20170803
ぽかぽか春庭今日のいろいろ>再録・夏色に命輝く(2)首夏・盛夏
2004年にUPした「夏色に命輝く」を再録しています。
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ぽかぽか春庭の「いろいろあらーな」
2004/08/10 今日の色いろ=夏色に命輝く(7)首夏、盛夏
朱夏のほか、「夏」がつく語は、立夏、初夏、首夏、盛夏、晩夏。少しずつ季節は移ろう。
夏のはじめのうちは「首夏しゅか」「初夏はつなつ、しょか」
初夏に開く郵便切手ほどの窓(有馬朗人)
見習いの稚き初夏のメス洗ふ(平畑静塔)
インク壷港の首夏を映しおり(井越芳子)
「インク壷~」の句を、大岡信は「一読してさわやかな初夏の港の光景を詠んでいる句(中略)ただ、インク壷に港の景色が鮮明に映る?」と評している。
句には、味わう人それぞれの受け止め方がある。私は、インク壷に景色が直接映っているのだとは思わなかった。
窓辺に机が置かれている。窓からは初夏の風が吹き込み、白いカーテンがゆれる。机の上の小さなガラスの壷には、ブルーブラックのインク。
カーテンの揺れ具合により、インク壷は夏の光を反射する。ブルーブラックは、たちまち海の色になる。
夏の港から船が白い帆を揚げて出ていこうとしている、、、、。
私には、現実の港ではなく、作者の心象風景の夏の港が映し出されているように感じられた。
夏のはじめの心象風景。
人質の首切り落とす砂漠首夏(春庭)
砂漠には初夏も盛夏も晩夏も、そんな微妙な夏の移り変わりはないとは思うが、、、、。
時節柄、砂漠近い地域での惨劇と、首という語が重なって連想されたので、角川春樹「向日葵や信長の首切り落とす」からのコラージュ。
同じ「首夏」でも、砂漠にくっつけると、乾燥きわまったような酷薄な暑さと渇きがイメージされる。
闊歩する孔雀に天も地も盛夏(福田寥汀)
ペディキュアはハイビスカス色ミュール盛夏 (春庭)
ミュールの句、片仮名単語を並べて俳句を作る試みのひとつ。キャッチコピーのようになるのがカタカナ俳句だが、けっこう気にいっている。
伝統もよいけれど、新しい電灯をともすのも好き。ことばの未来、明るかれ。
立夏から立秋まで、ブルーブラックのインク壷に映る港の色、暑熱が凝ったような赤牛の色、爪に塗られたハイビスカスの色、それぞれの夏色がそれぞれの人の心に染められる。
<つづく>
ぽかぽか春庭今日のいろいろ>再録・夏色に命輝く(2)首夏・盛夏
2004年にUPした「夏色に命輝く」を再録しています。
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ぽかぽか春庭の「いろいろあらーな」
2004/08/10 今日の色いろ=夏色に命輝く(7)首夏、盛夏
朱夏のほか、「夏」がつく語は、立夏、初夏、首夏、盛夏、晩夏。少しずつ季節は移ろう。
夏のはじめのうちは「首夏しゅか」「初夏はつなつ、しょか」
初夏に開く郵便切手ほどの窓(有馬朗人)
見習いの稚き初夏のメス洗ふ(平畑静塔)
インク壷港の首夏を映しおり(井越芳子)
「インク壷~」の句を、大岡信は「一読してさわやかな初夏の港の光景を詠んでいる句(中略)ただ、インク壷に港の景色が鮮明に映る?」と評している。
句には、味わう人それぞれの受け止め方がある。私は、インク壷に景色が直接映っているのだとは思わなかった。
窓辺に机が置かれている。窓からは初夏の風が吹き込み、白いカーテンがゆれる。机の上の小さなガラスの壷には、ブルーブラックのインク。
カーテンの揺れ具合により、インク壷は夏の光を反射する。ブルーブラックは、たちまち海の色になる。
夏の港から船が白い帆を揚げて出ていこうとしている、、、、。
私には、現実の港ではなく、作者の心象風景の夏の港が映し出されているように感じられた。
夏のはじめの心象風景。
人質の首切り落とす砂漠首夏(春庭)
砂漠には初夏も盛夏も晩夏も、そんな微妙な夏の移り変わりはないとは思うが、、、、。
時節柄、砂漠近い地域での惨劇と、首という語が重なって連想されたので、角川春樹「向日葵や信長の首切り落とす」からのコラージュ。
同じ「首夏」でも、砂漠にくっつけると、乾燥きわまったような酷薄な暑さと渇きがイメージされる。
闊歩する孔雀に天も地も盛夏(福田寥汀)
ペディキュアはハイビスカス色ミュール盛夏 (春庭)
ミュールの句、片仮名単語を並べて俳句を作る試みのひとつ。キャッチコピーのようになるのがカタカナ俳句だが、けっこう気にいっている。
伝統もよいけれど、新しい電灯をともすのも好き。ことばの未来、明るかれ。
立夏から立秋まで、ブルーブラックのインク壷に映る港の色、暑熱が凝ったような赤牛の色、爪に塗られたハイビスカスの色、それぞれの夏色がそれぞれの人の心に染められる。
<つづく>