くらぶとろぴか

きもちはいつもシパダンの海の中。シパダンとコタキナバル旅の備忘録、ときどき弾丸、そしてホームワークアウトおたく。

シパダン~大物出現の傾向分析(信憑性はいまいち)

2009-03-11 23:49:38 |  ダイビング
今夜は白く冷たく光る月がとてもきれい。
こうして満月が来ると、満月=大潮=大物という発想でダイビングに行きたくなる。実際、私がダイビングにゆくときは、大潮を狙うことが多い。

モルディブのサファリボートに乗るときには、アリ環礁で潜る日が大潮にあたるような日程にしてジンベイ大当たりとか、バリでは大潮になったとたんに水が変わってマンボウが出てきたり、大潮のときにはいいことがいっぱいあった。ただし、シパダンを除いては・・・。

私は今までExcelを本格的に使う仕事に携わったことがない。せいぜい既存のテンプレートに、データをちょこっと入力して上書き保存するレベルだ。でも、Excelくらいちゃんと使えないとね、と思って、最近ゆるゆると独習をはじめてみた。資格と語学はお金をかけずに、がモットーなので、これまでのダイビングのログをExcelに入力したものを使って、いろいろなExcel独習サイトをみながら、過去のダイビングを分析しつつワザを習得するきょうこの頃。そんななかで、現在1500数十本のログのうち、まず、カパライやマブールは除いた、純粋にシパダンのポイントだけにフィルタをかけてみたら約700本あった。1ダイブごとの時間や深度、見た水中生物といった一般的なデータに、タイドテーブル、月齢表のデータを加えていろいろ分析してみた。われながらヒマな話だ。貧乏暇ありなのだ。なんでこんな物好きなことをしているかというと、昨今のシパダン入島制限の厳しさゆえに、いつ、どんなタイミングでいったら、少しでも効率よくシパダンで潜れ、かつ、ハンマーヘッドの群れにあえるのか、というのが、私にとっては重要なテーマなのだ。そして大潮の日のダイビングは、たまたまかもしれないが、平凡で地味なものばかりだったことを発見した。

このあいだ、プロゥ・ウェーのミニバスの中、前の列にすわっていた初対面同士のマレー人とオージーが、今までどこへいった、どこがよかったという会話をはじめ、シパダンに行った自慢をしあっていた。初対面で開口一番、「今までどこで潜りましたか?」と尋ねてきて、自分が行ったところを列挙する人がたまにいるが、私はそういう社交スタイルがあんまり好きじゃない。彼らの会話をしれっと聞いていると、「Sipadan has everything!No1!!」と絶賛しているので、<そんなにシパダンがいいなら、なんでウェーに来たんかい?>と、実際にウェーにやって来た自分のことはタナのうえにあげてつっこみたいところだった。Everything・・・。私にとってもシパダンの海が世界一だが、もちろんシパダンにEverythingがあるわけではない。でも、私が行ったことのある海の中では、シパダンはどこよりも魚影が濃いし、他ではドン深でしかみられない魚が浅いところでみられたり、同じ種類の魚でも他の海域よりサイズがでかかったり、No1だと思っている。それにアオウミガメ密度の高さはきっと世界一だろう。昔、パラオの某有名イントラが、魚の発生起源は、フィリピンとどこかとどこかを結ぶ三角地点であり、そこから離れれば離れるほど魚影は薄くなってゆく、魚の発生はパラオだ!と豪語していたが、私はシパダンだと思っているくらいだ。そうは言っても、モルディブのダイブサファリでは、わずか1週間の日程で、頻繁に三冠達成(ジンベイ、マンタ、ハンマーヘッドに遭遇)できるが、シパダンに1週間いて三冠達成はまず無理。達成したら、ジャンボにあたるくらいのミラクルじゃないかと思う。それでは、シパダンでは、どんなときに大物が出てくるんだろう。

この「三冠」の中で、シパダンでいちばん期待できるのはハンマーヘッドだ。私はいつも潜降すると、最初の約10分はディープで、沖と深場にひたすら目をこらす。毎回、彼らにあいさつしようと思ってるのに、最近はなかなかお出ましにならい。DECOは出さないようにしているが、窒素のとりこみ損続きだ。セレベス・エクスプローラーのスタッフによれば、「シパダンがクローズしたあと、ハンマーの群れは見ていない」んだそうだ。「単体をみつけることも難しくなっている」とさえ言う。「今は朝の1本目を6時ではなく7時にしているから難しいんだ」と言うスタッフもいる。シパダンのリゾートがクローズしたあと、水中環境はどんどんよくなってきているのに、ハンマーとは疎遠になる一方。ハンマーはボートのエンジン音を嫌う、ともいうが、島にリゾートがあり、今のような厳しい入島制限が無かった頃には、もっとボートの往来も多かったはずなのに、生き物は不思議だ。

94年9月、私のシパダン初ボートダイブは、カベもなく、サカナもいないところからはじまった。ここのダイブマスターは、なんでこんなに何もないところを泳がせるんだろう、と猜疑心におちいったのもわずか数分、ハンマーが登場した。わざわざ外洋からエントリーしてハンマーをさがすスタイルだったのだ。しょっぱなからいともあっさりハンマーを見てしまったので、シパダンではハンマーはごくあたりまえに出てくるんだ、と思い込んでしまった。94年9月には、群れで出てきたり、ハンマーがあたりまくっていた。そしてシパダンにどっぷりはまった私は、それから年に3~4回ペースでボルネオ・ダイバーズに通い続けたが、とんとハンマーは見なくなってしまった。とはいえ、シパダンに通い始めた頃は、ハダカハオコゼの白と赤がKissしていたり、トラフザメがHしながらあがってきたり、ニタリが出たりと、毎回がレアな場面の連続だったのと、ハンマーは見たことがあるからと、そんなにハンマーを渇望してはいなかった。

結局、94年9月の次に私がハンマーを見たのは、ミレニアムのお正月のことだった。ずっとボルネオ・ダイバーズ一辺倒だった私が、「アブディラはドロップオフから遠いかわりに、朝6時にバラクーダポイントでボートダイビングができる」と聞きつけ、どうしても夜明けのバラクーダポイントに潜ってみたかったがために、そして、ボルネオ・ダイバーズの、やたらとテンションが高いニューイヤーパーティーが苦手だったことも手伝って、アブディラ・シパダン・パラダイスを使ったときだ。そのときのダイブマスターは、今もセレベス・エクスプローラーの現役であるジェリー。ちょうどサンゴの白化現象で、リーフ上のハードコーラルも、ウォルのソフトコーラルも枯れ果てて、不毛な水中景観だった時代だ。となると楽しみにするのは、レア物や大物。みんなでジェリーに「ハンマーヘッド!」と連呼してリクエストしたら、朝6時のバラクーダ・ポイントでしっかりみつけてくれた。一匹だけだったが、5気圧の世界でアドレナリンが出るのを感じた。ハンマーさがせばいるんじゃん、と思った。

その次の旅行では、ボルネオ・ダイバーズに戻ったが、ハンマーのハの字もなかった。ダイブマスターも何度か代がわりしていて、外洋から攻めるなんて人材はいなくなっていた。そして、私にとって9月のシパダンというのは年中行事なのだが、たまたま2000年9月にはボルネオ・ダイバーズが満室だったので、お隣のSDC(シパダン・ダイブ・センター)に行った。そうしたら、SDCのダイビングでは、ハンマーヘッド連発。これですっかりハンマーヘッドモードに着火してしまった。そしてまたボルネオ・ダイバーズスティに戻ると、なんだか物足りなくなってきた。ダイビングはリラックスもよいが、アドレナリンも放出しまくりたい。ダイブマスター達はのほほんと先頭を泳いでいるだけなので、自力でハンマーを探しまくった。ある日バラクーダポイントの水深20mちょっとで、グループの一番後ろを泳いでいたら、背後に視線を感じた。パッと振り向いたら、こどもが2匹ついてきていたことがあった。彼らがあまりにも私の真後ろにいたので、なんの迫力もない、いたいけなチビッコだったのにもかかわらず、私はびっくりして一瞬かたまってしまった。同時にかたまるハンマーキッズたち。そして次の瞬間、一目散に逃げていった。その後も水深30mくらいで、沖をみていると、遠くにハンマーの群れがいたり、タンクバンカーを持っていなかったので、人に知らせるすべもなく、一人で勝手にみてしまうことが続き、ダイブマスターに「Uはなんでハンマーがみつけられるの?みつけたらちゃんと教えてよ」と言われ、ダメダコリャと思い、ハンマーをみつけてくれるSDCの子になることにした。

それからクローズまでの約4年間、SDCのダイブマスターたちはよくハンマーに導いてくれた。朝のうちや水温が低く、にごっているときのほうが出現率は高い。でも、その限りでもなく、青い海に現れることも、15時すぎのダイビングで17匹出てきたこともあった。ドロップオフでのサンセットダイビングで出ることだってある。私のハンマー体験でいちばんすごかったのは、午前11時台のスタッグホーンクレスト。グループからは離れて、カベがぎりぎり見えるあたりの沖をバディと流していたときだ。最初、水深30mで、ハンマーが足元にくっきりと1匹見えた。35mまで深度をさげると5匹に増えた。さらに40mまでゆくと、足元には、ハンマーだらけ・・・。池でおたまじゃくしがうようよいるごとく、ハンマーがうようよ、にょろにょろしていたのだ。百単位ではなく千単位。エルバホやラヤンラヤンの比ではない数で、サウスポイント側まで、視界の届く限り、ずーっと途切れることなく、川のように続いていた。きもちわるいほどいっぱいいて、窒素に強い私が、窒素がまわったのかのように、笑いがとまらなかった。このクローズの2004年はハンマー大当たりだった。となると、シパダンのハンマーヘッド大当たり年は10年周期?

2005~2006年には、カパライに何度か通っていたが、単体を年に1回ずつ見ただけ。2007年からはセレベス・エクスプローラーに乗っているが、年に1回、それもやはり1匹、2匹といったレベルだ。そうはいっても、ボルネオ・ダイバーズでハンマーの群れにあったという話を風の噂に聞いたり、You Tubeにハンマーの群れが投稿されていたりするから、タイミングと運しだいなんだろうとは思う。たぶん、SDCなみの探し方はどこもしないだろうから・・・。ちなみに、Excel関数で、ボルネオ・ダイバーズとSDCの平均水深の間には9mの差があったことを知り、今さらながらびっくりした。ちょっと苦笑。

なんだかんだ言っても、私のシパダンログでハンマー遭遇率は全体の3パーセント程度だ。群れにはほとんどバラクーダポイントで逢っているが、多くても50くらい。そして、群れは5月と9月に集中していた。単体は、いろんなポイントでヌッと出てくる。スタッグホーン・クレストで私がハンマーを見たのは、あとにも先にもあの超大群1回きりだが、友達が走馬灯のようなハンマーの群れを見たというのもスタッグホーンクレスト。私が寝坊したときに、「川のようなハンマーの群れが出たのに、何寝てんの?」といわれたのもスタッグホーンクレスト。となると、出現率は低いにしても、超大群のチャンスはスタッグホーンクレストにあるのかもしれない。そして、ハンマーをもたらす潮は、中潮、小潮、長潮の順だった。
あとは、私がカメラを持っていると、まず出てこない。第一、コンパクト・デジカメのアクリルのプロテクターでは、まともにハンマーを追ったら水没しそうだ。


「三冠」の中で次に期待できるのはマンタ。でも、シパダンではマンタにはごくたまーに会う程度だ。世界中に、マンタポイントは数しれずだが、シパダンのように、お約束のマンタポイントではない場所でマンタに会うのは、とてもうれしい。シパダンのマンタは、ホバリングをしないので、リーフ沿いにクールに現れ、クールに去ってゆくだけだ。あるダイブマスターによれば、きっと水深70mくらいにクリーニングステーションがあるんじゃないかと言う。マンタもシパダンデビューのボート初日とか、お正月とか、シパダンクローズの日と、なんだか個人的に節目節目に出てくる。ちょっと違うが、ピグミーマンタ(ヒメイトマキエイ)もときどきやってくる。でも、イトマキエイは、ヒメよりオニが好き。エイつながりでいえば、マダラトビエイは相当レアだ。


そして、「三冠」の中で、シパダンではいちばん難しいのがジンベイ。
おまけに私は、シパダンのジンベイの神様に、よくよく見放されていて、もう5回もふられている。
1度目。95年2月。別のグループのボートでジンベイ出現。
2度目。97年3月。島を去る日の昼のボートでジンベイ出現。
3度目。05年4月。シパダンに行く前日ジンベイ出現。
4度目。07年9月。セレベス・エクスプローラーで、同じ時間帯にバラクーダ・ポイントに潜っていたもう1グループのところに出没。
5度目は、去年、セレベス・エクスプローラーの、別グループが遭遇。
私はどうやらシパダンでジンベイを吸引する力はあるようだが、逢えない星の下にいるらしい。最初は、ものすごく悔しかったが、最近は、達観している。
このジンベイニアミス惨事も、中潮、小潮のときに起こっている。
ジンベイ出没は、サウスポイントが多かったらしい。
それにしても、シパダンでのジンベイの目撃例がせいぜい年に1、2回なのに、私のニアミス率はすごい!と、もう自負している(!?)
私と同じ時期にシパダンにいて、私と別のボートに乗れば、あなたもジンベイにあえるかも!?


シパダンでは、滞在中に一冠でもGETできたらラッキーなのだが、大物達は、こうしてなぜだか大潮以外の潮周りにやってきたのだった。2回のニタリは、中潮と長潮、そして2回ともなぜか雨だった。長潮も、ニタリに加え、ハンマーの群れが出たり、トラフザメのHとか、シパダンの長潮はあなどれない。それなのに、なぜに大潮が私にとってはさえないダイビングばかりだったんだろう?大潮→中潮→小潮→長潮→若潮→中潮→大潮という1サイクル15日の中では、中潮の日数がいちばん多いから、それでいろいろ見られただけなのだろうか。大潮の日より小潮の日数が少ないってことを考えると、大潮がスカだったのは、単なる偶然か、それとも、やはりこれは傾向なのか!?

私の限られたタンク本数でのデータでは、思い込み半分だけれど、またログが増えて、異なる傾向が見えたら、お知らせしましょう。