歩いて2~3分のところに、Y商店がある。
商店と言っても、手書きの看板が掛かっただけの
まあ、小屋ぐらいの建物である。
そこには、10種類ほどの野菜がカゴに乗せられ
販売されている。そのそばには、金銭入れが設置
され、ビニール袋がぶら下がっている無人販売店
なのだ。
野菜が無いときに、ひとっ走りで買えるので
重宝している。
きのうも、トマトが欲しかったので、購入しようと
トマトを握りしめ100円を入れようとして、ふと…
もし、今100円玉が無かったら、失敬して後で
持ってくるなどということができるのだろうか…と
頭をよぎった。
そういえば、まだ1度もここにいる店主を見て
いないではないか。
しかし、時折購入する際、奥の方で、「こそり」と、
音がするときがあるのだ。
などと思いを巡らせていると、ガラリと奥の戸が開き、
70代とおぼしき(あえておばあちゃんとは言わない)
おばさんが覗いて、「いらっしゃい」と声を掛けた
ではないか。
わたしは、内心ギクリとしたが、素知らぬふりで「いつもお世話に
なってます」と言うと、「こちらこそ」とにこやかに答えてきた。
お金を入れて店を出た後…あのおばさんの安心した顔つきは、
時折利用するこちらの顔を知っているように思えたのだ。
いつも、奥の方で見ているのかもしれない。
ゆめゆめ文無しで行くことのないように、気を付けヨット…。W