20201101
ぽかぽか春庭アート散歩>2020秋のアート散歩(1)大原美術館
大原美術館は、1930(昭和5)年に大原孫三郎によって設立された日本最初の私立西洋美術館です。衰亡した倉敷の再建をめざした大原孫三郎は、倉敷紡績などの事業を成功させた後、芸術面でも児島虎次郎らの援助をはかりました。孫三郎は児島を美術研究と収集のために欧州へ派遣し、児島はエルグレコ、モネ、ゴーギャン、マティスなどの西洋絵画を持ち帰りました。
倉敷紡績ほかの企業をを受け継いだ孫三郎の子孫は代々美術収集も引き継ぎ、現在まで美術館所蔵を充実させてきました。
古代ギリシャ神殿を模した建物

入り口に立つロダンのカレーの市民(西洋美術館にもある像)

エントランス

本館脇に増設されたアトリウム

本館の常設展示は、美術教科書でおなじみの作品がずらりと並んでいます。というか、大原美術館にあるから美術の教科書で紹介されていたのですけれど。
たとえば、ゴーギャンを教科書にのせるなら、パリまで行かずに倉敷まで出向けばゴーギャンの『かぐわしき大地』が撮影できます。
『かぐわしき大地』はいろいろな展覧会に貸し出されてきたので、私は「ゴッホとゴーギャン展」その他で何度も見てきた作品です。でも、所蔵している大原美術館で見るのもまたひとしおの感激。(作品の撮影は禁止でしたから、画像は借り物。私立だからどうこうは言えないけれど、住所氏名を申し出た者には撮影許可の腕章などを発行して撮影を許可するシステムにして欲しい)
絵葉書も何度か買って青い鳥さんに送りました。
エル・グレコの「受胎告知」大原美術館の代表的な所蔵品です。

この作品がパリの画商から売り出されることがわかったとき、購入をまかされていた児島虎次郎も即断できませんでした。高かったからです。児島は大原孫三郎に連絡し購入を打診しました(たぶん電報で)。孫三郎は購入を即決。すぐに購入資金を送りました。おかげで、今では手に入れることが不可能なエルグレコ作品が目の前で見られる。
わたしが大原美術館で一番見たかったのは、セガンティ―ニの「アルプスの真昼」です。セガンティ―二の作品は今では西洋美術館でも「羊の剪毛」が常設展示されているのですが、「アルプスの真昼」こそは、中学生の私が「西洋の美術ってなんてすごいんだろう」と感じ入った作品です。
中3の美術の時間、レンブラントもゴッホもルノアールも複製写真版で「鑑賞」してきましたが、セガンティ―ニの『アルプスの真昼』を見たとき、アルプスの日の光や空気を感じてその表現力に魅せられました。
2011年に静岡美術館でセガンティーニ展が開催されたとき、私はまだ震災アパシーから立ち直っていなかったのだろうと思います。大好きなセガンティーニなのに、展覧会があったことに目を向けることが無かったのです。
アルプスの真昼

セガンティーニは悲惨な生い立ちの中育ち、画家を志した後も不遇な人生のまま41年という短い生涯を送った画家です。作品も数多くはありません。そのうちの1点が大原美術館にあるのはうれしいことです。
大原美術館の室内展示

大原美術館の所蔵品の基礎を作った児島虎次郎の作品は別館にまとめて展示されていたのですが、現在は閉鎖され、旧中国銀行倉敷支店の建物が改装されたのちに美術館別館となり、児島作品を展示するそうです。
東洋館と工芸館は、東洋美術と陶芸などの工芸作品が展示されています。

東洋の仏像

庭にはモネのスイレンが咲いていました。ジベルニーの庭の池から移植された睡蓮です。

大原美術館、次に訪問できる機会はいつになるかわかりませんが、何度でも訪れたい美術館です。

<つづく>
ぽかぽか春庭アート散歩>2020秋のアート散歩(1)大原美術館
大原美術館は、1930(昭和5)年に大原孫三郎によって設立された日本最初の私立西洋美術館です。衰亡した倉敷の再建をめざした大原孫三郎は、倉敷紡績などの事業を成功させた後、芸術面でも児島虎次郎らの援助をはかりました。孫三郎は児島を美術研究と収集のために欧州へ派遣し、児島はエルグレコ、モネ、ゴーギャン、マティスなどの西洋絵画を持ち帰りました。
倉敷紡績ほかの企業をを受け継いだ孫三郎の子孫は代々美術収集も引き継ぎ、現在まで美術館所蔵を充実させてきました。
古代ギリシャ神殿を模した建物

入り口に立つロダンのカレーの市民(西洋美術館にもある像)

エントランス

本館脇に増設されたアトリウム

本館の常設展示は、美術教科書でおなじみの作品がずらりと並んでいます。というか、大原美術館にあるから美術の教科書で紹介されていたのですけれど。
たとえば、ゴーギャンを教科書にのせるなら、パリまで行かずに倉敷まで出向けばゴーギャンの『かぐわしき大地』が撮影できます。
『かぐわしき大地』はいろいろな展覧会に貸し出されてきたので、私は「ゴッホとゴーギャン展」その他で何度も見てきた作品です。でも、所蔵している大原美術館で見るのもまたひとしおの感激。(作品の撮影は禁止でしたから、画像は借り物。私立だからどうこうは言えないけれど、住所氏名を申し出た者には撮影許可の腕章などを発行して撮影を許可するシステムにして欲しい)

絵葉書も何度か買って青い鳥さんに送りました。
エル・グレコの「受胎告知」大原美術館の代表的な所蔵品です。

この作品がパリの画商から売り出されることがわかったとき、購入をまかされていた児島虎次郎も即断できませんでした。高かったからです。児島は大原孫三郎に連絡し購入を打診しました(たぶん電報で)。孫三郎は購入を即決。すぐに購入資金を送りました。おかげで、今では手に入れることが不可能なエルグレコ作品が目の前で見られる。
わたしが大原美術館で一番見たかったのは、セガンティ―ニの「アルプスの真昼」です。セガンティ―二の作品は今では西洋美術館でも「羊の剪毛」が常設展示されているのですが、「アルプスの真昼」こそは、中学生の私が「西洋の美術ってなんてすごいんだろう」と感じ入った作品です。
中3の美術の時間、レンブラントもゴッホもルノアールも複製写真版で「鑑賞」してきましたが、セガンティ―ニの『アルプスの真昼』を見たとき、アルプスの日の光や空気を感じてその表現力に魅せられました。
2011年に静岡美術館でセガンティーニ展が開催されたとき、私はまだ震災アパシーから立ち直っていなかったのだろうと思います。大好きなセガンティーニなのに、展覧会があったことに目を向けることが無かったのです。
アルプスの真昼

セガンティーニは悲惨な生い立ちの中育ち、画家を志した後も不遇な人生のまま41年という短い生涯を送った画家です。作品も数多くはありません。そのうちの1点が大原美術館にあるのはうれしいことです。
大原美術館の室内展示

大原美術館の所蔵品の基礎を作った児島虎次郎の作品は別館にまとめて展示されていたのですが、現在は閉鎖され、旧中国銀行倉敷支店の建物が改装されたのちに美術館別館となり、児島作品を展示するそうです。
東洋館と工芸館は、東洋美術と陶芸などの工芸作品が展示されています。

東洋の仏像

庭にはモネのスイレンが咲いていました。ジベルニーの庭の池から移植された睡蓮です。


大原美術館、次に訪問できる機会はいつになるかわかりませんが、何度でも訪れたい美術館です。

<つづく>