実践女子大公開講座とプレセピオ展示ポスター
20171224
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2017十七音日記12月(4)クリスマスの音楽と彩飾写本 in実践女子大学
12月16日土曜日、山種美術館の川合玉堂展の招待券有効期限が17日で終了するので、出かけたところ、近所の実践女子大)で16日まで「朝倉摂リアルの自覚」を展示しているというので、初めて実践女子大渋谷キャンパスに入ってみました。
守衛所で入校証をもらって首から提げ、新しいビルに入って朝倉摂展をやっている香雪記念資料館に行くまでに、ポスターが目に入りました。実践女子大学の公開講座「西洋中世の音楽と彩色写本」についてでした。
予約不要、出入り自由の公開講座というので、聞いてみることにしました。
近頃の女子大は、トイレやカフェテリア、教室、学生利用ロビーなどがこじゃれていてきれいになっていないと志望者が減ってしまうという評判通り、新しくてとてもきれいな校舎です。かって私が学んだ頃のようなバンカラが売り物だった共学の古い教室やトイレでは、女子学生たち寄りつかないのだろうなあ。ああ、でもあの古校舎も今ではきれいになっているのかしら。スロープ下の学食など、こぎれいになっているのかも。
会場は渋谷キャンパス創立120周年記念館6階601教室
私が会場に入ったときは、もう西間木真先生(東京芸術大学音楽学部准教授)による「中世フランスのノエルと音楽:伝承から創作へ」のお話が始まっていました。
楽譜写本をプロジェクターに映しながら、クリスマス宗教音楽がどのように作られ、ヨーロッパに広まっていったのか、について、講義が進んでいきました。楽譜をプロジェクターに映すだけでなく、その音楽を流して聴かせてくれたので、むずかしい話になると眠くなる私も楽しく講義を受けることができました。
ノートルダム大聖堂の音楽について説明する先生。
ノートルダム大聖堂の司祭たちは、ノエル(クリスマス)に歌う聖歌を作曲していました。世俗音楽(民謡など)を取り入れながら教会音楽が作られ、教会音楽はまた民間に広まっていく。西洋音楽は、中世に多声音楽を発展させていった、ということでした。楽譜の書き表し方なども中世に発展していきました。
中世の楽譜の例(画像借り物、西間木先生が示した画像ではありません)
休憩の間に、1階に展示されている彩色写本とクリスマスの人形飾りを見ました。この人形飾りはプレセピオと呼ばれ、クリスマスシーズンになると、キリスト降誕シーンを人々に見せるために飾り付けられた、ということです。
中世ヨーロッパの彩飾写本(複製)なども展示されていました。
女子大生が「うちの大学にこういうお宝があったとはね」と話し合っていました。
プレセピオ「キリスト降誕」
休憩後は、駒田亜紀子先生(実践女子大学文学部教授)の「西洋中世の彩飾写本に見るキリスト教文化」の講義。
中世彩飾写本は、修道士などの教会関係者や有力貴族などが自分のために豪華な彩飾をほどこした時祷書(朝から夜までの時間ごとの祈りのことばを書いた本など)を作らせたものです。
展示されていた時祷書は、金で印刷された文字など、絢爛豪華なものでした。(展示物は複製レプリカの展示でしたが、写真は不可)
↓の彩飾写本は、借り物で、実践女子大に展示されていたものではありませんが、彩飾写本とはどんなものか、という参考に。
これまでまったく興味がむかなかった「中世ヨーロッパの彩飾写本」という世界も、お話を聞いてみると研究者もコレクターもたくさんいて、それぞれの立場で図録を出したり研究書を出したりしているのでした。
思いもかけず立ち寄った公開講座でしたが、彩飾写本もプレセピオも、クリスマスシーズンの楽しいひとときとなりました。
キリストの降誕を祝う人々にも、聖書にはイエスの誕生日は記録されていないからクリスマスは祝わないと原理を貫くエホバの人々にも、禅宗の寺に両親が眠っている私にも、クリスマスイブ、そしてクリスマスが、心あたたまるひとときでありますように。
私にとっては、「冬至を過ぎて、太陽の日脚が延びていくのを祝う日」です。
娘が作ったケーキ、9粒の甘王をケーキの上にのせて、とよのかを1パック刻んで生クリームとまぜて間に挟み込み、「今まで作ったイチゴケーキの中で、一番豪華にできた」と言っていましたので、豪華な時祷書はなくても、今年の1年に感謝し、来年に祈りをこめました。
生クリームの泡立てもちょうどよく出来て、見栄えが悪くても、我が家にとっては「娘のケーキ」が一番です。
<つづく>