
2021019
ぽかぽか庭アート散歩>」2021アート散歩夏(2)ルネ・ラリック リミックス 時代のインスピレーションをもとめて in 庭園美術館
ガラス工芸が大好きな娘。箱根で吹きガラスの制作体験をしたこともあり、さまざまなガラス製品の展示があると、見逃しません。
娘といっしょに、ルネ・ラリックの仕事を見に出かけました。庭園美術館は、もともとルネ・ラリックやエミールガレのガラスを邸宅の飾りとしていた建物ですから、ガラス工芸展示にふさわしい環境です。北澤美術館、角館の大村美術館などからの出品もありましたが、多くは庭園美術館の所蔵品。館所蔵の作品ほか、ほとんどが撮影可能でした。
会期:2021年6月26日(土)〜9月5日(日)
庭園美術館の口上
19世紀末から20世紀半ばにかけて、ジュエリー作家/ガラス工芸家という肩書を超えて、生涯を通して芸術家としての独自の道を切り拓いたルネ・ラリック(1860-1945)には、尽きることのないインスピレーションがありました。
とりわけフランス、シャンパーニュ地方の小さな村アイに生まれたラリックにとって、幼少期から身近な存在だった「自然」は、その多様なインスピレーションの根源ともいえるでしょう。自然を注意深く観察することによって培われた眼差しは、やがてイギリスでの経験や日本美術からの影響、大戦間期における古代ギリシア・ローマへの回帰やエキゾティックな嗜好、新しい女性たちのイメージなど、20世紀初頭のフランスに起ったさまざまに異なる芸術潮流と結びつきながら磨かれていきました。例えば浮世絵にインスピレーションを得て、パリ郊外の自邸付近で撮影した雪景色を表現したペンダントや、 1909年に他界した妻アリスの面影をシダのなかに刻印した香水瓶。同時代の世界と日常身辺の心躍る事象や個人的な記憶に、鋭い観察眼と想像力によって新しいかたちを与え、「装飾品」として人々の身近なものにしたのです。
希少なジュエリーからより多くの人々のためのガラス作品への転換は、急速に変化する社会のなかで芸術と生活がどのような関係を結ぶことができるのかを示そうとするのでした。生きることとつくること―ルネ・ラリックが、自然を起点としてどのように世界を観照し、装飾という芸術を希求したのかを明らかにします。
「二羽の孔雀(常夜灯)」1920

庭園美術館の1階2階の各室に展示されたルネ・ラリックのガラス器、どれも美しく、娘は「どれもすてきだから、この中のひとつをあげるって言われたら困るな」と言いながら見て回っていました。大丈夫、「ひとつあげる」って言われないから。
「三羽の孔雀(テーブルセンターピース)」1920

壺や食器、アクセサリーなど、実用にも使えるものもたくさんありましたが、私は室内装飾用の飾り物が特に好きでした。ガラスの透明感を生かした置物や飾りパネルのデザインがすばらしい。

鳥のデザインが好き。


庭園美術館の玄関にある間仕切りのガラス。原型があることは聞いたことがあったのですが、一部破損していたため、これまでは門外不出でした。今回はじめて公開されました。
旧朝香宮邸玄関 原型(割れて罅があるけれど、美しい)




さまざまな花瓶もきれいでした。






ルネ・ラリックのガラス器、さまざまなデザインに魅了されました。ガラスに混ぜるものによって、光を通さず陶器のような風合いに出来上がる製品もあるのですが、私はやはりガラスは透明感があり光を通すものが好きです。
娘と「そのうちいつか、箱根の北沢美術館にもいかなくちゃね」と話しながら帰宅しました。
<つづく>