『東京の坂、日本の坂』その228。前回に引き続き王子駅からの坂道巡りの2回目。妙見寺坂を登り、明治通りを渡り、左へ、すぐの一里塚交差点に『ゲーテの小径』という看板がある。
これを右に曲がり、まっすぐ歩くと右側に東京ゲーテ記念館が現れた。この記念館は故、粉川忠氏により1949年に渋谷区神泉町に設立された私立資料館でゲーテの資料18万点を所蔵。1988年にこの地に移転した。
立派な堂々とした建物だが、館内の見学はコロナを機に2020年で終了していた。その向かい側には北区が作った小さな公園、ゲーテパークがあり、ゲーテの年譜や主な作品の紹介などがなされていた。
ゲーテの小径をそのまま行き、動物病院の手前を左に曲がる。突き当たりを右に曲がると幼稚園の園庭に沿って下り坂があるが、これが『熊野坂』である。
細い道は鎌倉道と言われた古道で坂上の不動院にかつてあった熊野神社に由来する。
坂を降りて左に曲がる。広い道に出て右に少し歩き、三角地が出てくるとこれを左に行く。少し開けて前に防災公園が出てきたらY字路を左に行くと緩やかな上り坂となるが、この坂道が『道音坂』(どういんさか)である。
旧西ヶ原・滝野川村の境にあたる道で明治時代の村誌によると『坂名は道音塚にあるに由る』とあり、道音塚が付近にあったためこの名前が付いたと思われる。
坂道を登り、北に向かうと都営荒川線の踏切に向かう細い道が出てくる。住宅街を通るゆるく細い坂道だが、これが『牛蒡坂』(ごぼうさか)である。
このあたりはゴボウやニンジンの栽培が盛んであったため、滝野川牛蒡から付けられたと思われる。(以下、次回)