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ぽかぽか春庭「日本語能力試験1級合格メール」

2020-01-23 00:00:01 | エッセイ、コラム
20200111
春庭にっぽにあニッポン語教師日誌>再録教師日誌2003~2019(18)学生メール

 春庭の日本語教室だよりを再録しています。

 私は、二つの国立大学と三つの私立大学で非常勤講師として、週5日10コマの授業を担当してきました。1988年に日本語教育能力検定試験に合格してからは40年近く、1994年からの大学での授業担当から数えると25年、飽きもせず日本語を留学生に教えてきました。
 同じ課を教えても、クラスによって授業方法を変える必要があり、25年間毎年さまざまな授業方法を試みてきました。

 さまざまな国籍の留学生とふれあい、いろいろな交流がありました。交流の一部分ですが、留学生から届いたメールを、発信者の許可が得られた文のみ公開します。
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2006/11/15 水
ニッポニアニッポン語教師日誌>学生からのメール(11)日本語能力試験1級合格メール

 日本語を学んでいる日本語学習者が、自分の日本語能力を確認し、仕事や進学の資格として使う日本語能力試験。
 2006年度の試験日、12月3日まで、半月ほどになりました。受験生は追い込みにかかっています。

2005年度に試験を受けた学生、目標に達して大喜びの人も、がっかりの人もいました。
 2005年に、私の「日本語教育研究」という授業に、日本人学生といっしょに受講していた留学生のルーさんから、今年5月に届いたメールを紹介します。

『 こんにちは、ご無沙汰しております。先生は相変わらずお元気ですか?
昨年、長い一年間大変お世話になりました。(添削:昨年一年間、長らくお世話になりました)
先生のお陰で日本語能力試験一級、受かりました。
だが350点以上を取りたかったですが、やはり事前の勉強が足りなくて~第一部分の語彙・意味のところが悪かったです。読解と文法はよかったです。

今年こそ350点以上を目指して再挑戦したいと思います。試験の結果がすぐ先生に連絡できなくて、申し訳ございませんでした。Yahooのアドレスが使えなくなり、今のはケータイからです。
大学院のことも、今年から二年間をかけて勉強して目指します。またご指導よろしくお願いいたします。』(2006年5月5日 23:25)

 ひとつの授業の学生とは週に1度授業で出会うだけ。
 留学生担当の専任教授ではないので、授業が終わり、成績を付け終われば、学生と教師との関わりは終わり。それでいいと思っている。
 半年間の、あるいは1年間の出会いの間の時間を充実させることで、完了。
 
 それでも、たまに、こうやって授業を受け持たなくなってからでも連絡をよこす学生がいたりすると、素直にうれしい。
 私が週に一度の授業で関われる範囲などとても小さいもので、ルーさんが日本語能力試験1級に合格したのも、彼女自身の努力によるものであって、私は、日本語教授法の授業をしながら、彼女に励ましのことばをかけただけ。

 日本語能力試験は、日本語を学習している人が受験する。1級~4級は、それぞれ、日本人が英検を受験する1級~4級におおよそ相当すると考えてください。
 英検の1級試験に挑戦したことのある人なら、日本語能力試験1級合格がどれほどたいへんか、分ってくれると思います。

 1級試験は400点満点ですが、70%で合格になります。すなわち、280点以上獲得すれば、合格となる。ルーさんは、280点以上とって合格しました。しかし、ルーさんは、合格だけでは満足せず、再受験して、400点満点の内、350点以上の点数をとりたい、と意欲を燃やしているのです。

 ルーさんは、日本語能力試験にとどまらず、日本語教育能力検定試験(日本語教員資格)にも挑戦しようとがんばっていました。
 日本語教育能力検定試験は、日本語教師の資格を得ようとするたちが、何年も受験し続けて、やっと合格できる難関試験です。

 ルーさんがプロの日本語教師になろうと思うなら、難関であっても「日本語教育能力検定試験」に合格したほうが就職には有利です。
 ルーさんは、大学院をめざし、大学院での研究を続けながら検定試験に挑戦することにしたいと言っています。

 私の仕事のひとつは、「日本語教授法」の授業。
 大学の学部副専攻として日本語教師資格をとるためのコースが設置され、本専攻で国際文化や日本語日本文学などを学ぶ学生たちが、集まってきます。

 私が教えている日本人学生のうち、半分は「日本語教員養成講座修了」の認定を受けるために受講しています。
 あとの半分は卒業認定単位に繰り入れるためで、日本語教育に興味がなくても受講するので、教える側には、根気が必要。

 クラスの中に、数人は毎年「絶対に日本語教師になりたい」と言う学生もいるし、「先生をみていたら、日本語教師って楽しそうにみえるから、なってみようかなあ」という学生もでてきます。

 ルーさんも、そのほかの日本語教師をめざす学生たちも、みんながんばってね。応援しています。


<つづく>
コメント
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