
20211023
ぽかぽか春庭アート散歩>2021アート散歩夏(2)アイヌの装いとハレの日の着物展 in 松濤美術館
2020年、北海道白老町に「ウポポイ」が設立されました。ウポポイとは「皆でいっしょに歌うこと」を意味するアイヌ語だそうです。正式名は「民族共生象徴空間」。施設内に、国立アイヌ民族博物館、国立民族共生公園、慰霊施設があります。
この施設が現政権によって「北海道観光資源」「観光開発」の目玉として238億円という予算を組んで設立されたこと、アイヌの衣裳も踊りも「観光資源」という扱いであり、ほんとうにアイヌの歴史や民族文化に光を当てる目的ではないという点で、批判もあることはわかります。が、なにはともあれ、琉球沖縄の文化に比べて、アイヌ文化を広く知らしめる施設は「国立」のものとして初めてのものである、ということを考えてみて、ウポポイの設立を寿ぎたい。
明治政府以来、アイヌの人々への差別と弾圧、日本語強制などアイヌ文化を貶める政策を歴代政府がやってきたことへの言及、展示はこれからのことと思います。
2021年、渋谷の松濤美術館でウポポイ設立記念のアイヌ衣裳の展示がありました。
東京国立博物館本館の一室が琉球文化とアイヌ文化の展示室になっているので、アイヌの道具や衣装を見てはきましたが、今回は「ハレの衣裳」を中心にまとまったアイヌ衣裳の展示ということで、松濤美術館へ出向きました。ウポポイに行きたいけれど、北海道は遠いから、という娘の希望による観覧です。
会期:2021年6月26日(土)~8月9日 (月)

美術館の口上
2020年に北海道白老町に国立アイヌ民族博物館が開館しました。それを記念し、アイヌ民族の服飾文化を紹介します。
まず、樹皮衣、草皮衣といった着物によって、その素材の多様性を明らかにするとともに、ルウンペ (色裂置文衣)、カパラミㇷ゚(白布切抜文衣)などのさまざまな刺繍で飾られた木綿衣を通じてアイヌの意匠の豊かさに触れます。華やかで独自の文様が施されたアイヌ民族のハレの日の着物をご紹介します。
まず、樹皮衣、草皮衣といった着物によって、その素材の多様性を明らかにするとともに、ルウンペ (色裂置文衣)、カパラミㇷ゚(白布切抜文衣)などのさまざまな刺繍で飾られた木綿衣を通じてアイヌの意匠の豊かさに触れます。華やかで独自の文様が施されたアイヌ民族のハレの日の着物をご紹介します。
第1章では樹皮衣(アットゥシ)、草皮衣といった着物によって、その素材の多様性を明らかにするとともに、ルウンペ(色裂置文衣)、カパラミプ(白布切抜文衣)、チカルカルペ(黒裂置紋木綿衣)などによるさまざまな刺繍で飾られた木綿衣を通じてアイヌの意匠の豊かさに触れます。
続く第2章で紹介されるルウンペは噴火湾沿岸の地域に特徴的なハレの日の着物のひとつで、絹や木綿などの布を切り伏せ、華やかで独自の文様が施されています。その装飾の布は時代を追うにつれ、絹が減り、ウールや様々な木綿の染め布が多く使われるようになり、刺繍糸も絹や樹皮や草皮から木綿への変化がみられます。また、文様を構成する布はバリエーションに富み、貴重な染織資料としてアイヌの衣服の中にみることもできます。
本展がアイヌ民族の文化への関心が高まる契機となるよう、アイヌ民族の服飾文化を51点の作品によって紹介します。
続く第2章で紹介されるルウンペは噴火湾沿岸の地域に特徴的なハレの日の着物のひとつで、絹や木綿などの布を切り伏せ、華やかで独自の文様が施されています。その装飾の布は時代を追うにつれ、絹が減り、ウールや様々な木綿の染め布が多く使われるようになり、刺繍糸も絹や樹皮や草皮から木綿への変化がみられます。また、文様を構成する布はバリエーションに富み、貴重な染織資料としてアイヌの衣服の中にみることもできます。
本展がアイヌ民族の文化への関心が高まる契機となるよう、アイヌ民族の服飾文化を51点の作品によって紹介します。
ほんとうは地方ごとにアイヌ語方言があり、地方ごとにアイヌの衣裳の模様デザインや縫い方が異なる、ということですが、私には地方ごとの違いなどはわからぬまま、その衣裳模様のバリエーションに見入りました。

染め物や刺繍に興味がある娘は、アイヌ模様の縫い取りに眼を見張りました。2階ロビーのビデオで、アイヌ刺繍の名人の仕事が放映されていました。糸作り、縫い取りなど、細かい仕事が続きます。ほんとうに貴重な糸と針の仕事です。今では継承者も出てきたようなので、この大切な文化を絶やさないで、未来へと伝えていってほしいです。

いつか、北海道のウポポイを娘とともに訪問したいです。
<つづく>