月に一度の事務だよりシリーズ。今回は源泉徴収票をなくすな、という意味合いで……
今月の給料袋には『平成19年分 給与所得の源泉徴収票』なるものが入っています。いったいこれは何だ?あらためて考えてみましょう。
※民間会社では12月の給料の支給時に配付されることが多い。でもわたしたちの場合は、年末に差額が支給されるパターンが通常なので1月になっているんだと思います。去年も差額はなかったけど(T_T)
まず、誰が誰のためにつくっている書類なのかという基本的な疑問が。ヒントは、源泉徴収票の左下に小さく【受給者交付用】とあることです。大事な書類のくせにペナペナの紙で作成されていることでもわかるように、実はこれは複写式で、もう一枚は税務署に提出することになっています(もちろん県も控えをとりますし、市町村にも渡されるので4部複写で作成される)。
作成者はいちばん下に記載されている【支払者】。わたしたちの場合は山形市松波二丁目八番一号にある県庁のトップ、齋藤弘知事が作成する建前。
つまり、一枚は齋藤知事が税務署に向かって
「うちの職員にはこれだけの給料を支払い、控除がこんな具合だったので税金はこうなりました。いかがなもんでしょう。」
という説明資料であり、交付された一枚はわたしたちに向かって
「君に対して県が去年支払った給料は記載のとおり。税金はこれくらいさっ引いた。文句があるなら確定申告しろ。」
という証明書なわけです。
さて、それでは数字がどんな意味をもっているか見ていきましょう。
【支払金額】
もしもあなたが几帳面な人で、1月から12月までのすべての給与明細を持っていて、右上の「①総支給額」を合計すると、この金額に近くなります(通勤手当に非課税の部分があるのでイコールにはならない)。要するに、自営業者でいえば売り上げにあたるのがこの「支払金額」です。
【給与所得控除後の金額】 “売り上げ”にそのまま課税されたのではたまらない。給与所得者にだって必要経費はあるはずだ、ということで(いろいろと問題はあるにしろ)まあサラリーマンの必要経費はこれくらいだろうという額をおおざっぱに税務署が定め、その額を差し引いた額がこの欄に記載されているわけ。つまり、自営業者で言うところの利益にあたるのが「給与所得控除後の金額」です。
【所得控除の額の合計額】
さて、利益が算定されたところで、今度は個々人の都合を考えます。その下の段に扶養親族の数や社会保険料、そして年末調整のときに申告してもらった生命保険料の控除額(掛金の額ではなく)が載っています。この都合の部分は利益ではないと見立てて(=控除して)もらうわけ。
※それぞれの控除を積み上げるとこの欄の額に……ならないんですよ。380000円足りないはず。基礎控除として誰でも受けられる控除が省かれているのです。
【源泉徴収税額】
で、“利益”から“都合”を引いた額に対して税金がかかり、その結果がこれ。あなたが一年間に支払った所得税はこの額です。源泉徴収という、要するに天引きされるために意識されないことが日本の税制の問題点。じっくりながめてください。払うものは払った。あとは使い途を監視することです。
この源泉徴収票は、給与所得者としてのあなたをほぼ完璧にあらわす書類。金融機関からお金を借りるときに必ず提出を求められるのはそのせい。確定申告時に(退職すれば嫌でもやらなければなりません)使用するのはもちろんです。だから一年間は絶対になくすな!って毎年言ってるけど毎年ひとりは絶対になくすんだよなー。
※そうは言ってもどうせ無くしちゃうだろうと控えはとってあるし、異動先にも送っている。こんな過剰なサービスをやっているのって、実は小中学校だけ。