20200116
ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日誌>再録・日本語教師日誌(17)新年快楽
春庭の日本語教室だよりの再録を続けます。
~~~~~~~~~
(2006/01/01 00:04)
年末大晦日になって、成績心配メールを送信してきたアリに、翌日の元旦に返信。12月の試験に合格したかどうか不安で問い合わせてきたのです。
アリさんへ、教師からの返信
「 新年おめでとうございます。そして、日本事情、日本語作文の成績、合格点獲得おめでとうございます。
試験前に、学生に伝えたように、2005年12月31日までにメール、電話などで連絡のなかった学生は、合格です。
今、2006年1月1日になりましたから、不合格の連絡がなかったアりさんは、合格というわけです。12月31日まで心配させてしまいましたね。
日本事情、日本語作文は、テストの点数だけで成績をつけるのではありません。作文をきちんと提出したこと、「日本の文化」「日本と自国との交流史」の発表を積極的に行ったことなど総合してつけます。アリさんは、作文もいっしょうけんめい書き、発表もしっかりやりましたから、合格です。
もちろん、アりさんは漢字の力がまだ足りないし、日本史の知識も不足しています。あと2年間いっしょうけんめい勉強して、必ずお国のために、立派な日本語の先生になってくださいね。では、2006年がアりさんにとって、すばらしい1年になりますように
アリは、2年後に国に帰ったあと、すぐ日本語教師として教壇にたつ。公立校日本語教師のポストがすでに用意されている、恵まれた立場の「政府派遣留学生」である。自国政府からの奨学金をもらって勉強するのだから、祖国の期待にこたえるだけの学習はしなければならない。
他の学生に比べて、日本語力が不足している面もあるのだけれど、努力に免じて、大まけの合格点をあげました。
学生たち、1月中の試験やレポート提出をこなし、春休みはアルバイトや旅行、帰省で忙しくなります。
試験終了祝いと兼ねて、中国韓国の学生たちは、集まって「新年祝い」のパーティをひらく。1月29日は、太陰暦(旧暦・農暦)の元旦です。
新年快楽!!中国や韓国などでは、新暦の元旦より、こちらの旧暦新年を盛大に祝います。家族親族が集まって、ごちそうを食べ、友達も旧交を温めます。
中国や韓国の留学生たち、日本人の友達や先生には、新暦でごあいさつ、そして旧暦正月は、家族や国の友達と楽しいひとときをすごします。
2006/02/04 土
ニッポニアニッポン語教師日誌>学生からのメール(9)新年快楽!!祝!立春
新暦正月、メールタイトルが「あけましておめでとう」、差出人のなまえが「? ??」というメールが届きました。一瞬あやしいメールかと思ったけれど、添付もないので開けてみました。
「先生、昨年は大変お世話になりました。
ハガキではなく、ネットで挨拶をすること、お許しください。
今年からは授業が聞けなくなって残念ですが、先生の教えだけはちゃんと心にしまっておきます。くれぐれもお体に気をつけてください。
それでは先生にとって素敵な一年になりますように。」
日本語の文面がきちんとしているので、だいたいの察しがつくけれど、学校用とは別のメールアドレスを使う学生もいるので、だれからの新年メールなのか、推測はむずかしい。
適正な日本語を書いているところからの推察で、韓国のヒョンさんと判断して返信する。 ヒョンさんは、抜群の日本語力を駆使して、日本史のテスト点はクラス最高点、発表も「夏目漱石の生い立ちと文学」「飛鳥時代の日本と百済の交流」「国立東京博物館法隆寺館の飛鳥仏について」など、たいへん良い内容でした。評価は「S=秀」。A=優より上のレベルになる。
教師からヒョンさんへの返信
「 クヮセ アンニョンハシムニカ?
ヒョンさん!よいお正月になりましたか。それとも1月に連続する試験勉強で忙しい冬休みだったでしょうか。
ヒョンさんはとても優秀な人ですから、うっかり忘れたのではないと思うけれど、自分の名前を書いてない年賀状(あけおめーる)受け取ったのは、はじめてです。
わざと名前書かなかったの?
私は、優秀な日本語教師ですから、名前書いてなくても、もちろん学生のことは、ちゃんと把握してます!! だれが出したメールか、すぐわかる。
じゃ、風邪に気をつけて、2006年をよい年にしてくださいね。 」
「? ??」という差出人のメールを、以前にも受け取ったことがあったのを思い出してチェックしたら、前のメールには「先生、こんにちは、ヒョンです」と、名乗りが書いてあったのでわかったのだけど。
「? ??」からの返信
「 えぇ、名前を書かなかったなんてとんでもないことしてしまいましたね。すみません。私はレポートと試験勉強で年末も新年もどこにも行けませんでした。仕方ないですよね^^;;;
先生、もしよろしければ一緒にご飯でもいかがですか?もちろん試験が終わってからで。
それでは、またご連絡いたします。」
<つづく>
2006/02/05 日
ニッポニアニッポン語教師日誌>学生からのメール(10)あけおめーる
ハガキの「年賀状」に対する「メールによる新年のあいさつ」は、「年賀メール」ではなくて、「あけおめーる」という名称が定着しそうです。
「あけおめ」という簡略賀詞は流行が短期間でおわりそうな気配ですが、「あけおめーる」という言い方は、続けて使われていくようです。
今年の「年賀状」「あけおめーる」、新しい年の出発に元気がでるようなうれしいたよりがありましたか?
「出すのはめんどうくさいが、受け取るのはうれしい」という不精者春庭、学生からのメールをみて、学期末の仕事も、もうひと踏ん張りです。
ヒョンさんは、アリと同じ「日本事情」の授業を受けている学生。クラスで一番日本語力があり、大使館から依頼された通訳の仕事もきちんとこなしました。
市立中学校が行った「国際理解教育、交流のつどい」にも毎年積極的に参加し、日本の中学生との交流を深めています。
ヒョンさんは、アリと同じく日本語教師になりたいという希望を持っています。
日本語力が弱くてもポストが用意されているアリと違い、卒業後は自分自身で仕事をみつけていかなければなりませんが、きっと有能な日本語教師になれるでしょう。
「日本事情」の成績、やっと付け終わって成績表を郵送しました。
アリさん、日本史のテストはクラス最低点でしたが、日本文化の発表と自国と日本の交流史発表をきちんとこなしたことを認めて「B=良」
奨学金だけで十分に生活していけるアリは、他の学生がアルバイトに追われている間、せっせと日本各地を旅行してきました。
「愛知万博」「歌舞伎見物」など日本での見聞をリポートし、旅行のチャンスもなかなか得られない他の学生によい刺激を与えてくれたことを評価しました。
ただし、作文は「C=可」。アリのメール文をみればわかるように、まだまだ日本語教師として通用するレベルではありません。が、課題の作文をきちんと提出し、文集を完成させたことを評価。
2月4日は立春。しかし、立春寒波とかで、今朝の朝刊には「八丈島に60年ぶりに積雪3センチ」という記事がありました。
昨日「南の島に雪がふる」というコメントが届き、昨日のうちにリアルタイムで南の島にふる雪を想像できました。ありがとう。
「立春の今日、今、爺の住む南の島に雪が降り始めました。
投稿者:r******* (2006 2/4 10:45)」
立春の一日、自転車での行き帰りにふるえたけれど、明けない夜はなく終わらない冬はない。すこしずつ春も近づきます。
<つづく>
ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日誌>再録・日本語教師日誌(17)新年快楽
春庭の日本語教室だよりの再録を続けます。
~~~~~~~~~
(2006/01/01 00:04)
年末大晦日になって、成績心配メールを送信してきたアリに、翌日の元旦に返信。12月の試験に合格したかどうか不安で問い合わせてきたのです。
アリさんへ、教師からの返信
「 新年おめでとうございます。そして、日本事情、日本語作文の成績、合格点獲得おめでとうございます。
試験前に、学生に伝えたように、2005年12月31日までにメール、電話などで連絡のなかった学生は、合格です。
今、2006年1月1日になりましたから、不合格の連絡がなかったアりさんは、合格というわけです。12月31日まで心配させてしまいましたね。
日本事情、日本語作文は、テストの点数だけで成績をつけるのではありません。作文をきちんと提出したこと、「日本の文化」「日本と自国との交流史」の発表を積極的に行ったことなど総合してつけます。アリさんは、作文もいっしょうけんめい書き、発表もしっかりやりましたから、合格です。
もちろん、アりさんは漢字の力がまだ足りないし、日本史の知識も不足しています。あと2年間いっしょうけんめい勉強して、必ずお国のために、立派な日本語の先生になってくださいね。では、2006年がアりさんにとって、すばらしい1年になりますように
アリは、2年後に国に帰ったあと、すぐ日本語教師として教壇にたつ。公立校日本語教師のポストがすでに用意されている、恵まれた立場の「政府派遣留学生」である。自国政府からの奨学金をもらって勉強するのだから、祖国の期待にこたえるだけの学習はしなければならない。
他の学生に比べて、日本語力が不足している面もあるのだけれど、努力に免じて、大まけの合格点をあげました。
学生たち、1月中の試験やレポート提出をこなし、春休みはアルバイトや旅行、帰省で忙しくなります。
試験終了祝いと兼ねて、中国韓国の学生たちは、集まって「新年祝い」のパーティをひらく。1月29日は、太陰暦(旧暦・農暦)の元旦です。
新年快楽!!中国や韓国などでは、新暦の元旦より、こちらの旧暦新年を盛大に祝います。家族親族が集まって、ごちそうを食べ、友達も旧交を温めます。
中国や韓国の留学生たち、日本人の友達や先生には、新暦でごあいさつ、そして旧暦正月は、家族や国の友達と楽しいひとときをすごします。
2006/02/04 土
ニッポニアニッポン語教師日誌>学生からのメール(9)新年快楽!!祝!立春
新暦正月、メールタイトルが「あけましておめでとう」、差出人のなまえが「? ??」というメールが届きました。一瞬あやしいメールかと思ったけれど、添付もないので開けてみました。
「先生、昨年は大変お世話になりました。
ハガキではなく、ネットで挨拶をすること、お許しください。
今年からは授業が聞けなくなって残念ですが、先生の教えだけはちゃんと心にしまっておきます。くれぐれもお体に気をつけてください。
それでは先生にとって素敵な一年になりますように。」
日本語の文面がきちんとしているので、だいたいの察しがつくけれど、学校用とは別のメールアドレスを使う学生もいるので、だれからの新年メールなのか、推測はむずかしい。
適正な日本語を書いているところからの推察で、韓国のヒョンさんと判断して返信する。 ヒョンさんは、抜群の日本語力を駆使して、日本史のテスト点はクラス最高点、発表も「夏目漱石の生い立ちと文学」「飛鳥時代の日本と百済の交流」「国立東京博物館法隆寺館の飛鳥仏について」など、たいへん良い内容でした。評価は「S=秀」。A=優より上のレベルになる。
教師からヒョンさんへの返信
「 クヮセ アンニョンハシムニカ?
ヒョンさん!よいお正月になりましたか。それとも1月に連続する試験勉強で忙しい冬休みだったでしょうか。
ヒョンさんはとても優秀な人ですから、うっかり忘れたのではないと思うけれど、自分の名前を書いてない年賀状(あけおめーる)受け取ったのは、はじめてです。
わざと名前書かなかったの?
私は、優秀な日本語教師ですから、名前書いてなくても、もちろん学生のことは、ちゃんと把握してます!! だれが出したメールか、すぐわかる。
じゃ、風邪に気をつけて、2006年をよい年にしてくださいね。 」
「? ??」という差出人のメールを、以前にも受け取ったことがあったのを思い出してチェックしたら、前のメールには「先生、こんにちは、ヒョンです」と、名乗りが書いてあったのでわかったのだけど。
「? ??」からの返信
「 えぇ、名前を書かなかったなんてとんでもないことしてしまいましたね。すみません。私はレポートと試験勉強で年末も新年もどこにも行けませんでした。仕方ないですよね^^;;;
先生、もしよろしければ一緒にご飯でもいかがですか?もちろん試験が終わってからで。
それでは、またご連絡いたします。」
<つづく>
2006/02/05 日
ニッポニアニッポン語教師日誌>学生からのメール(10)あけおめーる
ハガキの「年賀状」に対する「メールによる新年のあいさつ」は、「年賀メール」ではなくて、「あけおめーる」という名称が定着しそうです。
「あけおめ」という簡略賀詞は流行が短期間でおわりそうな気配ですが、「あけおめーる」という言い方は、続けて使われていくようです。
今年の「年賀状」「あけおめーる」、新しい年の出発に元気がでるようなうれしいたよりがありましたか?
「出すのはめんどうくさいが、受け取るのはうれしい」という不精者春庭、学生からのメールをみて、学期末の仕事も、もうひと踏ん張りです。
ヒョンさんは、アリと同じ「日本事情」の授業を受けている学生。クラスで一番日本語力があり、大使館から依頼された通訳の仕事もきちんとこなしました。
市立中学校が行った「国際理解教育、交流のつどい」にも毎年積極的に参加し、日本の中学生との交流を深めています。
ヒョンさんは、アリと同じく日本語教師になりたいという希望を持っています。
日本語力が弱くてもポストが用意されているアリと違い、卒業後は自分自身で仕事をみつけていかなければなりませんが、きっと有能な日本語教師になれるでしょう。
「日本事情」の成績、やっと付け終わって成績表を郵送しました。
アリさん、日本史のテストはクラス最低点でしたが、日本文化の発表と自国と日本の交流史発表をきちんとこなしたことを認めて「B=良」
奨学金だけで十分に生活していけるアリは、他の学生がアルバイトに追われている間、せっせと日本各地を旅行してきました。
「愛知万博」「歌舞伎見物」など日本での見聞をリポートし、旅行のチャンスもなかなか得られない他の学生によい刺激を与えてくれたことを評価しました。
ただし、作文は「C=可」。アリのメール文をみればわかるように、まだまだ日本語教師として通用するレベルではありません。が、課題の作文をきちんと提出し、文集を完成させたことを評価。
2月4日は立春。しかし、立春寒波とかで、今朝の朝刊には「八丈島に60年ぶりに積雪3センチ」という記事がありました。
昨日「南の島に雪がふる」というコメントが届き、昨日のうちにリアルタイムで南の島にふる雪を想像できました。ありがとう。
「立春の今日、今、爺の住む南の島に雪が降り始めました。
投稿者:r******* (2006 2/4 10:45)」
立春の一日、自転車での行き帰りにふるえたけれど、明けない夜はなく終わらない冬はない。すこしずつ春も近づきます。
<つづく>