20180527
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2018十八番日記5月(2)スタンドバイミー、ロイヤルウェディングで
日本のプリンセスの恋が、なんだか行き詰っている感になってしまったのは残念至極。「太陽のような」と形容された海の王子、母親の借金なんぞに負けないでほしかったけれど、いまのところ進展の気配なし。
一方、英国プリンスのほうは、着々と恋を実らせ、ついに華麗なるロイヤルウェディング。
同時中継BSで見ました。

娘は、テレビドラマ『スーツ』のファンで、日本での放映が始まったときから、録画して夜中にひとりで見ていました。なかでもパラリーガル役のメーガン・マークルが大好き。日本のパラリーガルだと、弁護士に比べて格段にお給料も安いようですが、メーガン演じるパラリーガルは、個室オフィスも持つ敏腕仕事人で、年収も新米弁護士より上。
ちなみに、海の王子もパラリーガルですが、年収は300万くらいという日本のパラリーガル給与を超えてはいないようす。
「スーツ」でパラリーガルのレイチェルを演じるメーガン・マートル

ヘンリー王子との婚約が発表されてから、娘は「え~、女優やめないでほしい。ヨーロッパではキャリアを続けている王妃もいるんだから、女優続けたらいいのに」と言っていました。でも、女優からは完全引退みたいですね。
ウィリアム王子とキャサリンさんの結婚式中継はニュースでちらと見た程度なのに、ヘンリー&メーガンの結婚式を中継で見たのは、やはり、イギリス王室の変化を感じたから。
ヘンリー王子は、これまでの英国王室の「結婚への障害」を少なくとも3つもっていました。
ひとつ、メーガンさんが3歳年上。2つ、メーガンさんは離婚経験者。3つ、メーガンさんの母は、アフリカ系アメリカ人。
英王室では、エドワード8世(エリザベス2世の伯父)が、バツイチ女性シンプソン夫人との結婚を望んだために退位(王冠をかけた恋として有名)。
チャールズ皇太子(ヘンリー王子の父)が、恋し合ったカミラではなく、スペンサー伯爵家のダイアナと結婚したのは、カミラが1歳半年上であること、母親は男爵令嬢であるけれど父親は爵位をもっていなかったこと、などから結婚をあきらめた結果です。カミラとの交際は結婚後も続いていたため、ダイアナは心のバランスを失いました。
しかし、チャールズ皇太子がカミラ夫人と再婚し、ウィリアム王子も爵位などない家系の一般女性キャサリンと結婚し円満な家庭を築いたことで、年上、離婚、爵位なしという障害はクリアできたのでしょう。
残る障害は、メーガンさんの母がアフリカ系アメリカ人であること。イギリス保守層の間で、黒人の血が王室に入ることへの拒否反応は相当強かったみたいです。
メーガンさんの母は、アフリカ系アメリカ人ドーリア・ラグランドDoria Ragland(61歳)さん。ドーリアさんは、メーガンの父トーマス・マートルとはメーガンが5歳のとき離婚。けれど、離婚後も父と娘の仲はよく、ハリウッドで仕事をしていた父の影響もあったのか、メーガンさんも女優に。
ヨガ・インストラクターだったドーリアさんは、50歳すぎで大学に入学し、ソーシャルワーカーの資格を得たという努力家です。メーガンさん結婚式までに、元の勤務先を退職しました。娘の七光り利用かもしれないけれど、独立してセラピスト診療所を開設する予定なのだとか。
メーガンとともに車を降りて、教会へ向かうドーリア
守旧派からの反発を乗り越えて、英王室がふたりの結婚を祝福したのは、21世紀の王室生き残りをかけての判断だったと思います。ダイアナ事故死直後は、王室存続支持率は17%まで落ちたそうですが、現在ではウイリアム&キャサリンファミリーの人気もあって、支持率回復中。
多様性と寛容な社会。どの社会においてもそうですが、これから生き残る社会は、他者への寛容が実現され、多様な文化を受け入れることのできる社会でしょう。
ユーラシア西のはしっこ島国が多様性容認へと改革していっているのに対して、東のはしっこ島国のほうは、母親の借金問題露見で結婚話は停滞(破綻?)。
事実婚や未婚女性出産を保護したフランスが出生率回復へ向かったのに、東はしっこ島では、女性の生涯未婚率急上昇で相変わらずの低出生率。あ~あ、我が家、娘も息子も生涯未婚率上昇貢献組です。
移民は受け入れず労働力確保も難しくなってきて、若者の非正規労働者は増える一方。働き方改革という掛け声だけ。
ヘンリー&メーガンの結婚式、英国のこれまでの結婚とは、かなり様変わりしたロイヤルウエディングでした。
多様性の第一。神父の演説では、黒人の米国聖公会マイケル・カリー総裁主教による説教がすごかった。ハーレムなどで神父牧師がえらいノリノリの大説教をするのをドラマや映画で見たことありますが、イギリスの教会で行われるとは思いませんでした。ちょっと長すぎた気がするけれど、おもしろかった。
カリー主教(1953~)はシカゴ出身で、アメリカで初の黒人主教です。キング牧師のことば「愛には力があります。」「私たちは愛の力から生まれ、愛の力によって生きるのです」をインパクトたっぷりに引用していました。

また、セントジョージ礼拝堂に響く歌声。少年を含む聖歌合唱も美しい響きでしたが、それ以上に黒人ゴスペル合唱団によるゴスペル風「スタンドバイミー」がとてもよかった。私には、この結婚式のハイライトと思えました。
「♪Lord, Stand by Me主よ我がそばにあれ」という黒人霊歌からインスパイアされて作られたスタンドバイミー。メーガンが自身の出自に誇りを持ち、ヘンリーがそれを支持していることがよく伝わった「そばにいて」の歌でした。
教会でチェロを独奏したのも黒人演奏者シェク・カネ―メイソン(19歳)。シェクは、貧しく子だくさんだけれど、音楽を愛する家庭に育ち、ごく普通の学校教育を受けました。2016年にBBCヤングミュージシャンコンクールでで優勝。黒人として初の優勝者でした。
全体として、伝統は残しつつも今後の王室が大きく変わっていく、というメーガン&ヘンリーの演出が見事でした。セルフ・プロデュース力抜群の頭のいいメーガンさんであることを全世界が知りました。
ダイアナ元王妃が世界中の人に愛されたのは。20歳の、何も世間を知らずただただ王子を愛していた若い女性が、結婚後は数々の試練を経て自分の影響力を知り、恵まれない人に寄り添う、という自己プロデュースができるまでに人としての成長過程を見せたこと。
メーガンもきっとさらに自己プロデュースにみがきをかけて、成長していけるんじゃないかと思いました。メーガン&ヘンリー、お幸せに。末永く「そばにいて」。
<つづく>
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2018十八番日記5月(2)スタンドバイミー、ロイヤルウェディングで
日本のプリンセスの恋が、なんだか行き詰っている感になってしまったのは残念至極。「太陽のような」と形容された海の王子、母親の借金なんぞに負けないでほしかったけれど、いまのところ進展の気配なし。
一方、英国プリンスのほうは、着々と恋を実らせ、ついに華麗なるロイヤルウェディング。
同時中継BSで見ました。

娘は、テレビドラマ『スーツ』のファンで、日本での放映が始まったときから、録画して夜中にひとりで見ていました。なかでもパラリーガル役のメーガン・マークルが大好き。日本のパラリーガルだと、弁護士に比べて格段にお給料も安いようですが、メーガン演じるパラリーガルは、個室オフィスも持つ敏腕仕事人で、年収も新米弁護士より上。
ちなみに、海の王子もパラリーガルですが、年収は300万くらいという日本のパラリーガル給与を超えてはいないようす。
「スーツ」でパラリーガルのレイチェルを演じるメーガン・マートル

ヘンリー王子との婚約が発表されてから、娘は「え~、女優やめないでほしい。ヨーロッパではキャリアを続けている王妃もいるんだから、女優続けたらいいのに」と言っていました。でも、女優からは完全引退みたいですね。
ウィリアム王子とキャサリンさんの結婚式中継はニュースでちらと見た程度なのに、ヘンリー&メーガンの結婚式を中継で見たのは、やはり、イギリス王室の変化を感じたから。
ヘンリー王子は、これまでの英国王室の「結婚への障害」を少なくとも3つもっていました。
ひとつ、メーガンさんが3歳年上。2つ、メーガンさんは離婚経験者。3つ、メーガンさんの母は、アフリカ系アメリカ人。
英王室では、エドワード8世(エリザベス2世の伯父)が、バツイチ女性シンプソン夫人との結婚を望んだために退位(王冠をかけた恋として有名)。
チャールズ皇太子(ヘンリー王子の父)が、恋し合ったカミラではなく、スペンサー伯爵家のダイアナと結婚したのは、カミラが1歳半年上であること、母親は男爵令嬢であるけれど父親は爵位をもっていなかったこと、などから結婚をあきらめた結果です。カミラとの交際は結婚後も続いていたため、ダイアナは心のバランスを失いました。
しかし、チャールズ皇太子がカミラ夫人と再婚し、ウィリアム王子も爵位などない家系の一般女性キャサリンと結婚し円満な家庭を築いたことで、年上、離婚、爵位なしという障害はクリアできたのでしょう。
残る障害は、メーガンさんの母がアフリカ系アメリカ人であること。イギリス保守層の間で、黒人の血が王室に入ることへの拒否反応は相当強かったみたいです。
メーガンさんの母は、アフリカ系アメリカ人ドーリア・ラグランドDoria Ragland(61歳)さん。ドーリアさんは、メーガンの父トーマス・マートルとはメーガンが5歳のとき離婚。けれど、離婚後も父と娘の仲はよく、ハリウッドで仕事をしていた父の影響もあったのか、メーガンさんも女優に。
ヨガ・インストラクターだったドーリアさんは、50歳すぎで大学に入学し、ソーシャルワーカーの資格を得たという努力家です。メーガンさん結婚式までに、元の勤務先を退職しました。娘の七光り利用かもしれないけれど、独立してセラピスト診療所を開設する予定なのだとか。
メーガンとともに車を降りて、教会へ向かうドーリア

守旧派からの反発を乗り越えて、英王室がふたりの結婚を祝福したのは、21世紀の王室生き残りをかけての判断だったと思います。ダイアナ事故死直後は、王室存続支持率は17%まで落ちたそうですが、現在ではウイリアム&キャサリンファミリーの人気もあって、支持率回復中。
多様性と寛容な社会。どの社会においてもそうですが、これから生き残る社会は、他者への寛容が実現され、多様な文化を受け入れることのできる社会でしょう。
ユーラシア西のはしっこ島国が多様性容認へと改革していっているのに対して、東のはしっこ島国のほうは、母親の借金問題露見で結婚話は停滞(破綻?)。
事実婚や未婚女性出産を保護したフランスが出生率回復へ向かったのに、東はしっこ島では、女性の生涯未婚率急上昇で相変わらずの低出生率。あ~あ、我が家、娘も息子も生涯未婚率上昇貢献組です。
移民は受け入れず労働力確保も難しくなってきて、若者の非正規労働者は増える一方。働き方改革という掛け声だけ。
ヘンリー&メーガンの結婚式、英国のこれまでの結婚とは、かなり様変わりしたロイヤルウエディングでした。
多様性の第一。神父の演説では、黒人の米国聖公会マイケル・カリー総裁主教による説教がすごかった。ハーレムなどで神父牧師がえらいノリノリの大説教をするのをドラマや映画で見たことありますが、イギリスの教会で行われるとは思いませんでした。ちょっと長すぎた気がするけれど、おもしろかった。
カリー主教(1953~)はシカゴ出身で、アメリカで初の黒人主教です。キング牧師のことば「愛には力があります。」「私たちは愛の力から生まれ、愛の力によって生きるのです」をインパクトたっぷりに引用していました。

また、セントジョージ礼拝堂に響く歌声。少年を含む聖歌合唱も美しい響きでしたが、それ以上に黒人ゴスペル合唱団によるゴスペル風「スタンドバイミー」がとてもよかった。私には、この結婚式のハイライトと思えました。
「♪Lord, Stand by Me主よ我がそばにあれ」という黒人霊歌からインスパイアされて作られたスタンドバイミー。メーガンが自身の出自に誇りを持ち、ヘンリーがそれを支持していることがよく伝わった「そばにいて」の歌でした。
教会でチェロを独奏したのも黒人演奏者シェク・カネ―メイソン(19歳)。シェクは、貧しく子だくさんだけれど、音楽を愛する家庭に育ち、ごく普通の学校教育を受けました。2016年にBBCヤングミュージシャンコンクールでで優勝。黒人として初の優勝者でした。
全体として、伝統は残しつつも今後の王室が大きく変わっていく、というメーガン&ヘンリーの演出が見事でした。セルフ・プロデュース力抜群の頭のいいメーガンさんであることを全世界が知りました。
ダイアナ元王妃が世界中の人に愛されたのは。20歳の、何も世間を知らずただただ王子を愛していた若い女性が、結婚後は数々の試練を経て自分の影響力を知り、恵まれない人に寄り添う、という自己プロデュースができるまでに人としての成長過程を見せたこと。
メーガンもきっとさらに自己プロデュースにみがきをかけて、成長していけるんじゃないかと思いました。メーガン&ヘンリー、お幸せに。末永く「そばにいて」。
<つづく>