くらぶとろぴか

きもちはいつもシパダンの海の中。シパダンとコタキナバル旅の備忘録、ときどき弾丸、そしてホームワークアウトおたく。

マンタナニ・デイトリップ顛末記・1

2009-05-06 20:17:29 |  ダイビング
5月5日のこと。

KKでは正味2日しか時間がない。
1日は、島にもゆきたいし、できれば圧縮空気も吸っておきたい。
KKから15分のマムティック島にゆくか、約2時間半のマンタナニにゆくか悩んだ。

マムティックは、昔、ボルネオ・ダイバーズでIDCを受けたり、PADIのPROJECT AWAREで水中ゴミ拾いをしたり、マクロを楽しんだり、いろいろと思い出のある島だ。

マンタナニにはかつて、ダイバーとたわむれるニッキーというジュゴンの男の子がいた。3年前のことだ。マンタナニでジュゴンと泳げることを、元シパダンのスタッフから聞き、あわててマンタナニ計画をたてたが、そのあとわずか1ヶ月半ほどで、「ジュゴンいなくなっちゃいました」と知らされた。人々の間では、ジュゴンはマンタナニの海草を食べつくして別の海域に移ってしまったとか、ボートにひかれて死んでしまったと、いろいろ噂された。ジュゴンがいないことを承知で、06年6月にマンタナニに潜ったが、パッとしなかったことは否めない。

それでも、南の島らしさを満喫するなら、安くて近いマムティックよりは、遠くて高いマンタナニかなとという思い込みだけで、マンタナニゆきを決めた。

さて、5月4日にマンタナニへ行きたかったのだが、ダイビングサービスから5日にしてくれと言われた。6日の午前中にはKKから飛び立つ予定なので、5日なら午前中1ダイブがやっとだ。別にマンタナニのダイビングに執着はないので、1ダイブでかまわないし、午後はシュノーケリングをすればいいやと、5日でOKした。

5日の朝、6時すぎに起きると雨。雨はほとんど止んでいたが、できることなら出かけるのをやめてしまいたいと思わせるグルーミーという言葉がぴったりの朝だった。ジェッセルトンホテルの宿泊代金には朝食が含まれているので、6時20分頃レストランにゆくが、入り口には誰もおらず、中も薄暗い。まだやってないのかな、と数秒棒立ちになっていたら、ウェイトレスが出てきた。基本はアメリカン・ブレックファストで、それが一番高額メニューなのだが、トーストや卵料理といった気分ではない。前はお粥やミースープがあったが、今の朝メニューにはなかった。かわりにクリスピー・フライドヌードルをお願いした。前日のメルキュールの朝食がショックなくらいおいしくなかったので、今朝は、薄味ではあるが、無難においしくいただけた。こぢんまりとしたホテルのレストランだけに、バフェではなく、オーダーしてから暖かいものを作ってくれるところがよい。

↓携帯でとってぼやけたヌードルと、レストランからの眺め。どんより。


レストランから部屋に戻ったのが7時頃。きのう買ったマンゴを食べたり、ミネラルウォーターを飲んだりしていたら、すぐに時間がたった。この時点になって、朝食にはコーヒーとオレンジジュースがついていたし、水分の取りすぎになっていることに、はたと気づいた。マンタナニへは、まずKKから車でコタブルという町まで90分走り、コタブルのJETTYからスピードボートで45分かかる。今のタワウ空港からマブールよりも時間がかかるのだ。前回は、途中で寄ったトゥアランのシャングリラ・ラサ・リアで、皆ぞろぞろとトイレを借り、さらに、コタブルのJETTYでは民家のトイレを借りたことを思い出した。民家の人はとても親切だったけど、トイレは伝統的なマレースタイルだったので、きつかった。中にはこれなら我慢すると、トイレに入らなかった人もいたほどだ。トイレに行かないですむよう、不要に水分はとらないようにしよう、と思っていたのをすっかり忘れていたが、時すでに遅し、だ。

ダイビングサービスからのピックアップは、7時40分の約束だった。時間どおりにロビーへ降りるが、まだ迎えは来ていない。ソファにすわり、5分、10分と待ちぼうけ。別に急ぐこともないしと、寛大な気持ちで待つことにした。だいぶ待ったあと、いかにもマリンスポーツ斡旋してます、っていう風体の、色黒のごつめのお兄さんが、勢いよく入ってきた。普通、オプションやらマリンスポーツの出迎えの人って、会った瞬間に、お互い、こいつに違いない!と、通じ合うことが多いのに、どうもむこうのりアクションがない。今思えば、きっと私は、彼がピックアップに来たお客と、性別か国籍が明らかに違ったのだろう。でも、他にロビーにゲストがいないので、こちらから声をかけると、「カヤック?」と聞かれて違うことが判明。私は迎えが来ず、彼は客が来ないといった状況だ。天気のせいもあり、いっそこのまま迎えが来ないのなら、来ないでいいや、ってな気持ちになってきた。8時すぎたら撤収しようかな、なんて考えはじめたが、まさに8時、こんどはいかにも、僕はスキューバの仕事に携わってます、っていう風体ではあるが、薄い顔立ちの無難なお兄さんがやってきた。「ジャムがすごくて~」とひととおり謝られた。KKの平日朝夕の渋滞は、毎度のことだろう、とは思ったが、そのときは「ザッツオーケー」と答える寛大な私だった。こうしてようやくジェッセルトンを出たとき、カヤックのお兄さんは、まだゲストに会えずに右往左往していた。

迎えのバスに乗り込むと、車内はキンキンに冷えていた。すでに先客が5人。浅黒い西アジア系カップルと西洋人熟年カップル、あとは日本人女性がひとりが乗っていた。いちおうまとめて「ぐっどもーにんぐ」と挨拶をするが、リアクションがない。挨拶できないダメ大人たちに、ちょっとムッとする。

KKの町を出ると、西海岸っぽい(と私は思う)椰子の木が整然と立ち並ぶ海沿いの道になる。バスはとばしまくるが、常時、ギー、ギュー、グォーといったものすごい音が床下から鳴り続けてくる。車軸は大丈夫なのかしら、どこかのバスみたいに炎上したりしないのかしら、と、ちょっと不安になる音だ。普通の車からはこんな音は出ない。外観はきれいに塗装してあるが、車体はそうとうボロとみた。



ジェッセルトンを出るとき、薄顔スタッフに「もう1件ホテルに寄ります。」と言われていたが、そのホテルに着く前に、車はガソリンスタンドで止まった。まだ早いけれど、せっかくだし、備えあれば憂えなし、トイレに寄る事にしよう。スタンド内のコンビニに入り、「トイレどこですか?」とたずねると、店員の女性が親切に裏にあるトイレまで案内してくれた。ところが鍵がかかっていて入れない。中にいるのは、このコンビニのスタッフらしい。店員はドアをノックしながら、「エナ!空けてちょうだい!お客さんが待っているのよ!」とせかしてくれている。中のエナという人は、「もう片方を使えばいいのよ!」と言い返してくる。隣のトイレは男性用で、そんなことはかまわないが、「隣もふさがってるの!出てきなさい」と店員。買い物もしていないのに申し訳ない。中のエナは、どうもシャワー中らしい。店員は、「外で人が待ってるんだから、早く出てきなさいよ!」と言い残し、ごめんなさいね、という顔をして戻っていった。そのあと、隣の男性用トイレを借用するスキを伺うが、そちらも一人出たと思えばまた入る、切れ目ない状態なので、私が割って入る余地はない。それでもエナは出てこない。こんどは店員の男の子が通りかかり、「空いてないの?」と聞くのでうなずいたら、また激しくノックをし、「エナ、あけなさい!」とはじまった。またエナが、「隣のトイレがあるでしょ!」と同じことを言ってくる。「隣も使用中なんだよ!早く出ろよ!」という応戦を3分くらい繰り返す。男の子は根気よく説得にあたってくれたが、ついにエナが降伏することはなかった。店員たちが誰が中にいるかわかっていて、しつこく出るように言うなんて、もしかすると、エナは常習的なトイレ立てこもり癖があるんだろうか?結局、エナが出てくる気配はなく、私も切羽詰まってるわけでもないので、皆を待たせても悪いしと思ってバスに戻った。コンビニよりは快適であろうホテルのトイレにゆく方がよい。みんなを待たせてしまったかな、と思ったが、バスにはまだ全員が戻ってはいなかった。

さて、もう1件のホテルとは、きのう私がチェックアウトしたメルキュールだった。メルキュールのトイレはロビーにはなく2階にある。不便。2階だから、階段を駆け上がりたいところだが、見当たらないので、エレベーターに走る。昇りはエレベーターのドアがまさにしまるところだったが、中にいた白人の女性は、親切にあけてくれた。トイレからはすばやく出るも、こんどは下りのエレベーターがなかなか来ない。朝のチェックアウトラッシュだから、仕方ないが、みんなを待たせてしまう、といらいらいら。やっと来たエレベーターは、荷物をもったチャイニーズ系で、ほぼ満員になっていたが、止まったからには乗れるはずと、なんとか乗り込む。早く戻らなきゃ、と早足でロビーをすりぬけたが、その必要はなかった。私がトイレに走る前に、薄顔スタッフとゲストは合流していたわりには、まだロビーにいた。

全員がバスに乗ると、薄顔スタッフが、「これからコタブルのJETTYに向かいますが、波が高ければ、マンタナニへゆけないかもしれません。その場合は全額返金です。」と、散らばって座っているゲストおのおののところに出向き、説明してまわった。フィリピンで台風が発生し、その尻尾がサバにかかっていて、海が荒れているんだそうだ。

3年前にマンタナニにトライした際も、1日めは海況が悪いとの情報が現地から入っていて、KKから出ることなく、マムティック・ダイビングへ変更された。2日めも、いけるかどうか、といった出発だった。こうなると、マンタナニって東海汽船の条件付出港みたいなことが多いサイトなのかもしれない。

車がメルキュールを出発すると、工業団地や集落がたまに現れる程度で、本格的な田舎になる。やがて田んぼが広がりはじめる。日本の米どころと同じような感じだが、椰子の木やバナナがあったりするところが違う。5月はカマタンフェスティバル、サバの収穫祭の月であるが、いまのところ田んぼは青々。休耕田とおぼしきところも多かった。去年のカマタン時期には、「サバは今収穫祭だけど、米がない」と言っていた。今年はどうなんだろう。休耕田ぽいところもかなり多いので、収穫量はあんまりないんだろうな。KKのマーケットでも、サバ米は、あまり安くないが、癖がなくて、私は好きだ。



その頃には、太陽も力強くはないが、出てきてくれた。道中キナバル山は、ついさっき右に現れたと思えば、こんどは左に現れ、といった調子で、道はかなり巻き巻きしている。そして、猛スピードで走っても走っても着かない感じのコタブルへのドライブ。だんだん牛とすれ違う機会もふえてきた。なんだかなごむ。3年前は、牛が車道の真ん中に座り込み、牛さん渋滞を繰り広げていたが、今回はそれはない。



コタブルJETTYまであと15分という位置にあるガソリンスタンドでもう一度バスは止まった。どうやら、休憩目的ではなく、現地と海況確認の電話をするためみたい。このごにおよんでも、「とりあえずボートは出るけれど、波が高かったらごめんなさい。」ということだった。やっとJETTYに着くと、マンタナニ到着予定は11時頃と言われ、モデルスケジュールよりすでに45分遅れだ。

コタブルのJETTYから見るキナバル山の形は、KKから見るのと形が違う。サバ州の州旗や、ガイドブックやポストカードでよく見る、なじみのキナバル山の形ではない。裏キナバル?それにより近くて全容が見える感じだ。



さて、JETTYの入り口には、簡易なトイレが3つできていた。民家のスクワット型とはちがい、ビジターむけに型は洋式であるが、だいたいは水洗のノブがばかになっていて、フラッシュできない。結局、ひしゃくでため水をすくう、マニュアル水洗となる。

ところでJETTYには、先に着いていたチャイニーズ系の人がたくさんいた。ボート2ハイでゆくのだから、先に着いた人々を、さっさと乗せて行ってあげればいいのに。このJETTYで、名前を書いてサインをするだけの簡単なダイビングの免責フォームに記入するが、その後もしばらく出発する様子がない。いつ出かけるのか、まったく沙汰がなく、これまでのピックアップ状況といい、サービスの段取りの悪さが露見してきた。そして唐突に出発となった。海は見た目、大して荒れてそうにないが、ボートがいったん走り出すと、そこそこうねりはあった。ダイビングインストラクターだと名乗る、これまた普通のお兄さんとだべりながら、島へむかう。なんでも、「きのうはボートで15分走ったところで、波が4m以上あったから戻ってきたんだ」などと言っている。これだけ時間をかけてきて引き返すのはごめんだ。しかし、前方にはマンタナニ、後方にはキナバル山をみながら、ボートは揺れつつも順調に走り、島はどんどん近づいてきた。

UMSの水族館

2009-05-06 19:19:07 |  旅行
5月4日のこと。

メルキュールの部屋から、UMSが見えた。UMSとは、マレー語スペルで、Universiti Malaysia Sabahの頭文字だ。UMSのボルネオ海洋研究所には、一般にも公開している水族館がある。ボルネオ海域の生物をメインに紹介したもので、たぶん、ジンベェもマンタもハンマーもいないと思う。普通種ばかりで、小さな水族館のようだけれど、UMSはすぐそこだし、せっかくだから行ってみなきゃ。

ホテルのレセプションで、「UMSの水族館に行きたいんだけど、歩いて行ける?」とたずねたら、「タクシーよ!」と二人のお姉さんが口をそろえて言った。「それにきょうは日曜だから、明日にした方がいいわ。お役所は土日は休むものなの。役所ってのは、いい仕事よねぇー。」と片方のお姉さんが言う。そりゃあんた、ツーリズムは土日祝日がかきいれどきでんがな、とつっこんでやった。サバ観光局、UMSいずれのサイトを見ても、水曜と国民の祝日が定休となっていても、日曜休みとはどこにも書いていない。それでも、きっと地元の人々の言うことに従った方が無難にちがいない。翌日、KKに移動がてら寄ることにした。

KKの空港から1Borneoに来るとき、UMS入り口と1Borneoは目と鼻の先に感じられた。だから、キャンパスを適当に散歩しながら、水族館を探そう、くらいに思っていたが、そんなもんじゃなかった。タクシーでキャンパスに入っても、まだまだ続く車道。しかもキャンパス内は起伏も多いし、大型のスクールバスも何台もとまっている。日本の大学とは大違いだ。とにかくでかい・・・。キャンパス内の移動に車がいるとは!なんでもUMSは1週10キロあるらしい。それに、東南アジアで一番美しい大学といえるのもうなずける、とてもキレイなキャンパスだ。私が今大学生だったならば、ここに留学してマリンバイオロジーでも学びたいところだ。

学内に入ってから水族館までの距離の方が、メルキュールからUMSの入り口の距離よりも、はるかに遠かった。水族館の中に入ると、そこはシパダンの水中ジオラマになっていた。見上げると、上方にダイバーがおり、バラクーダの群れ、マンタ、ハンマーヘッドもいる。このジオラマは水族館の目玉のようだが、申し訳ないけれど、しょぼいと思う。でも、角度によって見え方も違うし、シパダンを実に簡潔に表現していると思う。





水族館の中は、このシパダンジオラマをはさんで、左右2つの展示室にわかれている。右手には水槽、左手には、クジラの骨の標本が見えた。まず、右手にすすんでみる。

予想通りとても小さな水族館のようだ。奥のほうの水槽は、階段を何段か上がったところにあるが、おそらくあれでつきあたりだろう。そして、館内には誰もいないことに気がついた。遠くから、ネコが鳴くような声がしてくるだけだ。そういえば、WEBに入場はマレーシア人RM5、外国人RM10と書いてあったけど、いったいどこで払うんだろう、と思いながらもどんどんすすむ。

まず、最初の水槽にはロブスター。写真じゃよくみえない。



次は、四角いシーグラスの水槽。近寄ると、奥のほうにいた黄色いシーホースさんと、エビさんが寄ってきた。この2匹、私が左にいけば左、右にいけば右についてきてくれるので、愛着をおぼえてしまった。好奇心が強いのか。それとも自分たちのテリトリーに近づくな、と言いに来ているのか。もしくは、餌の時間をまっているのか。エビさんというのは、すごく視力が弱いときいているが。見えてるのかな。奥の方には、白いシーホースさんがいたが、こちらは無愛想だった。シーホースさんたちにも性格があるもんだ。





お次は、あんまりきれいではないサンゴの水槽。ギチベラが一匹いるが、サンゴともどもパッとしない色彩。カクレクマノミが出てきたが、すぐに隠れられた。





さらに奥にすすむと、階段の手前からいきなりネコが現れた。さわると痒くなったりしそうなので、かまわないでおこう。



ところがネコは足元にすりすりしてくる。とりあえず、どんなにまとわりつこうが、相手にせず、ずっと無視を決め込むことにした。それに私はクールでシャープなネコのみがすきで、やたらなれなれしいネコは好みじゃない。しかし、ネコはしつこさを増すばかりなので、さっさと上の水槽へ移ろうと、階段めざして急ぎ足ですすむ。それなのに、ネコはなお足元にからみつくので、ふりきろうと駆け足で階段をのぼったら、足裏に何かやわらかい感触がした。その刹那、ネコが「ギャー」と叫んだ。私もギャーと叫んだ。ネコの足を思い切りふんづけてしまったのだ。「おー、ごめんよ。だから着いてきちゃだめだよ。」加減なしに踏んだわけなのだが、ネコは絶叫ぶりと、数秒だけ痛そうに前足を気にしたわりには、またこりずにまとわりつきはじめた「また踏まれたいのかい?」

階段をあがると、右手にレモラの水槽があった。レモラというのは、私が嫌いな数少ない魚類のひとつだ。頭のすいつくコバンを生理的に受けつけない。



気をとりなおして、一番大きな水槽にゆくと、巨大なグルーパーがいた。ハタ科にはちがいないが、クエか、タマカイか、コッドか、ハタ界に明るくないので識別できない。



そして、ナポレオンが奥をのそーっと泳いでいた。少し移動すると、ナポレオンがこんどは寄ってきた。上方からはハコフグなんかも寄ってきた。



とくに面白みはない水槽だが、ダイビングを始めた頃は、GBRのジャイアントポテトコッドに囲まれたいとか、ナポレオンフィッシュが見たいとか、ずいぶん控えめなウィッシュ・リストだったな、とふと初心を思い出した。

続いて、左手には、もうひとつ、ハタ科の水槽があった。マダラハタだろうか。近づくとみんないっせいに寄ってくる。その間もネコがうざい。



私が水槽に近づくと、水槽のふちにネコがぴょん、と乗っかった。すると、ハタたち、それまでのっそりしてたのに、蜘蛛の子を散らしたように上方へ去った。ネコは危険だと、本能でわかるんだ。そして、ネコが下りると、みんなまた、のっそり戻ってきた。



これがラストの水槽で、生き物が入った水槽は8個しかなかった。そしてこんな小さな建物の中でも、ネコのなわばりは決まっているらしく、シーグラスの水槽に戻った頃には、ネコの姿は見えなり、また奥のほうからみゃおみゃおという声だけが聞こえてきていた。

もう一度、いちばんなごめたシーグラスの水槽へ戻り、別の位置から覗き込むと、砂の上にカブトガニの幼生みたいのがいるのに気づいた。小さくてかわいい。そしてまたもエビさんが、やってきてくれた。かわいい子達だ。





水族館には、マングローブ・ウォークのがあるのだが、そちらには出れなくなっていたので、ふたたびシパダン深海ジオラマを通り、左手の展示室に移ると、そちらは標本の間で生命感がまったくない、白骨ワールド。

まず入り口にクジラの骨。これがおそらく水族館的には第一の目玉なのだろう。Cuvier’s Beaked Whale、アカボウクジラという種らしい。





あとは、さまざまなサンゴの標本が展示してあった。みんな真っ白なので、目には楽しくない。やはり水中で生きてカラフルな状態でないと。



こちらはマブールで採集されたサンゴ。



奥にカメの標本があったが、みんな目玉がないので、近くでみるとこわい。作り物の目玉、入れましょうよ。



こうして最後まで貸切のまま、30分たらずで外に出た。立ち止まらなければ、ものの10分もかからない大きさだ。外に出て、「ここって、お金はどこで払うんざんしょ。」と聞くと、タクシードライバーが「そこ。」と指をさしたところが、受付。いかにも入場券売り場といった窓があいて、10リンギット差し出すと、「フリー!」といわれた。「トゥリマカシ」と帰ってきた。

ボルネオのジンベエについてとか、興味深い記述もあったが、たいしてうんちくが深まることもなく水族館をあとにした。でも、多くの魚がこちらに近づいてきてくれるし、魚市場見学と同じで、魚類とかかわる時間ってのは、ダイバーにとっては少なからず、楽しいもんだ。

1Borneoでの休日

2009-05-06 17:49:59 |  旅行
5月3日のこと。

KK検疫事情
シンガポールからのシルクエアーは、キャビン後方がいつもすいているので、後方から2列目をとってもらった。乗ってみると便はすいていて、後方5列目くらいから後ろは他に誰もいなかった。これじゃインフルエンザを発症する人が万が一機内に出ても、前後3列の人、なんてのにあたらない。

シンガポールの搭乗口では、A4サイズの問診表を渡された。名前、年齢、現地滞在先、連絡先などを記入し、1週間以内に感染エリアに行ったか、感染の疑いがある人と接触したか、というような質問にチェックをする。年齢は何歳何ヶ月まで書く。えーと、私っていくつになったんだっけ?25の頃からずっとそう思い続けている。とくに何ヶ月なんていわれても、ピンと来ない。日本は今のところ、「感染の疑い」がある人は出ているが、感染が確認されてはいないので、NOでいいのかな、なんて思いながら、すべてNOにチェックをした。

飛行機を降りると、ものものしくマスクをつけたナースが5名ほど、大きな体温計を手に待ち構えていた。数分間程度の行列だが、待っているうちに、ちょうど隣のゲートに香港からのドラゴン・エアーが到着をしたのが見えた。香港では感染者が確認されたあとだったので、マスクをしない私でも、機内から人が出てくる前に早く立ち去りたい気がした。シンガポールで渡された問診票をチェックされ、問申告内容に問題がなければそのまま検温にすすむ。額に大きな体温計をあてられる。緊張で熱が少し上がるかと思ったら、「さーてぃーふぁいぶぽいんとえいとでぃぐりー!」と言われ、ナースと爆笑してしまった。いくらなんでも36度はあっていいと思うのに。朝置きぬけでもないのになんという低温。あまりにダイビングをしすぎて低温化したのか?シルクエアーが寒かったので、表面が冷えたのかもしれない。


1Borneoへ
検疫クリア後、イミグレーションもたいして並ばず、チェックドバゲージもないので、さっさと外に出られた。3泊しかしないKK。そのうち初日だけ、1Borneoのメルキュールに泊まる。空港タクシーは、市内まではRM20のところ、メルキュールまでだとRM40。こちらの物価からすると、高いなぁ、と思っていまう。ホテルには12時には着いたが、「チェックアウトは午後2時です」、なんてことは言わずにすぐ部屋に通してくれた。

荷物を運んでくれたベルボーイに、「トゥリマカシ」と言ってドアがしまったところで、しばし呆然自失。最近、近年にない残業続きだったのと、昨日機内で一睡もせず、トランジットも本屋で立ち読みしたり、ネットしたりでほとんど眠らなかったから、さすがに疲れている。1時半頃、気をとりなおしてお隣のハイパーモールへゆく。

ハイパーモールに入った瞬間、こりゃ20分くらいで挫折しそう、と思った。なにか買いあさろうという意欲があれば、そうでもないのだろうが、ただ冷やかすために入ると、このでかさが手に追えない。体が弱っているときには、モールがより大きく感じる。とりあえずはランチにしよう。地上階部分には、多くのレストランがあるが、香港スタイルやウェスタンスタイルが多く、しっくりこない。無難な香港スタイルにするか、いまいちそうだけど、マレーレストランにするか悩むが、決めかねてしまったので、地下におりてみる。地下には、去年9月に年末オープンといわれた水族館がいまだ建設中だった。ホテルのブロッシャーにも、COMING SOONとなっていたが、いつになるやら。ロゴだけは完成していた。




1Borneoの肉骨茶~昼でもバクテが食べられる!
地下を空腹で気だるく歩いていると、突然、バクテの香りがしてきた。その香りに吸い寄せられれるままに歩いていくと、テーブルの土鍋をつつく人々が視界に入ってきた。バクテはKKの「佑記茶室」と思ってはいるが、ここも席が9割方埋まっているから、きっと悪くはないんだろう。それに昼からバクテが食べられるなんてうれしい。バクテは、朝食に開発されたものというのに、KKではなぜか夜しか食べられない。

店の名前や「小二」という。メニューは何種類かあったが、迷わずバクテをオーダー。お湯につかったれんげや皿をながめながら、KKのバクテ屋よりは少し長く待たされた。



お待ちかねのバクテがやってくると、まず何もいれずに一口。小二さんのバクテは、今まで食べたバクテ屋の味とは違い、ほのかな甘みがある。この一口だけで体の底から力がわいてきた。



吹き抜けから見た小二さんの、キノコ型な入り口。



バクテを食べたらパワー全開。豚骨パワーか、バクテのハーブか、いれすぎたチリか、同じくいれすぎたガーリックみじん切りか、これらのいずれのおかげなのか、それとも相乗効果なのかわからないが、とにかく効いた。レバーがきらいな私だって、バクテに入っている内蔵は食べやすいので平気だ。滋養満点、コラーゲンで肌にだっていいはずだ。おいしいバクテを作れるチャイニーズが、オフィス街でバクテ屋開業すれば、絶対OL中心に大当たりすると思う。


ひとりパフ・タルト祭り
バクテで嘘のように元気になったが、チリを入れすぎてあまりにHOTだったので、甘いものがほしくなった。そんなところに、エッグタルトが目に飛び込んできた。朝、シンガポールを飛び立つ前に、チャンギのターミナル2にある、「ベンガワン・ソロ」という店のエッグタルトを食べたので、本日ふたつめのエッグタルトになってしまう。でも、他にもカレーパフやらカヤパフ、ココナッツタルトなんてのもあり、ほっとけない。結局全部買った。エッグタルト1つだけ買って、ぱくぱく食べながら歩こうと思ったが、そのままお持ち帰り。

左上から時計まわりに、エッグタルト、ココナッツタルト、カヤパフ、カレーパフ。4つで4リンギット10セン。



全フロア、冷やかせるだけ冷やかす。QUIKSILVERに入ると、いつも予定外の散財をするが、今回はほしいものもなく。でも、こっちに入ってくるROXYって、なんか違う。ハワイとは明らかにラインがちがう。OZラインかとも思うがなんだかいまいちだ。マーレのクイックシルバーにはけっこう掘り出し物があるんだけどな。

そしてこのモール、でかさのせいでそう思うのかもしれないが、日曜にしては人の入りはいまいちだと思う。店もちょっと高めのお店は閑古鳥だ。レストランも、どこもガラガラのところが多い。こんなんで、このまま存続し続けられるんだろーか。



そんななかでJapaneseなダイソーはローカルで大賑わいだった。なつかしおもちゃ、にょろにょろ、と書かれた、竹でできたへビのおもちゃが入り口近くで売られていた。なかなか笑える陳列ではあった。決して100円レベルではなく、5リンギットレベルが多いように見えた。

赤くさんぜんと輝く(?)サインボードがダイソー。



ぐるりと全フロアまわってみたので、地下に戻って、CD屋で、マレーシアのHUJANGのCDを一枚ゲット。MEET UNCLE HUSSAINというバンドのCDが欲しかったが、みつからなかった。


名前のとおりジャイアント、そしてバクテぎれ
それから、スーパーGiantへ。シンガポールやらマレーシアの大手スーパーといえばジャイアントだ。タワウでも去年鳴り物入りでオープンしたし、KKでは、ワワサンの1階に入っているが、1Borneoのは、とにかくでかい。どこに何があるかわからず入る。とりあえず、ここで、いろいろご自宅用おみやをGET。今回は、キャリーオンバゲージだけにするので、液体が買えないのが残念。部屋で飲む用のタイガービールも買ったら、両手がふさがり、身動きがとれなくなった。ここで、バクテ切れ。なんだかんだで3時間近く、うろうろしたからしようがない。足取りも重く部屋へ戻った。

まだ日没までには時間がある。レセプションで3階にプールがあると言っていたから、せっかくだしプールサイドで少し休もうとプールにゆく。せまいプールサイドで1時間ほど眠ってしまった。目がさめると、プールには入らず、そのまま出てきた。この小一時間の眠りはリフレッシュにはならず、どろどろ感をましてしまった。1BorneoとKKの間にシャトルバスがあるが、夜な夜なKKにゆく元気はなく、そのまま昼買ったエッグタルト、カレーパフ、カヤパフ、ココナッツタルトをいただく。どれも上品な味で、けっこうおいしい。夜9時頃、いきなり「ぶぉーん」という大きな音がしてきた。なんだろう。もちろん窓は開けられないつくりであるが、ふちに指をあてると、少し風が入ってくる。やがて、横殴りの雨がガラスをうちはじめた。雨の前に、風が変わったとき、すごい音がしただけで、その後はまた静かになった。しかしどーにもこーにも眠いので、さっさと就寝。私はその昔、シパダンで「彼女は決して眠らない」と言われたほどの、夜型なのに、こんな早寝はひさびさだ。