晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

上林の盃状穴(47) 8/25

2015-08-25 | 盃状穴

2015.8.25(火)晴れ 上林の盃状穴(46)は2015.8.20  「盃状穴考」を再読する(3)

 記事の投稿が遅れているのは、幾つかの記事を取り消したからである。「盃状穴考」を再読して、盃状穴研究の問題点、弱点を本書の中から指摘しようということで書き始めたのだが、言わんとしていることをうまく表現できなかったり、記事を書きながら何度も読み返していると本書の内容が当を得ているように思えるという事態になったりして先に進まないのだ。細かいことを省いてわかりやすい事例を挙げて問題を提起したいと思う。
 それは盃状穴の作り方、穿穴法に関する記述である。本の内容に沿って記述のあるものを提示してみよう。
(国分直一氏)「穴の底には丁寧な調整磨痕が留められている場合が多い。」P18

(三浦孝一氏)「穿穴(せんけつ)の方法は、その形状から推考する以外に無く、石棒状の把握に手頃な石、または先端を丸く調整した鉄棒等の廻転による加工であろうことを窺うことができる。」(穿穴法について、P68)「例えば、加工の行い易さから金属のノミの如きものを廻転させた場合を考慮してみても、摺鉢・盃状の穴の形成は不可能であろう。穿穴加工に際して、水があるから穴があけ易かったという聴取例もあるが、手洗石への加工の場合のみで常夜灯の基壇石や石段等の場合は水との関連は無さそうである。」P69
「大門周辺の敷石に穿たれており、観光ガイドの説明によると「雨だれの跡」とのことであるが、納得し兼ねる思いを禁じ得ない。勿論水の持つ力の偉大さや、永年の特異な流水作用による甌穴(おうけつ)なるものの存在も承知しているが、如何に屋根庇が高く何百年間の水滴といえども毎日休みなく雨がふっていた訳ででもないし、第一同じ場所を選んで雨だれなるものが落点したためしはない。」P83

(松岡睦彦氏)(神田山石棺の事例報告に際して)「盃状穴は、どのような工具で刻まれたかはわからないが、穴の状態から見て、一端が紡錘状に尖った形の硬い岩質の石棒を用いたのではないかと考えられる。」P129
「最後に、盃状穴を刻む方法についてであるが、現時点ではその方法は明白でない。しかし、現在までのところ、二一例の盃状穴板石について調査し、盃状穴の形状を観察したかぎりでは、板石の石質がすべて結晶片岩であり、緑色片岩もしくは黒色片岩と呼ばれる石材に盃状穴が刻まれていることから、たとえば石英質の硬い岩石の一方の端部が紡錘状に尖った石棒により、突きもしくは回転によって刻まれたものと考えられる。」P132

(黄龍渾ホアンヨンオン教授)(韓半島先史時代の「性穴」考)「この形式の性穴は、その製作方法において、とくに区別できるちがった方式がしようされているのではなく、石または円棒などを使ってこすりながら、穴を彫っているだけである。深さが浅い性穴は、大部分が小石でこすって作ったものがほとんどであるが、深い性穴の場合は、ふつう円棒などの円筒形の道具を使って、砂などを使い、円くこすりながら円形の竪穴をつくっている。このような事実は、性穴の内部自体をこまかく調べてみると、性穴の中心から直角に連結できる内径の表面が、同一の深さで回転錬磨されていることからもわかる。」P161


 盃状穴の民俗調査では盃状穴の無い神社等をも分布を調べるべきである。写真は左から三和町岼常楽寺跡、綾部市下原町齋神社、東山町若宮荒神宮(2015.8.4)   つづく
 
【今日のじょん】そろそろシーズンかなと思い先日ドッグランどを清掃したらいきなりモモ姉さんが来た。17才に近い高齢なのにじょんより元気だ。(8月23日)

 

 

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