春庭Annex カフェらパンセソバージュ~~~~~~~~~春庭の日常茶飯事典

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ぽかぽか春庭「再録・炎帝」

2017-08-05 00:00:01 | エッセイ、コラム
20170805
ぽかぽか春庭今日のいろいろ>再録・夏色に命輝く(3)炎帝

 2004年にUPした「夏色に命輝く」を再録しています。
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ポカポカ春庭のいろいろあらーな
2004/08/05 今日の色いろ=夏色に命輝く(4)炎帝

 夏を表す漢語は、朱夏のほか「炎帝」がある。
 真夏の太陽が、覇王のように東から西へ燃えさかり、帝王として天空を横切っていく感じがする。


炎帝に召し使はれて肥担ぐ(上田五千石)
弟子となるなら炎帝の高弟に(能村登四郎)

 しかし、現代の子どもたちにとって、「エンテイ」は、夏を意味するのではなく、「伝説のポケモン」のひとつ。伝説のエンテイ、炎となって燃えるタテガミをひらめかせて天地をかけめぐる。

炎帝やポケモン図鑑に熱中す(春庭)

 夏休みになると遊びにやってくる孫を、心待ちにしているおじいちゃんおばあちゃんが多い。
 しかし、去年の夏は、孫が夢中になっているポケモンカードの話題に、じいちゃんもばあちゃんもついていけなかった。

 今年こそはリベンジ。ポケモンにも強いじいちゃんとして、孫の尊敬を勝ち取らねば。じいちゃんは、孫が来る前に、もう一度ポケモン図鑑で復習する。何がなにに進化するのかも、ちゃんと覚えた。今年は孫といっしょに楽しむぞ!はりきっているおじいちゃん。
 でもね。この夏の孫は、ポケモンカードを卒業して、ロールプレイングゲームに夢中になっているかも。

 映画『結晶塔の帝王』の伝説のポケモン「エンテイ」は、結晶塔にとじこもるミーの心が生みだした幻想のモンスター。
 エンテイは父も母もそばにいないミーのために幻想の「父」としてふるまい、ひたすら子の願いを実現しようとする。

 ミーによりそい、ミーを外の世界から守るエンテイ。外の世界からやってくるサトシたちは、エンテイにとっては敵。エンテイはサトシのポケモンとも戦う。
 しかし、最後は。自分を「パパ」として愛してくれた子が真に幸福になるよう、現実の世界へと送り出す。安全な結晶の幻想のなかにとじこもるより、厳しく辛い現実であるかも知れない外の世界へと、ミーを向かわせる。

 エンテイには、子の願いに寄り添おうとする「母性」と、子を外へ導き出そうとする「父性」の両方が存在している。
 両親そろわなくても、あるいはミーのように両親ともいなくても、子の成長にとって、自分を見守り励ましてくれる存在は不可欠。その役を果たすのは、夏休みの祖父母でもいいし、近所のおっちゃんでも、バイト先のタコ社長でも。さまざまな出会いが必要。

 子どもが心豊かに育つために、よりそう心と見守る目を、誰かがだれかに分けてあげられる社会でありたい。

 この夏、じいちゃんもばあちゃんもパパもママも、親戚、ご近所のかたも、子どもたちがのびのびと夏の盛りをすごせるよう、生き生きと生きていく力を得ることができるよう、見守っていてくださいね。どこの子も、世界の宝物ですから。


蕗の傘させば炎帝穴より見つ 石田波郷


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20170805の付けたし
 毎年夏に公開されるポケモン映画。2017年は20作目記念版で「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」
 TVアニメ第1回目放映のリメイク版だそうです。
 ま,来年あたりにテレビ放映されたら見ようかな。


<つづく>
 
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ぽかぽか春庭「再録・首夏盛夏」

2017-08-03 00:00:01 | エッセイ、コラム
20170803
ぽかぽか春庭今日のいろいろ>再録・夏色に命輝く(2)首夏・盛夏

 2004年にUPした「夏色に命輝く」を再録しています。
 

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ぽかぽか春庭の「いろいろあらーな」
2004/08/10 今日の色いろ=夏色に命輝く(7)首夏、盛夏

 朱夏のほか、「夏」がつく語は、立夏、初夏、首夏、盛夏、晩夏。少しずつ季節は移ろう。
 夏のはじめのうちは「首夏しゅか」「初夏はつなつ、しょか」

初夏に開く郵便切手ほどの窓(有馬朗人)
見習いの稚き初夏のメス洗ふ(平畑静塔)
インク壷港の首夏を映しおり(井越芳子)

 「インク壷~」の句を、大岡信は「一読してさわやかな初夏の港の光景を詠んでいる句(中略)ただ、インク壷に港の景色が鮮明に映る?」と評している。

 句には、味わう人それぞれの受け止め方がある。私は、インク壷に景色が直接映っているのだとは思わなかった。

 窓辺に机が置かれている。窓からは初夏の風が吹き込み、白いカーテンがゆれる。机の上の小さなガラスの壷には、ブルーブラックのインク。
 カーテンの揺れ具合により、インク壷は夏の光を反射する。ブルーブラックは、たちまち海の色になる。
 夏の港から船が白い帆を揚げて出ていこうとしている、、、、。

 私には、現実の港ではなく、作者の心象風景の夏の港が映し出されているように感じられた。
 夏のはじめの心象風景。


人質の首切り落とす砂漠首夏(春庭)
 砂漠には初夏も盛夏も晩夏も、そんな微妙な夏の移り変わりはないとは思うが、、、、。
 時節柄、砂漠近い地域での惨劇と、首という語が重なって連想されたので、角川春樹「向日葵や信長の首切り落とす」からのコラージュ。

 同じ「首夏」でも、砂漠にくっつけると、乾燥きわまったような酷薄な暑さと渇きがイメージされる。


闊歩する孔雀に天も地も盛夏(福田寥汀)

ペディキュアはハイビスカス色ミュール盛夏 (春庭)

 ミュールの句、片仮名単語を並べて俳句を作る試みのひとつ。キャッチコピーのようになるのがカタカナ俳句だが、けっこう気にいっている。
 伝統もよいけれど、新しい電灯をともすのも好き。ことばの未来、明るかれ。

 立夏から立秋まで、ブルーブラックのインク壷に映る港の色、暑熱が凝ったような赤牛の色、爪に塗られたハイビスカスの色、それぞれの夏色がそれぞれの人の心に染められる。

<つづく> 
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ぽかぽか春庭「再録・夏色」

2017-08-01 00:00:01 | エッセイ、コラム
20170812
ぽかぽか春庭今日のいろいろ>再録・夏色に命輝く(1)夏色

 
 夏休みにつき更新お休み、ということも考えましたが、いつもの手抜き更新で,過去ログを再録いたします。
 2004年8月にUPした「夏色に命輝く」と題した夏の俳句短歌をネタにした随想を再録します。13年前に書かれたものなど覚えている人もいないと思いますが、2004年は「OCNカフェ」ブログの時代でコメント欄もなく、「足跡欄」の一行コメントのみ。足跡コメントは,すぐに消えてしまう仕組みでしたから、「これ,2004年に読んだ覚えがある」としても、あらためてコメントしていただけたらありがたいです。再録の日付は順不同。
2004年8月の「夏色に命輝く」再録を続けます。
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ポカポカ春庭のいろいろあらーな
2004/07/31 今日の色いろ=夏色に命輝く(1)夏色

 記録的な暑さだった7月がおわる。7月中、連日の真夏日。7月20日土用の入りに東京は39.5度の猛暑を記録。また夜になっても30度以下にならない「超熱帯夜」もあった。

 天文学上では夏至から秋分の日までを「夏」というが、季語や暦のうえでは、5月の立夏から8月はじめの立秋までが夏。今は、移り変わりの「土用」にあたる。

 次の季節への移り変わりの時期が土用なので、春夏秋冬それぞれに土用があるのだが、現代では、特に今の時期を「土用」として特別に意識する。体力的にも、農作業でも、一番たいへんな時期だからだろう。
 夏を乗り切る力を得るために、土用丑の日にはうなぎを食べるのが恒例になっている人も多い。私は7月21日丑の日に食べなかったので、8月2日の「二の丑」にでも。

 万葉集編者大伴家持が、痩せた年寄りにあてた歌に、「石麻呂爾我物申夏痩爾吉跡云物曾武奈伎取食』(石麻呂に われ物申す 夏痩せに 吉と云うものぞ うなぎとり召せ)」と書き送ったのをみても、昔からうなぎは夏やせに効く栄養食だったのだろう。

 8月7日に立秋。暦の上では夏もあと1週間。といっても、秋がくる実感はない。まだまだ暑さが続く。
 暑さのなか、さまざまな色が鮮やかに夏らしさを彩る。

 色にまつわる言葉の中で、「夏色」は、まだ手持ちに辞書にものっていないし、もちろん私が30年も使っている古い歳時記(1950年初版1973改版の角川)には入っていない。新しい感覚で季語を採用している「東京ヘプバーン」あたりでは、季語になっているのかもしれないが。

 Jポップ、歌謡曲の世界では、ゆず「夏色(北川悠仁 作詩)」や、チューリップ「夏色のおもいで(松本隆 作詩)」などがあって、若い人のあいだでは、あるイメージがうかぶことばになっている。

 「夏色の思い出」の中では、夏色は「淡い青」が溶けたような瞳の中の海の色。
 ♪ 君の眼を見ていると/海を思い出すんだ/淡い青が溶けて/何故か悲しくなるんだ、、、、♪

 ゆずの「夏色」では、海も空も染める大きな夕焼けの色だったり、線香花火の色だったり。
 ♪ 大きな五時半の夕やけ/子供の頃と同じように/海も空も雲も僕等でさえも/染めてゆくから、、、、♪
 ♪ この細い細いうら道を抜けて/誰もいない大きな夜の海見ながら/線香花火に二人で ゆっくりゆっくり火をつける、、、、、♪

 「夏色」ときいて思い浮かべる色はどんな色だろうか。海の色、空の色、太陽の色、麦わら帽子の色、熟したトマトの色、ヒマワリ畑の色、線香花火の色、、、、、。それぞれの夏色。

夏色に命輝く思い出の麦わら帽子トマト向日葵(春庭)


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20170801の付け足し
 昨日もお暑うござんした。予報は33度。曇り空のうちはまだしも、日が出ている間はほんとうに酷暑に感じます。
 私は映画館へと避暑に逃げ込む。途中で一枚羽織ったほど、ギンギンに冷えてる映画館。明日は図書館で避暑。「避暑地の出来事」なにもないのでつまらぬが。

<つづく>
コメント (2)
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