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ぽかぽか春庭「漢字教育サポートと支援」

2021-09-25 00:00:01 | エッセイ、コラム
20210925
ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日誌>日本語2021かんじのいい漢字教室(6)漢字教育サポートと支援

 中国人学生にとって、日本語語彙のうち、カタカナ語が苦手なことはわかっています。「もともとの日本語があるのに、なぜわざわざカタカナのことばでいわなければならないのか」と、理不尽に思うこともあるらしい。

 中国語なら「牛奶」一語でいいのに、日本語はミルクと牛乳を使い分けなければならない。スーパーで買う1リットル入りは牛乳だが、カフェで注文するときはミルク。カフェで「こうちゃ」を頼むのはOKだけれど、「奶茶」を飲みたいとき「牛乳紅茶」なんて言うと、発音が悪いもんだからウエイトレスに「は?」という顔される。「ミルクティ」と言わなければならない。

 ごはんは茶碗や丼に入っている。皿によそえばライス。
 牛肉ビーフ、豚肉ポーク、鶏肉チキン、じゃがいもポテト。スーパーでは買えた「たまご」ですが、レストランでは「かき混ぜ卵」じゃなくて、スクランブルエッグ。
 瓶とボトル、紙とペーパー、椅子とチェア、机とデスク、日常語の多くがカタカナことばと複数で覚えなければならない。
 食べ物とファッションは、次から次に「新しい語感」が求められて、新語登場。

 花屋という語があるのに、どうして「フラワーショップ」と言うのか、わからないまま、ふたつの語を暗記しなければならない日本語学習者の負担は大きい。初級では「ホテル」だけでよかったけれど、中級になれば「旅館」が出てきて、上級の読解には「宿屋」も登場。超上級では「旅籠」も。くるまと自動車とカー。
 カタカナ語も複雑。中国語の「电脑」は、パソコンとコンピュータのふたつの語を覚えなければならない。  

 誕生日のケーキの上にはロウソクでもキャンドルでもいいけれど、仏壇にキャンドルはともさない、などと、使われる場面や時代での使い分けができるものは説明しやすいですが、微妙なものも。
 中国語ではどちらも「厨房」と訳される「台所」と「キッチン」の違いをどう使い分けるか。「昔ながらの和風の家で料理するところは、台所」「新時代の洋風の家だとキッチン」という説明で終わりにしていますが、旅館やホテル、飲食業だと厨房という語も使われる。それ以上の使い分けは、自分で例を集めて分類してください、といっています。逃げ!

 中国語で「支持」は、日本語で「サポ-トする」「支援する」「支持する」。さて、どのような場合はサポートで、どんなとき支援する、といえるのか、使い分けは微妙です。

 初級では、日本語の文型(文法)の学習をしっかり行いますが、中級では語彙を増やすことが大切。
 語彙が増えれば増えるほど、「サポート交際と援助交際は同じですか」なんていう質問に答えなければなりません。援助交際は日本語語彙にあるけれど、サポート交際は聞いたことないけれど、、、、、くらいのことしか言えません。援助交際がエンコーという略語になって、今や女子中学生にも普及していることばになったごとく、サポート交際サポコーが定着するや否や。今のところ「パパ活」が優勢ですけど。の

 日本語教師、学習者への支援もサポートも、しっかり支えて行きたいと思います。

 2009年中国赴任時の日本語教室


<つづく>
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