『日本そばにこだわる』13杯目。今回は『変わり蕎麦』について触れてみたい。蕎麦では単なるかけそばやもりそばに天ぷらなどの種を付けることが多いが、蕎麦を打つ際に色々なものを加えて味や色、或いは両方を変えた蕎麦を『変わり蕎麦』と呼ぶ。
変わり蕎麦の歴史は古く、「そばの散歩道」という先人のブログによると最も古いのが1750年の料理山海郷にある『玉子切り蕎麦』のようで蕎麦粉1升に対し、玉子10個を加え、普通通りに打つと書かれている。ただ、単なる蕎麦というより、料理に使う麺の様である。1787年の「七十五日」というグルメ本には『紅切り蕎麦』、1800年の万宝料理秘密箱には『海老切り蕎麦』が載っている。文化文政の頃には柚子そば、茶そば、よもぎそばなども考案されたらしい。
今回は変わり蕎麦の代表格である『茶そば』を食べに出かけた。小田急線豪徳寺駅で降り、玉電山下駅と反対に歩き始める。商店街を抜け、赤堤通りを渡り、12分歩いてようやくお店に到着。この店がなければ決して通らないような住宅街の真ん中にある。
本当に住宅街の中にぽつんとあるが、店の造りも普通の家のようである。立派な松の横を通り、重いガラス戸を開けて店に。12時半だが、入りは半分程度。元々席がゆったりと配置されているのもいい。メニューを見ると蕎麦は皆茶そばを使用、麺の香りを楽しむために天ざる(税別1350円)をお願いする。
庭園を見て、待つことしばし、見るも美しい緑の茶そばと天ぷらが登場した。天ぷらはピーマン、海老が各1つずつ、揚げたてである。
まずは蕎麦から一口、喉越しがよく、微かにお茶の香りもする。麺はやや硬めでスルスルと入る。機械打ちなのか、長さが長くてつるっと飲み込めず、噛み切ることになるが、ツユも甘めで美味しいと感じた。因みにもりとざるの違いは海苔のあるなしだけと店員さんは説明してくれた。
天ぷらは揚げたてでまずはピーマンから、甘味もあり、旨い。ただ、やや残念だったのは海老はプリプリ感が全くなく、上手く揚がってはいるものの、いまひとつであった。
蕎麦が少ないかと思ったが、量は多く普通盛りで私は十分満足、全体的には美味しかった。次に頼むならばかき揚げか野菜天ぷらにしたいところである。
店の方のサービスや庭園の美しさなど雰囲気も良いお店でお隣の中年のご婦人はもう食べおわっているのにずっーとおしゃべりをされていた。ご馳走さまでした。
いな垣
世田谷区松原4ー20ー1
0333284914
世田谷区松原4ー20ー1
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