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ぽかぽか春庭「はちどり」

2020-11-19 00:00:01 | エッセイ、コラム


20201117
ぽかぽか春庭シネマパラダイス>2020虹のかなたに(6)はちどり

 2019年公開の韓国映画。第69回ベルリン国際映画祭インターナショナル審査員賞グランプリ
(ジェネレーション14プラス部門)を受賞した、キム・ボラ監督の長編映画監督デビュー作です。

パク・ジフ(朝鮮語版):ウニ
キム・セビョク(朝鮮語版):ヨンジ
チョン・インギ(朝鮮語版):ウニの父 
イ・スンヨン(朝鮮語版):ウニの母
パク・スヨン:スヒ…ウニの姉 
ソン・サンヨン:デフン…ウニの兄
パク・ソユン:ジスク…ウニの親友

 アメリカでは初の女性副大統領が誕生しました。しかし、世界では、まだまだ「ガラスの天井」から頭を出すことなく仕事を続けている女性も多いし、女性が教育を受ける権利を得られないままの地域もあるのです。

 韓国の1990年代も、多くの女性は男性優位社会に抑圧を感じながら暮らしていました。1994年に14歳だった少女。キム・ボラ監督の少女時代の追憶を基本に据え、ゆれる思春期を描き出しています。

1994年、中学2年生のウニは学校でも周囲になじめず、小さな餅屋を営む家庭にも自分の居場所はないと感じています。父は稼ぎの少ない家業のうっぷんを家父長の支配力を振るうことで晴らしているし、兄は親の期待にそう進学先には行けそうにないイライラを妹を殴ることでストレス解消をする。姉は学校の勉強より恋愛に夢中。ウニはボーイフレさンドとキスしてみたり下の、学年の女子生徒に好きだと告白されたり、ささやかな日常のなかで悩みながら暮らしています。

ウニの気持ちを理解しようとしてくれたのはただ一人、漢学塾の先生ヨンジだけ。ヨンジは名門ソウル大学を休学中。当時の韓国社会の通念上女性には許されていない喫煙も堂々としています。
ウニはヨンジに心を寄せますが、ヨンジには思いもよらぬ運命が待っていました。

町の人々が「死なないと思っていた」という金日成が死去し、落ちることはないと思っていた橋が崩落する。騒然とした社会の中、揺れる繊細な思いを抱えて、ウニは「殴られたら声をあげて」というヨンジの言葉をかみしめます。

1994年、ポケベルで練習できるようにはなっていたけれど、まだ一般社会にケータイは普及していない。
私は1994年にようやく大学講師の職を得て中国に単身赴任した年でした。女性が働く環境はまだまだ整えられてはいませんでしたが、ともかくも荒波の中家族を守るために必死だった。ウニも自分の場所は自分で作り上げるために歩きだすでしょう

ウニを演じたパクジフは監督作品の前作~「リコーダーのテスト」でも主演。このまま成長して監督の自伝的作品を演じてほしい。韓国の現代史を描くことと重なりながら少女の成長を見たいです。

<おわり>
コメント (2)
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