春庭Annex カフェらパンセソバージュ~~~~~~~~~春庭の日常茶飯事典

今日のいろいろ
ことばのYa!ちまた
ことばの知恵の輪
春庭ブックスタンド
春庭@アート散歩

ぽかぽか春庭「学期末風鈴」

2012-07-24 00:00:01 | 日本語教育
2012/07/24
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教師日誌>2012年前期(1)学期末風鈴

 前期の授業、最後の追い込みの週です。私立大2校は、最終発表や試験を終えて、あとは出席日数不足学生救済のための補講を残すのみ。成績つけはやっかいですが、とりあえず、授業は終えることができました。国立大2校は、金曜日は27日が最終授業、木曜日はすでに終わりました。

 木曜日19日の授業、朝の1コマで文法の試験を実施。2コマ目では、敬語の紹介と、最後の授業なので、楽しく思い出になることをしたいと思い、「風鈴作り」を実施しました。
 何年か前の学生にプレゼントした和ガラス(手作り吹きガラス)の風鈴が4個残っていたので、ダイソーで買い足して、今年も学生に「風鈴の下につける短冊に願い事を書く」という作業を課します。「授業定着のためのクラスアクティビティ」の一環です。

 日本語文法の復習としては、「~ように」「~たい」という文型の復習になります。「日本語がじょうずになりますように」とか、「富士山にのぼりたい」というような願い事を書いて、風鈴の下の短冊に書き、夏の間、窓辺にガラス風鈴を下げて「日本の夏の音色」を楽しんでもらおうという「日本文化体験」の授業でもあります。これまで日本語のノートは横書きで書いてきたので、最後に縦書きに挑戦、ということも学生にとっては「はじめての経験」です。

 学生たち一生けんめい、この4ヶ月の間に覚えた日本語を書き込みました。「あいうえお」の文字を覚えるところからはじめ、漢字の難しさにネを上げ、文法がはちゃめちゃになりながら、がんばりました。日本の中学生が3年間で覚える英語に相当する分量の日本語を4ヶ月で突っ込む、という猛烈な「新幹線授業」に耐えた学生たち。

 「はかせになれますように」「日本語で地理情報システムがじょうずになりますように」「金持ちになれますように」「せかいがへいわになりますように」「がいこうかんになれますように」
 この暑さもあって、ちょっとへばっていたところでしたから、ほんとうは日本語の敬語システムをしっかり教え込むという授業予定だったのですが、最後くらいは、遊びの要素もいれて、と、企画したアクティビティです。学生達の願いごとはさまざまでしたが、風鈴の願いが成就しますように。風鈴の音色が涼しさを運んできますように。

 風鈴の短冊に願い事を書いた日の午後は、4ヶ月の日本語学習の成果を発表するプレゼンテーションが行われました。

 ベトナムの大学の先生をしていたチェンさんは、人間の動作をコンピュータで解析し、その人間が危険な行動を取ろうとしていることを予知する研究について、発表しました。宝石店で客を装っていた強盗を撮したビデオがプロジェクターに映し出されました。客のふりをしている強盗が、他の客とどう異なる動きをしているのか分析すれば、今後、同じような動きをする強盗犯の行動を事前に予測でき、強奪を防げるのではないか、という行動認知分析です。これまで、「私の専門はコンピュータです」という自己紹介をしていたチェンさんですが、どのようにコンピュータを活用するのか、私にもようやくわかりました。

 「私はアーティストです」という自己紹介からプレゼンをはじめたサムさん。これまでイギリスや日本で展示されたインスタレーション作品について発表したサムさん。この秋にも日本で展覧会を開くとのこと。「古い家具を分解してその材料で再構成した家を燃やす」というインスタレーション作品、家が燃えていく炎が、何か暗示的でした。これからも傑作を生み出して欲しいです。

 ミャンマーの土地利用を研究するアウンさん。
 アフリカに日本のすぐれたスポーツ科学を導入したいというグェィさん。 
 それぞれ、有意義な発表となりました。

 このところ、老化をなげくばかりで、学期のおわりに少々くたびれてきていた春庭、学生達の意欲溢れる発表を聞いて、まだまだ私もがんばらなければ、と、元気をもらいました。

<つづく>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする