出演する。
<ストーリー>
1996年、アトランタで開催されたオリンピックで爆破テロ事件が発生する。
警備員のリチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)が爆弾の
入ったバッグを発見したことで、多くの人々の命が救われた。だがFBIは、
爆弾の第一発見者だということを理由に彼を容疑者として逮捕。
リチャードを担当する弁護士のワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)
が捜査に異議を唱える中、女性記者のキャシー・スクラッグス
(オリヴィア・ワイルド)の記事をきっかけに容疑の報道は熱を帯びていく。
<感想>
1996年、アトランタオリンピック公園の爆破事件の容疑者にされた実話を
基に描いた作品。
爆破事件は日本でも報道され、第一発見者が一転容疑者として浮上した
ところまでは覚えていますが、その後このような展開になっていたとは
全く知りませんでした。
主人公のバカ正直加減はちょっとびっくり。不器用な人生にならざるを
得ないし、そのせいで容疑者扱いにされてしまい、見ていて気の毒に
なる。そんな中せめてもの救いは、ワトソン弁護士に出会えたこと。
彼と巡り合えていなかったら、おそらく容疑者扱いのまま刑務所行き
だったかもしれない。スニッカーズのおかげかな?(笑)
マスコミの歪んだ正義感と警察の思い込みで起こってしまった悲劇。
だけど、間違ったことをきちんと認めたという点は、日本より遥かに
マシだと言えるでしょう。
「ジョジョ・ラビット」にも出演していたサム・ロックウェルは
この作品でも素晴らしい演技でした。そして、母親を演じた
キャシー・ベイツの存在感。リチャードとけんかして部屋で嗚咽する
シーンと、記者会見のシーンは圧巻でした。
杜撰な捜査と思い込みによって、犯罪者に仕立て上げられる恐ろしさ。
今では、私たち一般人もSNSの普及で、誰しもが加害者になったり
被害者になってしまう世の中。他人事ではない。
人間の尊厳が、踏みにじられていくシーンは観ていてしんどかったが
主人公が最後までぶれずに信念を貫き通したのは、素直に感動しました。
自分があのような立場になったら?メディアの情報に踊らされていないか?
いろいろ考えさせられる作品でした。
警察・メディア関係者の方に、見てもらいたいですねぇ~。
点数:7点 (10点中)