事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

王様のレストラン 1皿目(脚本三谷幸喜‘95フジ)

2008-01-31 | テレビ番組

Kings01 人生で起こることは、すべて、皿の上でも起こる。ミッシェル・サラゲッタ


原田禄郎(筒井道隆)は父親の死で突然、フレンチレストラン「ベル・エキップ」のオーナーになった。そこは腹違いの兄・水原範朝(西村雅彦)や、きまったメニューしかできないシェフ、磯野しずか(山口智子)、範朝の愛人三条政子(鈴木京香)たちがただなんとなく働いているだけの“最低”の店だった。 禄郎は傾きかけたレストラン再建のために、かつて父の元で働いていた伝説のギャルソン千石武(松本幸四郎)を呼びよせた。千石は禄郎の熱意に負け、レストラン再建のため、店のスタッフの教育から始める。果たしてベル・エキップは一流の店になれるのか?
95年4月19日~7月5日放送。

このドラマがいかに良くできていたかは、“アンチ三谷幸喜”な人間の多くも、これだけは認めざるをえない、としているあたりでわかる。

三谷幸喜らしさ……日本の演劇界が常に至上のものとしてきた【前衛】を拒否し、ウェルメイドなコメディに執着するその根性、とでもいうか。例えば上に載せたオープニングの箴言(これは第1回目のもの。もちろんミッシェル某なんて人物は存在しない。毎回変わるんだがこれがまた笑える)、確かに気は利いているけれど、実はほとんど何も語ってはいない。でも、客がクスリとでも笑ってくれればそれで結構という潔さは一種の職人が志向するものだし、「職人らしさ」はなぜか日本演劇界では否定され続けていたのだ。ま、このへんは“新劇”なるものの一種の臭みが象徴しているんだろう。

でも、大衆(新劇くせー)が満足する喜劇を、三谷が常に創りだしてきたかはちょっと疑問。なにしろ三谷が書いたテレビドラマで「高視聴率」と胸を張って言えるのは「古畑任三郎」だけなのだ。
以下次号。

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中年のためのロック講座

2008-01-31 | 音楽

Mr_children まず言っておく。ロックは生まれ落ちた時からセックスドラッグと共にあったし、そうあるべきだ。根は、はっきりと不良の音楽なのである。それが人生の応援歌的に“上を向いて”“涙をこらえて”“前に進んで”なーんてポジティブなものにいつの間にか成り果てている。はしりは渡辺美里の「My Revolution」あたりだろうか。ピークはKANかな。♪か・な・ら・ず・最後に愛は勝つぅ♪わけないだろ。

……と、突っぱってみたところで疲れた中年になるとそれなりに癒し(ホントに嫌なフレーズざんす)は欲しくなる。特に、神経がささくれ立っている近頃は、アーティストが歌うその“言葉”に敏感になり、なんか、すがっちゃったり(笑)しているのである。

 たとえばミスチルの「くるみ」。久方ぶりの「Tomorrow Never Knows」パターンの(構成はおどろくほどよく似ている)曲だが、こんな歌詞なのだ。

良かった事だけ思い出して やけに年老いた気持ちになる
とはいえ暮らしの中で 今 動き出そうとしている
歯車のひとつにならなくてはなぁ 
希望の数だけ失望は増える
それでも明日に胸は震える 「どんな事が起こるんだろう?」
想像してみるんだよ

どこかで掛け違えてきて 気が付けば一つ余ったボタン
同じようにして誰かが 持て余したボタンホールに
出会う事で意味が出来たならいい
出会いの数だけ別れは増える それでも希望に胸は震える
十字路に出くわすたび 迷いもするだろうけど

 やるもんですなあ。小脳梗塞だかでひと皮むけたかというような安易な解読はしたくないけれど、こういう詩は桜井の旦那はほんとうにうまい。いくらわたしが中年でも、ボタンとボタンホールの関係をわざわざエッチな意味にとったりはいたしませんて。ちなみにわたしがミスチルのなかで一番好きなのは、「ロードムービー」っていう、別になんてことない曲なんですが。

もうひとつ。鬼束ちひろの「私とワルツを」

不思議な炎に 焼かれているのなら
悲鳴(こえ)を上げて 名前を呼んで
一度だけでも それが最後でも
誰にも傷が付かないようにと
ひとりでなんて踊らないで
そして私とワルツを
どうか私とワルツを

……そこまでリスナーを癒さなくても(笑)。んもうサービス満点である。山形帰りにこの曲をリピートで聴きながら、ほえー!こりゃまさしく中年殺しだとしみじみ。

 ひょっとしたら若い連中にはこのテのサービス精神はうざったいものに感じられるのかもしれない。でも、淋しき中年のことも考えて、少しは我慢してほしいっす。くだらねー歌詞の曲(特に名は秘すがパクリ名人の浜○あゆみとか)や、とんがったロックなら、今でもくさるほどあるじゃないか。それにしたって江崎とし子とか柴田淳とか、変に老成した曲ばっかり聴いている中年って、やっぱり生き物として弱ってんのかなあ。

ま、そんなことを言いながらも、車のなかではMDにたたき込んだ岡村靖幸やYMOのベストを聴きまくっているのですが。ん?こりゃ単に懐メロ親父になってるってだけか。

Chihiroonitsuka

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燃費

2008-01-31 | まち歩き

Golf さて、読者の中に外車に意欲むんむんの人がいるのでゴルフ特集。
突然エンストすることで泣く泣く手放したゴルフⅢにつづいてわたしが購入したのはゴルフⅣ。ひねりねーなー、と揶揄もされたのだが……

 わたしのゴルフには、ちょっと余計な機能がついている。瞬間燃費表示と、平均燃費表示だ。瞬間の方は、名前のとおりそのときそのときの燃費を計算して表示する。平均の方は、スタートしてから(2時間以内のリスタートなら通算)の平均を30㍍ごとに再計算し、容赦なく表示する機能。

 これは、ゲームフリークであるわたしには悪魔の装置だ。毎朝【通勤で燃費10㎞/㍑を超えられるか】ゲームをやっているようなもの。

 実はこのゲームでつくづく思い知らされるのが、ガソリンは走行時にくっているわけではなく、信号待ちなどからの加速時にその大半を消費していること。信号が青に変わり(近ごろ設置され始めたLED信号って見やすい)、よっこらせっとスタート(ゴルフⅢよりも格段に加速はよくなっているが)した時点ではおよそリッター2~3㎞。60㌔走行時にはだいたい18㎞/㍑ぐらい。減速時にアクセルをゆるめると、80㎞/㍑なんてとんでもない数字が出てきたりする。

 半年以上乗ってきて、このクルマの燃費は平均10㌔ってところだろうか。山形との往復は平気で15㌔ぐらいまでのびるが、市街地の学校に通っている以上、まあこれは上出来な方だろう。

 このクルマを買って笑えたのはやっぱり代行のお兄ちゃんたちの反響だ。
「おー、やっと買たがぁ。今度何買うあんでろって会社でしゃべったりしったんやー」
「やっぱりクルマは止まんねなが一番だやのぉ」
まったくでございます。

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THE LAST SAMURAI その3

2008-01-31 | 洋画

Sanada またしても前号繰越

 この映画の時代背景は、士族の反乱が相次いだ明治初頭。渡辺謙演ずる勝元は、維新の原動力となりながらも廃刀令をはじめとした新政府の方針に異を唱え、ために反乱に追い込まれるサムライ……どう考えてもこれは西郷隆盛。反乱は西南戦争。では敵役の近代化擁護論者の大村は誰かと考えれば、そりゃ大久保利通だろう。実際には勝元は「西郷+山岡鉄舟」、大村は「大久保+岩倉具視+木戸孝允(桂小五郎ですな)+岩崎弥太郎(三菱の創始者)」がもとになっているらしい。ついでに言えば明治天皇役の中村七之助は、どう見ても昭和天皇に様子がそっくりである。

 言ってしまえばこのムチャクチャな設定を、しかし何とかまとめたのは二人の日本人だと思う。一人は大村を演じた原田眞人。映画監督として、大好きな「バウンスKoGALS」や「金融腐食列島【呪縛】」などで日本映画らしくないタッチを見せてくれた彼は、前にも告白したように、わたしが誰よりも信用する映画評論家でもあった。「いったいどうやったらこんなに面白く書けるんだ」とまで言われた男である。その彼が、わざわざヘタくそに英語をしゃべり、初めての演技を無難にこなした以上に、ハリウッドにキチンと真田広之(今回も健闘!)などといっしょにもの申してくれたらしい。司馬遼太郎を映画化したいと考えている原田だから、今回のキャスティングはうれしかったに違いない。

Koyuki  そしてもう一人。日本側のキャスティングにあたった奈良橋陽子(ゴダイゴの「ガンダーラ」とか作詞した人ね)。どんなメディアにも出てこないので彼女が今回どんな役割だったか判然としないけれど、斬られ役一筋40数年の福本清三をいちばん泣ける役(たった一言セリフあり。これがまた泣かせる)に押し込むなど、やるもんだ。子役も自然な演技だし(これも驚異)、誰よりもヒロインに小雪を選んでくれただけであたしゃ十分だ。わざわざ気を使わせちゃったなあ(笑)。明治天皇の大口上でドラマをしめくくったり、田原坂をニュージーランドで撮影するという強引さも、だからわたしは許すのである。必見の映画。

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