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ぽかぽか春庭「日中漢字熟語意味違いその2」

2021-09-28 00:00:01 | エッセイ、コラム

20210928

ぽかぽか春庭ニッアにっぽん語教師日誌>日本語教師養成講座夏・漢字教育基礎(2)日中漢字熟語意味違いその2

 日本語教師志望者に、中国人学習者への漢字教育で注意すべき点としてあげてきた、「日本語と中国語の同文字熟語で意味が異なる語」のつづきです。

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4-1覚悟
 日本語(かくご)――困難や不利な結果が出るかもしれないと予測して、心を決めること。「どんなに難しくてもあきらめないで、感性させる覚悟です」 
 中国語――(理論や政策に)めざめる、自覚する。「有覚悟」「覚悟高」の人とは、「中国共産党の理論、路線、政策に対する意識や理解が高い人の意味。
4-2教養
 日本語(きょうよう)――学問・文化に関する広い知識を身につけることで得られる心の広さ。 
 中国語――人のよくない習慣やくせを強制的な手段によってなくす、という意味の動詞。
また、「しつけ」という意味の名詞。「労働教養院」=強制労働収容所
4-3作風
 日本語(さくふう)――作品に表れる作者特有の個性。「彼の作風は少年時代の生活環境が深く関係している」  
 中国語――人の思想、生活態度をいう。中国語で「作風がよい」というと、その人の異性関係が潔癖で、逆に「作風がよくない」というと、まず異性関係がだらしないというイメージが浮かぶ。
4-4勉強
 日本語(べんきょう)――(1)学問や技術に励み努めること。(2)無理して商品の値引きなどをする
 中国語――無理をして何かをする、自分の意に反してしぶしぶ何かをすること。
4-5出世
 日本語(しゅっせ)――昇進、栄達すること。「彼は取締役に出世した」 
 中国語――語源は仏教用語「世」は俗世間のことで、「出世」は、「世に出る」つまり、(1)生まれること、(2)「世を出る」つまり、出家する。(日常語ではない)
4-6作為
 日本語(さくい)――よく見せようとして、わざわざ仕組んだり、手を入れたりする
こと。「データを作為的に変更した」
 中国語――業績、貢献。

 日本では基本的に「無作為」をよしとし、中国では「有作為」をよしとする。


4-7収集
 日本語(しゅうしゅう)1--「集める」「火曜日には粗大ゴミを収集する」
 中国語1--では収集
の対象は価値あるもの、有用なものに限られるが、日本語では「ごみ」にも「収集」が使われる。
4-8暗算
 日本語(あんざん)――「筆算」の反対語。紙・鉛筆や計算機などを使わないで頭でする計算。中国語では「口算」「心算」 
 中国語――だまし討ち、ひそかにたくらんで人を殺す、または陥れる。日本語では「暗殺」。
4-9遠慮
 日本語(えんりょ)――他人に気を使って言動を控えめにすること。「ここではタバコ
はご遠慮ください」「遠慮なく頂きます」中国語では「ご遠慮無くどうぞ」は「不客気」
 中国語――将来のことを深く考えること。
4-10温存
 日本語(おんぞん)――何かを使わないで大事に保存しておくこと。「試合に備えて体力を温存する」日本語は「副詞+動詞」、「暖かく(大切に)保存する」、
 中国語――人、ことに異性に対して大変優しい。中国語は「主語+述語」、「温かみが存在する」から、思いやりがある、やさしい、という意味になる。
4-11合算
 日本語(がっさん)――数字を合計する。
 中国語――(1)合計する (2)「考えてみる」「相談してみる」
4-12我慢
 日本語(がまん)――辛抱強く耐える、こらえる。「疲れたけれど、我慢して走った」
 中国語――「主語+述語」、「私は遅い」。
 張麟声『日中ことばの漢ちがい』(くろしお出版2004年)から引用したものを編集したリストつづき。

4-13工夫
 日本語(くふう)――いろいろと考えてよい方法を得ようとすること。「なにかうまい工夫はないか」
 中国語――何かをするのに要する時間、暇。「没有那
的工夫 そんな暇はない)」
4-14
無心
 日本語(むしん)――(1)雑念や邪心がないこと。「彼は無心に仏像を彫っている」「少女が無心に笑っている」(2)金や物をあつかましくねだること「友だちに金を無心した」
 中国語――「無心」の「心」は意図性。わざとしたことではない、なにかをする気が起こらない。「この事故は無心で起きたことだ」
4-15留守
 日本語(るす)――(1)家を空けること、不在。「旅行するのでしばらく留守にします」(2)(他のことに気をとられて)すべきことをしないで放っておくこと「ほかのことを考えていたので、頭がお留守になっていた」(3)中国語と同じ使い方「留守番」 
 中国語――留まって守ること。軍隊や各種の団体の本体が移動して現地を離れた時、少数の人が残ってその留守を守ること。
4-16結束
 日本語(けっそく)――人間を結ぶ、人々を束ねる。同じ志の者が力を合わせて団結すること。「賃上げのため結束して交渉する」
 中国語――終わる、終結する。人間の手に持っている武器、道具。道具や武器を「結び束ねてしまう」ことは、仕事や戦が終わる、終結する時のこと
4-17裁判(審判)
 日本語(さいばん)――法に基づいて訴訟を裁くこと。中国語では「審判」
 中国語――スポーツ競技で勝ち負けや反則の有無を判断すること。日本語では「審判」
4-18翻案
 日本語(ほんあん)――既成の作品の大筋を生かしながら、作り変えてゆく作業。「この映画は、シェークスピアのハムレットの翻案です」 
 中国語――ある人に関するそれまでの判決や歴史的な評価を覆して、新しい決定をくだすこと。「修正主義者として失脚した鄧小平は3度の翻案を経験した」

 以上、日本語と中国語の意味のちがいを並べてみました。これ以外にもたくさんあるとは思うのですが、基本的な語彙は拾ったと思います。

 2009年中国赴任時の日本語教室。

 学生達にとって、OA機器はお手の物でしたので、春庭老師は学生に教わりながらの教育機器学習でした。

<つづく>

コメント
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