最近、KKのローカルペーパーのヘッドラインで、よく「Marina Court」の文字を見かけるので、
今日は、このコンドミニアムについて書いてみる。現在すすめられようとしている、サバ州の開発
計画の一環、ウォーター・フロント・プロジェクトなる計画で、このコンドミニアムの真向かいに、シ
ョッピング・モールつき6ツ星ホテルを建てる構想があるらしい。コンドミニアムのオーナーたちは、
それ相応の金額を出して手に入れた、オーシャン・ビューが奪われるということで、当然のことな
がら猛反対。住人たちが、市と開発業者に異議を申し立てているとのこと。開発についての固い
話は今は置いといて、今日のお題は、マリーナ・コート。
マリーナ・コート(正しくは、Marina Court Resort Condominium)は、ピンク色のコンドミニア
ムだ。お隣のプロムネード・ホテルが、マリーナ・コートを60部屋ほど、宿泊施設として提供してい
る。
このピンク色の建物が建って以来、なかなかよさげなコンドミニアムと思いながら、いつも前を通
過したものだが、2005年のゴールデン・ウィーク、一般のホテルが満室だったので、いいチャン
スと思って、迷わず泊まることにした。センターポイントから数分と地の利もよく、リゾートホテル
よりずっと安いが、大きなプールもある、まだ新しいからきれいそう、という期待をもって泊まって
みたら・・・。南の国では違和感のない、ピンク色の明るい外観とはうってかわって、中はけっこう
よどんでいた。
まず、コンドミニアムに着くと、フロントは日本でいう2階(マレーシアではイギリス式で1階)にある
が、1階から2階への移動は、自分で荷物を持って階段をあがるのが基本らしい。1階では、エレ
ベーターが外からも見えているのだが、エレベーターホールの扉は常時ロックされており、外から
はあけられない。(実際、エレベーターを使うには、フロントの中に入れてもらい、そこからロック
解除のスイッチを押さないと地上階に通じるエレベーターホールにはたどりつけない。また、エレ
ベーターで地上階におりても、中からロックを解除しないと外にはでられない仕組みで、その解除
スイッチの場所もとてもわかりにくい。)ダイビング器財の入ったエクセス気味の荷物を持って階
段を上がるのは至難の技。最初に通りかかった従業員は、階段の下で荷物を前に思案している
われわれに、上、上ってサインを送ってきた。私が、フロントに行って、なんとかしてもらうと言い、
友達が、荷物を見張っていることになったが、フロントは、チャイニーズ系の、それぞれ大家族の
チェックアウトでごったがえしていた。それを延々待っているうちに、友達が、たまたま通りかかっ
た別の従業員に泣きつき、フロントまではなんとか荷物を運んでもらうことになった。フロントのス
タッフたちは、ホテルの慇懃な感じではなく、もっとフレンドリーで、感じはよい。そのかわり、ホテ
ルなみのサービス・スタンダードではないのだ。チェックイン後も、部屋までは、やはり荷物は運ん
ではくれない。もともとベルボーイなんて、いないのかも。そして、部屋番号は「D棟のルームナン
バーXXよ。」と鍵だけ渡され、部屋への誘導もなし。マリーナ・コートは、A棟からD棟まであり、セ
ンターポイント側からA棟。われわれに与えられた部屋は、D棟という、プロムネード・ホテルに隣
接した棟だった。そしてバスタオルも、フロントから「何枚いる?」と聞かれて自ら持参。
続いて、住宅棟のエレベーターが手ごわい。大げさに言えば、扉が三秒もあいていないんじゃない
かと思われる。ひとりが乗り込みきらないうちに、センサーは働いていないのか、容赦なく閉まり、
次の人がはさまってしまうのである。日本製なのに。エレベーターから各戸までの廊下は暗く、住
人のゴミをフロアごとに出すコーナーがあるため、少々臭う。
部屋に入ると、こんどはまた別の種類の異臭が微妙に漂っていた。連れの友達は、「獣の臭い
やな・・・」と判定。自分の愛犬の臭いと似ていて、それはいつしか心地よくなるニオイ、と、不明な
ことを言っていた。
われわれの泊まったユニットは、3ベッドルーム、キチネットつきの部屋で、3階だった。低層・・・
はじめは自炊する気まんまんで、スーパーマーケットで、食材やら調味料やら買い込みチェック
インしたが、キチネット備え付けのカッティングボードが黒ずんでいたことで、即時に戦意喪失。
チェックインをしてほどなくやってきたハウスキーピングに、パンと牛乳とビールとレッドブルをのぞ
き、その他の買ってきた食材はすべてあげてしまった。ダイニングのテーブルは、10人様用と思
える大きさで、高さといい、われわれアジア人仕様ではない。テーブルの上の照明も、薄暗く、そこ
で食事をしたい感じではなかったので、とうとう一度も使わず、ダイビング器材置き場となった。リビ
ングのソファはシミだらけで、シャワー後には、じかに座るのがなんとなくいやで、クローゼットにあ
ったランドリーバッグを敷いて座った。ソファの上に広がるランドリーバッグを見て、ハウスキーピン
グの人たちは変な顔をしていた。
テレビは、アストロ(マレーシアのCATV)は入っておらず、マレーシアの放送局の番組ばかり。
リビングのエアコンは、リモコンがこわれていてONにできず。ハウスキーピングも、リモコン故障の
事実を知っていつつ、代替品はついに来なかった。ただ、海と山に囲まれたコタキナバルは、夜は
エアコンいらずという、素晴らしいところなのだ。しかし窓を開ければ、網戸はないから蚊が入って
くる。あと、これはKKのホテル全体に言えるが、タンジュンアルビーチからシティホテル系まで、ど
こも空港から近く、飛行機の離発着が激しいので、早朝から深夜まで飛行機のエンジン音がうるさ
い。ボーイングの737ならまだしも、777の轟音は、そうとう安眠妨害である。また、これも生バンド
つきのパブがあるホテルは、泊まる部屋の場所によっては夜中1時半までうるさいが、すぐ隣のプ
ロムネードホテルのパブが、マリーナコートの斜め下の位置にあたるので、生バンド攻撃もあった。
さて、部屋はダブルベッドが二部屋、ツインが一部屋。ダブルベッドの部屋からの眺めはプロムネ
ード・ホテルの客室ビュー。片方の部屋にはバス・トイレもついている。ただし、バスタブはあるが、
こわれていて、お湯ははれなかったので、実質シャワーのみ。バスルームは、ハウスキーピングの
使うトイレの洗浄剤の臭いが強すぎて、消毒の臭いが半日くらい漂う。部屋の臭いは、時にはボデ
ィショップで買ってきたアロマオイルをたいて、時には、蚊取り線香で取り除いた。ダブルベッドの部
屋は、窓が大きいので明るいが、ツインの部屋は、日の当たらない小部屋。ここは、ゲストの誰も
があまり使わないようで、一番きれいだった。さらに、シャワーブースとトイレだけの間もひとつある。
そして、照明は、すべて薄暗い。
このように居住空間全体は、快適ではなかったが、もちろんよいところもある。リビングにはバルコ
ニーがあり、パーシャルオーシャンビューではあるが、3階でもサンセットの眺めはなかなか素晴ら
しい。
それにバルコニーでは、ダイビング器財や干し物は実によく乾いた。
また、プールは、25メートル級の深めの本格的なスイミングプールで、泳ぎがいがある。(一応こど
もむけプールもある。)友達は、ショッピングセンターで、わざわざゴーグル買って泳ぎこむほどだっ
た。また、通りを隔てた海沿いのアンジュンセンジャという場所には、様々な屋台があり、安くておい
しいものが食べられる。スーパーへの買出しも、センターポイントと、ワワサン・プラザ、いずれも徒
歩5分前後なので、まあまあ便利だ。
マリーナ・コートは、開業後、数年しかたっていないはずなのに、いろいろと調度品の傷みや汚れ
が気になった。客層の主流が東南アジア地域の、富裕層であるチャイニーズ系ファミリーが主流
とみられ、こどもが駆け回ったり、バタバタするだろうから、室内の傷みも激しいのだろう。リモコ
ンにしても、浴槽にしても、長らく故障は放置されているくさい。
私が泊まったのはすでに3年前。その後、原油の値上がりを受けて、マレーシアの物価はかなり
上昇したが、たしか5泊6日の部屋代は、税込みで5万とかからなかった気がする。大人数で泊ま
れば、かなり安くつく。2~3人で泊まるのには無駄に広いし、部屋の作りから、ファミリー、仲良し
グループにもいまいち、使いやすくはないと思う。
もちろんLANの設備はなく、モジュラーからケーブルを抜いてダイヤルアップ。ダイヤルアップ接続
なので、つないだり切ったりを繰り返したら、チェックアウトのときに、電話料の計算がたいへんそう
だった。ホテルのシステムが、電話料金を自動計算してくれないらしく、1回ごとの接続時間を、一
通話単位で割り・・・と。インボイスも、手計算したものをすべてエクセルの、自作テンプレートに入
力、プリントアウトというマニュアルワールドだった。そんなこんなでチェックアウトも非常に時間が
かかった。
まあ、なんだかんだ言っても、住めば都。最終日あたりには、すっかり我が家モードになりはした。
ペントハウスなら、また泊まってみたい。多分、そんな機会はないけれど・・・。