事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

呪怨2

2008-01-25 | 邦画

Juon201 今までに観たホラー映画で「あーこりゃこえぇっ!」と声を出しそうになったのはわずか2本。

 1本目は“怖くないホラー”で有名な、大林宣彦のデビュー作でもある「HOUSE」(’77 東宝……意外な人のヌードが拝めますよ)。池上希実子や大場久美子、そして今思えば松原愛なんかが出ていた少女趣味映画である。で、このなかに何の必然性もなく画面の奥の方でガイコツがカタカタと歩いていくシーンがあり、わけもなくゾワッときたのだった。

 もう1本はかのダリオ・アルジェンドの「サスペリアPART2」。実はPART1よりも先に作られていて「決してひとりでは観ないでください」は本国イタリアではこの作品のためのコピーだったらしい。問題はこの映画のラスト。鏡と絵画を使った一瞬の引っかけがあり、気づいた瞬間にどひーとのけぞった。

 共通点を考えると、画面の中央ではなく、片隅に一瞬チラッと映る何かにわたしは反応するらしい。

この「呪怨2」、実はそんな手口が満載であり、満載でありすぎるところが問題だった。怖がらせることにかけて監督の清水崇が手練れであることに疑いはないが、それにしたってもう少しうまくドラマを構築できなかったのか。ホラー映画の特徴は、

1.カメラが主観(登場人物の目)と客観(神の目)の間を自由に行き来することで、観客を登場人物に同化させやすいこと。
2.映画を観ること自体が暗闇での体験だから、恐怖との親和性が初手から高いこと。

Da01 ……こんなアドバンテージがあるわけだから、多少予算が少なくても一応の出来にはなりやすいわけ。他のジャンルより安くあがる傾向があるために、ホラーの製作はやむことはない。だから、だ。なおさらお願いしたいのは、せめて絶叫が似合う、絶世の美女ぐらいは用意してもらわなければ。酒井法子と新山千春という、華のなさここにきわまれりという女優陣で、いったい何を描こうというのだ。最後の“あれ”の出産シーンにしても、のりピーに感情移入できないものだから「おー。あんなのが出てきたってことはのりピーのあそこって」と徹底的にオヤジなことを考えて一人笑っていました。「やだー」とか「こわーい」とかつぶやいていた周りの女子高生の純粋さを少しは見習わなくちゃ。反省反省。

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要塞~宇治小学校事件

2008-01-25 | 受験・学校

Ujisho02 池田小事件につづき、宇治小学校の暴漢侵入事件をとりあげよう。事件発生は2003年12月18日のことだった……

宇治小 安全管理が不備

 京都府宇治市立宇治小で18日、1年の男子児童二人が包丁で切られ、負傷した事件で、傷害の現行犯で逮捕された同小近くに住む無職の男(45)は宇治署の調べに「東側の門から入った。包丁は自宅から持ってきた」と供述していることが20日、分かった。宇治署は同日、殺人未遂と建造物侵入、銃刀法違反容疑で男を送検した。宇治小には正門と東西に通用門があり、事件当時、三つの門はすべて開いていた。また東門だけ防犯カメラが設置されていない。同小は警報装置も作動させていなかったことから、安全管理の不備を指摘されている。
 調べでは、男は18日午後0時半ごろ、東門から宇治小に侵入。校舎2階の1年1組の教室で、西池潤一郎君(7)と中塚珠月君(7)に切り付け、頭に10日間のケガを負わせた疑い。
 東門には金網の扉があるが、男は調べに「ちょっと開いていた」と話している。凶器は刃渡り16センチの菜切り包丁(刃が広くて薄い先のとがっていない包丁)という。宇治署は児童の頭に切り付けている上、男が「殺すつもりでやった」と供述していることから、殺意はあったとみて容疑を切り替えた。
2003年12月21日付スポーツニッポン

マスコミの非難はかくのごとく、宇治小学校が警報装置を稼働させていなかったり、東門が“少し”開いていたことに集中している。スポニチはまだ穏やかな方だ。

この問題については読者からこんな意見も。

Mail01b 報道の論調や行政の姿勢が、学校内部の安全管理に終始しているのは的外れとしか思えない。学社連携とか地域と一体に云々、子育てのことを論議しているのに、門の開放やカメラのチェックだけがなぜ声高に指摘されるのか。記者会見で「工事中で」「授業参観が」などと言い訳しているのか。情けない。情報や交流がないから自信を持って「安全だと思ってました」と言えないのではないか。素直に「出来ませんでした」「喉元すぎて忘れてました」と言ってしまった方がすっきりする。乱暴ですが。

Mail01j 職場でも話題になっていました。なんだかおかしいですよね、池田小学校などの教訓が生かされていないなんて言われて……。学校職員の意識が薄いとも言っていたような。最近、不審者が入った時にどう対応するか、などとシミュレーションまでやりました。学校ではそれなりに努力はしていますよね。学校だけの問題ではないのに、学校だけが悪いような報道は納得できません。誰か抗議してくれないかな、などと思っていました。

わたしもそう思う。小さなミス(あえて、そう言い切る)をあげつらうより先に、まずマスコミの考える「学校のあるべき姿」とはいったいどんなものなのだ。登校時刻がすぎれば門扉はすべて閉じられ、監視カメラでまわりに常に気を払い(誰が監視する?)、“侵入者”があればいきなり警報装置が鳴りだし、職員は総がかりで囲い込み、あるいは児童生徒を避難させる……冷静に考えれば、およそ現実的ではないことがすぐにわかろうというものだ。コスト面の問題以前に「開かれた学校」というお題目はどこへ消えたのだろう。わかっている識者はそのことをキチンと指摘し、どこで折り合いをつけるかの難しさに言及してくれているようだが。

Ujisho01 それなのに、大方は“誰かを悪者に仕立て上げ、血祭りにあげなければならない”ワイドショー的報道に終始し、学校を指弾することで視聴者の心の安定を図ろうとしている。このマスコミの姿勢は、20年間に20数回精神科に入退院をくり返した容疑者を、どう処遇していいかわからないフラストレーションのはけ口が、単に学校に向かっているだけだろう。わたしも乱暴だが。

池田小を特集したときにもふれたけれど「本気で児童を殺そうとする人間が現れたとき、学校には子どもを完全に守る術など、どれだけ学校を要塞化したところでありはしない。あるわけがない」この根本は、学校という狭隘な世界以外にいる通称“世間”にも理解してもらわなければ。われわれも努力はする。しかし宇治小に好意的すぎるようだが、彼らの“怠慢”をそしることだけでは、何も解決などするものか。

コメント (2)
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