20211009
ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日記>2021日本語学校スポーツの秋(7)日本の伝統スポーツ
春庭勤務の日本語学校には、「日本の文化・社会」を学習する「日本事情」という科目は設置されていませんので、春庭は、通常授業のトピックを利用して日本文化・社会を紹介しています。
中級教科書の読解教材「ラジオ体操」と言う読み物を学習したときは、教科書に書かれているラジオ体操事始めの文章を読んだり、日本で教育を受けた人のほとんど全員がラジオ体操ができることを紹介したりして、学生にも体操を伝授。youtubeでNHKテレビ体操を見ながら、マネして動いてもらいました。
「この体操はいつでもどこでも、大勢でも一人でもできるスポーツです。今年は中止になったところがほとんどだったでしょうが、来年の夏は地域で行われるラジオ体操に参加しましょう」
ラジオ体操練習のあとは、「日本の身体文化の歴史」学習です。 パワーポイントスライド(PPT)で「日本の古代スポーツ」を紹介。
秩父宮記念スポーツ資料館が閉鎖中で、貴重な資料は現在東京国立博物館平成館で公開されています。
9月20日敬老の日に観覧したところ、「だれでも無料」の日だったので、けっこう観覧者がいました。東京オリンピックほかのメダルやベラ・チャスラフスカ着用の赤い体操レオタードなどを見ました。
古代スポーツの絵巻物などの資料も展示されていました。
古代の儀礼に使われた(であろう)大きな土器に、ふたりの人が組み合っている相撲を模した飾りがついています。
「日本書紀に記録された野見宿禰(のみのすくね)と當麻蹶速(たいまのけはや)の天覧相撲 」を出して、「この相撲の試合を最初に見たと言う天皇は垂仁天皇といい、11代目の天皇です。今の天皇は126代目ですが、10代目の天皇から実在しただろうといわれていますから、11代も実在したと言っていいでしょう。古墳時代土器でわかるように、相撲は垂仁天皇が在位したときよりもっと古くから行われていたと思いますが、文字記録に残されたのは、ここからです」
「武家相撲絵巻」(鎌倉時代)には、武術として対戦する武士の姿が描かれ、見学の武士たちも大騒ぎ。
次は、平安貴族の蹴鞠を紹介。
「平成館」の展示、蹴鞠の装束、蹴鞠用の靴、鞠(秩父宮記念スポーツ資料館所蔵)
蹴鞠が中国唐朝のスポーツから伝来したのに対して、流鏑馬(やぶさめ)は、ルーツはアジア中央高原のモンゴル民族ら遊牧民のの騎馬術が中国に伝わり、日本にも伝わったのだろう、なんていう文化の伝播と伝承について話します。
youtueで、蹴鞠と流鏑馬の動画を見せ、「この重たそうな衣裳着てマリを蹴るなんて、現代のサッカー選手にもむずかしいかも」とチャチャを入れる。
江戸時代の人気スポーツは、なんといっても相撲です。江戸土産として遊女浮世絵、役者絵、そして力士の浮世絵が喜ばれました。
関戸対加治浜
江戸大相撲の大人気「谷風谷風vs小野川」
蹴鞠も流鏑馬も、現代では神事になっていますが、大相撲は神事の一面を一部で保ちながらも、プロスポーツとして野球、サッカーの両人気に次いで、ゴルフ、バスケット、大相撲が観客を集めています。
新横綱照ノ富士の土俵入り、立派でした。9月場所4日目の両国国技館で。
<つづく>