つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

ついでに

2010-03-28 04:54:49 | 絵・まんが
前回久々に漫画家時代のことを思い出したので、事のついでに「持ち込み」に
ついてもう少し…。

漫画家は、描いたマンガが雑誌に掲載されないと、読者の目に届かないのは
ご存知だと思うが、この雑誌と言うのは、まあ「少年ジャンプ」「少年マガジン」
「少年サンデー」などであるが、この雑誌を出版しているのが、集英社・講談社・小学館
などの出版社なのだ。

今挙げたのは、少年マンガ雑誌の代表的な大手出版社なのだが、それ以外にも中堅の
出版社がたくさんあって、こちらは4コマまんが、大人のコミックを扱っている。
そこへ描いたマンガの原稿を編集者に直接見てもらうのが「持ち込み」なのだ。

この「持ち込み」に大きな壁となって立ちはだかるのが編集者なのである。
この編集者を突破しないと、自分のマンガは日の目を見ないことになる。

当然編集者も人間なので、さまざまな個性を持っていて、毎日何人もやってくる
漫画家志望者を迎え撃つわけなのだ。

面白いのは、いけそうな作品になるほど、編集者の言葉はきつくなり、態度も
つっけんどんになったりすることが珍しくないのである。逆に読んだ後「なるほど…
よくわかりました」などと丁寧に言い出したらもうアウトと思って間違いない。

また、期待する漫画家志望者に対して、ケチョンケチョンにけなして奈落の底に突き落とす
こともやるのである。これをやられると、自信を喪失してしばらく描けなくなってしまう
こともあるのだ。やられた人で二度と這い上がれなかった志望者を何人か知っているが、
いずれも、わたしなどより才能豊かな人たちだったのだ。

漫画家など自由業を目指す人は、自分で自分を支えなければ生きていけないので、生業に
している連中は多かれ少なかれ、自分を信じる強烈な自我で自分を支えているのである。
それを支えきれずにあきらめた瞬間に終わりを告げてしまうのだ。

しかし、彼ら編集者は突き落とした千尋の谷底から這い上がって来るのを待っているので
ある。そして這い上がれた者だけが、手を差し伸べられるのだ。
まあこのように厳しい試練を潜り抜けなければ、読者の眼に届かないのである。

かく言うわたしもちゃんと谷底から這い上がれなかった一人なので、(少しは期待
されていたのか、単に嫌われていたのか定かではないが)大した漫画家には
なれなかったが、それでも15年ほど生きながらえたのである。

ついでに、これから漫画家、あるいは何かのアーチストをめざす人たちに、「自分を
信じることを歯をくいしばって最後まであきらめるな」とエールを送りたい。

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