20200418
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>新語流行語2020(3)ブーマーリムーバー
3月はじめに、Covid19関連の新語、「濃厚接触」などの新語流行語について書きました。
それから2ヶ月。アメリカが世界最大の感染地になり、死者数も増え続けている事態、アメリカから別の流行語が出てきました。
ひとつは、ソーシャル・ディスタンスSocial Distance。他者との距離を6フィート(約1.8m)保つ、ということ。これは、もともとのソーシャル・ディスタンスが約1.5mである日本から見るとそれほど難しいことじゃありません。日本の文化では、あまり親しくない人と挨拶をかわすとき、1.5mくらい間をあけて「こんにちわ」「おはようございます」というからです。
しかし、握手が主要なあいさつである文化や、ハグをしないと親しさを表せない文化の挨拶では、この社会的距離を保つためには、大きな努力が必要です。
もうひとつの新語は、「ブーマーリムーバーBoomer Remoover」(団塊世代除去)」という語。毎日読みに行くブログ友のYokoちゃんブログを読むまで知りませんでした。
第2次世界大戦後に復員してきた親から、どっとベビーが誕生しました。ベビーブーマーと呼ばれる世代は、数の多さから社会に大きな発言権を持ち、ベトナム戦争への批判など、世論を左右する力を発揮してきました。しかし、ヒッピー運動などが急速に下火になり、ブーマーたちは物質文化を謳歌するようになります。
しかし、このアメリカのブーマー世代が年を取って年金世代になると、「若い世代に文句ばっかり言っている頑固者わからずやの世代」として、若い世代には煙たがられるようになってきました。Covid19に対して「自分たちは自由を尊重する」という態度を変えずに規制を嫌う風潮があったブーマー世代。
高齢者の死者が多かったことで「COVID19は、ブーマー世代の年さ寄りたちを除去するに役立つウイルスだ」と感じたのが若い世代です。
アメリカのブーマー世代は、20世紀後半から21世紀の世界を「物質的に豊かな社会」にしてきたという自負を持っています。しかし、若い世代にとっては「環境を破壊し、地球温暖化などの罪を重ねてきたのに反省しようとしない世代」と感じられるのです。ブーマー世代は若い世代と断絶し、共感を持てない世代間格差が広がりました。
ブーマー世代への違和感から、若い世代からの「コロナウイルス肺炎が、ブーマー世代を除去してしまえばいい」という表現になったのです。
春庭も、日本のベビーブーマー、団塊の世代です。
団塊の世代も、安保改定、学園闘争などで、「反抗」を掲げて数の力を示してきました。しかし、日本のブーマーは、物質文化の充実だけを望んできたのではないように思います。
「老害」をまき散らすのは、政治家や財界の中にはいるかもしれませんが、社会のなかで地道にコツコツ働いてきた人々を見てきた春庭は、この人たちに共感を覚えこそすれ、「除去」されなければならないとは思えません。むろん、春庭も除去されたくはありません。
世代間の断絶を取り払うことができるのかどうかさだかではありませんが、「人と人との共感」は、必ず取り戻せると思います。
人が人間であろうとするとき、自分のなすべきことを誠実にやり遂げようとするとき、だれかを助けたいと思うとき、必ず心を結びあえると信じています。
<おわり>
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>新語流行語2020(3)ブーマーリムーバー
3月はじめに、Covid19関連の新語、「濃厚接触」などの新語流行語について書きました。
それから2ヶ月。アメリカが世界最大の感染地になり、死者数も増え続けている事態、アメリカから別の流行語が出てきました。
ひとつは、ソーシャル・ディスタンスSocial Distance。他者との距離を6フィート(約1.8m)保つ、ということ。これは、もともとのソーシャル・ディスタンスが約1.5mである日本から見るとそれほど難しいことじゃありません。日本の文化では、あまり親しくない人と挨拶をかわすとき、1.5mくらい間をあけて「こんにちわ」「おはようございます」というからです。
しかし、握手が主要なあいさつである文化や、ハグをしないと親しさを表せない文化の挨拶では、この社会的距離を保つためには、大きな努力が必要です。
もうひとつの新語は、「ブーマーリムーバーBoomer Remoover」(団塊世代除去)」という語。毎日読みに行くブログ友のYokoちゃんブログを読むまで知りませんでした。
第2次世界大戦後に復員してきた親から、どっとベビーが誕生しました。ベビーブーマーと呼ばれる世代は、数の多さから社会に大きな発言権を持ち、ベトナム戦争への批判など、世論を左右する力を発揮してきました。しかし、ヒッピー運動などが急速に下火になり、ブーマーたちは物質文化を謳歌するようになります。
しかし、このアメリカのブーマー世代が年を取って年金世代になると、「若い世代に文句ばっかり言っている頑固者わからずやの世代」として、若い世代には煙たがられるようになってきました。Covid19に対して「自分たちは自由を尊重する」という態度を変えずに規制を嫌う風潮があったブーマー世代。
高齢者の死者が多かったことで「COVID19は、ブーマー世代の年さ寄りたちを除去するに役立つウイルスだ」と感じたのが若い世代です。
アメリカのブーマー世代は、20世紀後半から21世紀の世界を「物質的に豊かな社会」にしてきたという自負を持っています。しかし、若い世代にとっては「環境を破壊し、地球温暖化などの罪を重ねてきたのに反省しようとしない世代」と感じられるのです。ブーマー世代は若い世代と断絶し、共感を持てない世代間格差が広がりました。
ブーマー世代への違和感から、若い世代からの「コロナウイルス肺炎が、ブーマー世代を除去してしまえばいい」という表現になったのです。
春庭も、日本のベビーブーマー、団塊の世代です。
団塊の世代も、安保改定、学園闘争などで、「反抗」を掲げて数の力を示してきました。しかし、日本のブーマーは、物質文化の充実だけを望んできたのではないように思います。
「老害」をまき散らすのは、政治家や財界の中にはいるかもしれませんが、社会のなかで地道にコツコツ働いてきた人々を見てきた春庭は、この人たちに共感を覚えこそすれ、「除去」されなければならないとは思えません。むろん、春庭も除去されたくはありません。
世代間の断絶を取り払うことができるのかどうかさだかではありませんが、「人と人との共感」は、必ず取り戻せると思います。
人が人間であろうとするとき、自分のなすべきことを誠実にやり遂げようとするとき、だれかを助けたいと思うとき、必ず心を結びあえると信じています。
<おわり>