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ぽかぽか春庭「2003年の吉野家擬古文」

2015-06-14 00:00:01 | エッセイ、コラム
20150614
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003三色七味日記6月(7)2003年の吉野家擬古文

 2003年の三色七味日記を再録しています。
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2003/06/26日 木 曇りのち小雨 
アンドロメダM31接続詞>「駄目人間血風録」の吉野家話擬古文訳

 日本事情作文2コマ。

 先週土曜日に久しぶりに吉野屋で牛丼を食べた。相変わらず殺伐とした「餌補給所」という雰囲気で、とても人間様のお食事所という感じじゃない。なぜなんだろう。280円の並に半熟卵つけて400円。私にしてみれば、特別安上がりな食事でもない。
 しかし、290円のラーメンを食べる店より、格段に「荒廃感」がただよう。うらぶれた、腹が減った人々がつかのま腹を満たしに来るところ、というこの「吉野家感!」というのも、また貴重な存在なのかもしれず。

 久しぶりに「駄目人間血風録」を見て、なぜ吉野家で牛丼を食べる気になったか、わかった。ここの掲示板に「ちかごろの吉野家」という投稿があったのをずっと以前に読んだからだった。
 今日サイト訪問してみれば、その「吉野家話」が古文訳されている。書き手はヒゴ。


さても聞こしめせよ>>1。刷れとかかはりなきことなれど。

きのふ近うある吉野家に行きたるに、なでふこともなう人のおほくあれば、えもゐられず。

よう見るに、垂れ幕の下がりてあり、百五十円引きとなむ書きたる。あなや、をこかな、しれ者かなと。

わぬしら、よき人は百五十円引きばかりにてひごろ来も来ぬ吉野家になどか来たらむ。百五十円よや、よや。

親子連れあり。一族郎等ひきつれて吉野家に来たる、いとむくつけし。
あまつさへ、てて様は特盛頼まうわいの、など言ふ様こそ、かたはらいたけれ。百五十円給ぶに往ねよかし。
さるは、吉野家てふ所、げに殺伐たらむこそつきづきしけれ。
ひの字めく餉台のあなたざまに居たるをのこどもの、いさかひいつ始まらむともしらず、かたみに刺すや刺さるるやと案ぜらるるけしきのいとをかしかるべきを、をんな子らはいぬべし。

かかるうちに、やうやうゐらるるかと思ひしに、傍らなるしづ山がつの、大盛露だくをとかや言ふを聞くに、さらにこそぶち切れたれ。

いで、露だくなるはこのごろにてはつゆ流行らざるを、げにをこざまなるかな。したり顔して何のつゆだくをや。
さはまことに露だく食はまほしきものかと問はばや。問ひ詰めばや。半刻ばかりぞ問ひ詰めばや。

むげに露だくと言はまほしきのみにやあらむ。
吉野家知りたるまろに言はすれば、月ごろ吉野家知りたる人の間につとに流行らむは、なほ葱だくにこそあらめ。

大盛り葱だくかりのこ、これなむ才ある人の頼み方なる。
葱だくてふは、葱の多く入りたるに、肉の少なめなる。これこそ。
また大盛りかりのこは、いふもおろかなり。

さるに、こを頼めば次より雇ひ人に目つけらるるは必定ななれば、危ふき諸刃の剣にて、つたなき人にはえ薦めぬわざにこそあんなれ。

とまれかうまれ、わぬしらつたなき人は牛鮭定食などやうをば食へかし、とこそ。
 

 この擬古文訳は、BBS168から175まで同じ「吉野家話」がコピーされて並んでいる「荒らしにしちゃ中途半端な行為」に対して、「やるならこれくらいの技をみせろ」という先輩の意地をみせたものと私は解釈した。

[175] 無題 投稿者:モナー 投稿日:2003/04/30(Wed) 16:33:44 No.175 [返信]

昨日、近所の吉野家行ったんです。吉野家。
そしたらなんか人がめちゃくちゃいっぱいで座れないんです。

で、よく見たらなんか垂れ幕下がってて、150円引き、とか書いてあるんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。

お前らな、150円引き如きで普段来てない吉野家に来てんじゃねーよ、ボケが。
150円だよ、150円。

なんか親子連れとかもいるし。一家四人で吉野家か。おめでてーな。
よーしパパ特盛頼んじゃうぞー、とか言ってるの。もう見てらんない。

お前らな、150円やるからその席空けろと。
吉野家ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。

Uの字テーブルの向かいに座った奴といつ喧嘩が始まってもおかしくない、刺すか刺されるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。女子供は、すっこんでろ。
で、やっと座れたかと思ったら、隣の奴が、大盛つゆだくで、とか言ってるんです。

そこでまたぶち切れですよ。
あのな、つゆだくなんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。
得意げな顔して何が、つゆだくで、だ。

お前は本当につゆだくを食いたいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、つゆだくって言いたいだけちゃうんかと。

吉野家通の俺から言わせてもらえば今、吉野家通の間での最新流行はやっぱり、
ねぎだく、これだね。

大盛りねぎだくギョク。これが通の頼み方。
ねぎだくってのはねぎが多めに入ってる。そん代わり肉が少なめ。これ。
で、それに大盛りギョク(玉子)。これ最強。

しかしこれを頼むと次から店員にマークされるという危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。

まあお前らド素人は、牛鮭定食でも食ってなさいってこった。

 

 ま、私がAO入試担当者なら、この擬古文訳を見ただけで、入学を許可するが、もちろんヒゴくんもミナイレイジもとりあえず第一志望校は東大なんだろうな。
 我が息子も高校生になったら、このくらいのお遊びはやってのけられるようになるといいのだが。
 授業では、中1で竹取&百人一首、中2で平家&雨月、中3の今は大鏡を読まされているが、我が息子の古文点数は悲惨なものである。英語や数学が悲惨なのはわかるが、古文くらい点数をとってほしいもんだ。

本日のかこみ:文屋(あやや)は吉野家とともに、ミナイくんヒゴくんの東大受験を応援しています。
 食うからに大盛り玉入りしおるれば、むべつゆだくをDQNといふらむ。<文屋の安いヒデェ意味不明。春庭


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20150614
 春庭が応援していた高校生ブロガー薬袋黎爾(みないれいじ)クンは、どうやらラノベ作家としてのペンネームは、篠山半太と名乗っているらしい。ガセネタが多いネット情報だから、確かなことなのかどうかもわからないけれど。

 160人の同期生のうち100人が東大に入る高校だったけれど、みないれいじくんは東大ではなく、AO入試で山形大学に入学。→京都大学編入、という大学生活をおくったのらしい。(不確定情報)
 これが本当としたら、受験勉強がいやだからAO入試で潜り込めそうな地方大学に入学しておいて、転入学が比較的楽勝な京都大学に入り直した、という受験戦略も、いかにも頭のいい子がやりそうな。(学歴ロンダリングとも言う)

 みないれいじくん、30才になった今は、何をどうしているのだろう。
 見ず知らずのオバハンが、人知れず彼の行く末を思い、薬袋黎爾の才能開花を待っていたことなど、まったく知らないだろう。これもネットのご縁ですね。今も作家を目指しているのなら、どうかよい作品を生み出してほしい。

 薬袋黎爾クンのサイト「駄目人間血風録」は、今では完全に削除されてしまったらしく、検索しても出てきません。検索して出てくるのは春庭サイトのみ。あるいは、パスワードをかけないと出てこない設定になっているのかも。
 いずれにせよ、春庭Annexというこんな辺境サイトに自分たちのお遊び文章がコピーされていたとは、知らないだろうと思います。

 ヒゴくんの書いた擬古文吉野家話、本人の思惑はどうか知らないけれど、その文章をおもしろいと感じた者がいて、こうしてコピーしておいた。これがネットの恐ろしさかも。一度世に出たものは、完全に消し去ることはできない。
 二枚舌を使って論を左右する政治家とちがって、一度した発言に対し、ネットはシビアです。

 高校卒業の日、みないれいじくんは、式で国歌演奏が流されている間、ひとりでインターナショナルを高歌放吟したという。(これまた不確定情報。ガセかも)。惜しむらくは、我が息子は、みない君の高校卒業式には在校生として出席していないので、このインターナショナルを聞いていないこと。息子は、高校入学式の日以後、一日も授業に出席せず、16才の夏に高校卒業資格認定試験に合格した後、退学してしまったから。

 息子も、みないれいじくんも、ヒゴくんも、自分の未来に向かっている最中ならいいな。

<つづく>
コメント (4)
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