一曲を求めて

もうすぐ11月というのに家の中ではまだ半袖でいる。
涼しいときもあったのだが、どうも今年は秋らしさを
実感していない。

きっとこのまま冬に突入して秋は吹っ飛んでしまいそうだ。

そんなこの頃、また自分のベストアルバムを作りたくなってきた。
最近はパソコンで簡単にＣＤが出来るので、すでに一度試しに
作ってみたのだが、やっぱりあの曲、この曲と手に入ってないのが
あるので、完全なベストアルバムになっていない。

その不満があるので、どうしても物足りないのである。
わたしぐらいのオヤジになると、好きな曲はどうしても
オールディーズになってしまう。

その中でなんとか手に入れたい曲に「ワンモアチャンス」と言う曲がある。
２０代の漫画家修行の頃に聴いた思い出の曲なのだが、実のところ
タイトルも「ワンモアチャンス」なのかどうかもわかってないし、
歌手の名前もわからないのだ。

ただ「ワンモアチャンス！」「ワンモアチャンス！」と情熱的に
歌うので、どう考えてもタイトルは「ワンモアチャンス」しか
考えられないと勝手に決め付けているのである。

しかしワンモアチャンスで検索しても、Ｍジャクソンとかが
出てくる始末で、それらしき歌手は出てこないのである。

そこで思い余って、その曲をよく聴かせてくれた我が漫画の師
Ｙ先生に電話をしてみた。

「ああそういえばそんな曲あったなあ、だけど歌手は誰だったかなあ…」
と持ち主の先生も忘れているような無名の歌手なのであった。

それはシングルレコードで、多分捨ててはいなくて、どこかに
しまい込んでいるだろうとのことだった。

わたしは久々に聞く先生の声に、なつかしさで、曲のほうはもういいや
という感じになっていて、先生と話し込んでしまった。

「今度探しとくわ」と先生は最後に言って電話を切られた。

すると翌日先生から電話が掛かってきて、シングル盤が見つかったと言う。
しかしジャケットが無くなっていて、タイトルも歌手名も
わからなかった、というのだ。

万事窮すか…とあきらめかけたが、「でもなあ、嫁ハンがネットで探したら、
あった言うてたでえ」と言って、タイトルがやっぱり「ワンモアチャンス」で
あることと、歌手名のスペルを教えてくれたのだった。

さっそくカミさんに相談して探してもらったら、なんとネットオークションに
出ていたというのである。

歌手名はテリーランダッゾというイタリアの歌手で、すでに
亡くなっていた。

ちゃんとＣＤのアルバムも出ていて、そのＣＤがオークションに出ていて、
現在２５００円で後２日間あるというのだ。

こうなるとどうしてもほしくなって３０００円で入札した。
後は期限まで待つのみである。なんとか手に入りますように…と
祈りつつ、落札を待っているのだ…。