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ぽかぽか春庭「再会の春」

2018-03-11 00:00:01 | エッセイ、コラム
20180311
ぽかぽか春庭日常茶飯事典> 2018十八番日記春盛り上がる(8)再会の春

 出会いは1994年。私がはじめて中国に赴任したとき。
 国費留学生に日本語を教える学校が私の赴任先でした。この学校は、中国東北地方の大学のキャンパス内に設立されていました。ランさんは、この大学で日本語を学ぶ学科の3年生でした。最初は、私の「中国語家庭教師」として週1回、私の宿舎まで来て中国語をおしえてくれました。

 この「中国語家庭教師」の制度は、実は、中国語ができない日本語教師のために、いっしょに買い物に行ったり旅行に同行したりする「お世話係」という一面がありました。
 「週1回の家庭教師」は、決められた報酬を学校を通じて支払ったと思います。その他の外出同行などでは、それぞれの教師が日本語学生と「個別契約」を結び、世話をしてもらっていました。

 このとき、中国語がまったくできなかった日本語教師のうち、日本語教師団の団長さんは他大学の女子学生と仲良くなり、帰国後は日本に呼び寄せて結婚。もう一人の女性教師は家庭教師役の男子学生と大げんかをした、なんぞのあれこれがありましたが、私は家庭教師のランさんと、その後25年つづく友情を築くことができました。

 私は、この初めての中国赴任の半年間、群馬の実家に9歳の娘と息子を預かってもらいました。私の妹は、半年間自分の子として幼い娘と息子を世話してくれ、夏休みに自分の娘二人、姉の娘ひとりといっしょに、私の赴任先までやってきました。

 2週間の中国滞在の間、私は仕事がありますから、妹一行の世話をしてくれたのはランさんでした。ほんとうにありがたかったです。妹が日本へ帰国した後、私の仕事中にランさんは娘と息子のシッターを務めてくれました。娘にとって、ランさんはお姉さんのような存在でした。

 ランさんは、もともと日本語能力がとても高かったですが、さらに高度な日本語を身につけたいと、日本での仕事を見つけ、就職しました。ランさんの滞在先の町へ、娘と息子を連れて泊まりに行ったこともありました。

 中国に帰国したランさんは、日本語教師の道を選びました。新設の日本語学科に応募して採用され、大学で順調に仕事を続け、現在では准教授として大学で日本語を教えています。

 私が2度目に中国に赴任した2007年、3度目になる2009年、何度もランさんの家に遊びに行き、歓待してもらいました。結婚し子育て中の忙しいなか、ランさんのお姑さんともなかよくなりました。お姑さんは私より何歳か若い人。

 ランさんが2010年に日本に研修にきたときは、短時間の滞在でしたので、私が滞在先のホテルに出向き、いっしょにごはんを食べました。娘と息子は学校の用事があったので、会うことができませんでした。「ザ・スカイ」という「食べ放題の回転展望レストラン」に行きました。

 2016年に、ランさん来日のおりは、あいにくと私はミャンマー滞在中で、会うことができませんでした。

 そのランさんが、2018年は、国費留学として京都で日本語研究に携わることになりました。こんどこそ、中国で歓待してもらったお返しをしたいと思ったのですが、今回も、ランさんはたいへん忙しいスケジュールです。東京滞在中も、研修や研究会がびっしり。

 3月8日は国立国語研究所で研修、3月9日は、日本語教育センターでのワークショップに参加するということで、大忙し。
 私は、ワークショップのご案内が来たときには参加するつもりはなかったのですが、あわてて、参加希望の返信メールを出しました。 

 9日午前中はランさんとキャンパス見学。キャンパス案内といっても、図書館、研究棟など、狭いキャンパスの上に、春休み中の改修工事で入れないところもありました。ランさんは、図書館見学でも熱心にこれから参考になりそうな本の背表紙をアイフォンで撮影して、あとで、本サイトで検索してみると研究熱心でした。

 ランチは、大学前のピザ屋で。退職前にいっしょに教材開発をした先生とも再会して、ピザを食べました。子育てをしながらの日本語教師生活という3人の共通点もあるので、話がはずみました。

 ピザランチをとったあと、いっしょに日本語教育センターへ。
 3月9日の午後のワークショップ。
 私は「お連れ」の参加なのですが、1年間の国費留学期間中に「SPOCを用いた環境下の言語能力の評価、映像作品を用いた日本語教育の実践研究」という研究をやるのだというラン先生は、とても熱心にワークショップでの学びを活用していました。グループごとに質問をするコーナーでは、発表者への質問も引き受けてくれました。

 留学生にとってもっとも身近で使いやすい学習ツールの勉強でした。
 ランさんが日本語を習っているころ、辞書一冊買うにも「日本の書籍は高い」と、やりくりしながらでした。今では、アイフォンひとつあれば、辞書機能もついており、日本の地図も旅情報もクリックひとつでできます。
 では、学生が日本語を学ぶために、これらの学習ツールをどのように効果的につかわせるか、その問題、私も興味がありましたから、お連れのおまけ参加でしたが、勉強してよかったです。特に、ネットの辞書ツールの開発は私が想像していたよりずっと進んでいて、世界には開発したソフトを無償で提供しオープンソースとなっているのだとわかりました。

 ワークショップ後の茶話会。先生方にご挨拶して国費留学中のランさんも紹介でき、一日、よい時間となりました。

<つづく>
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