呪怨2
今までに観たホラー映画で「あーこりゃこえぇっ!」と声を出しそうになったのはわずか2本。
1本目は“怖くないホラー”で有名な、大林宣彦のデビュー作でもある「HOUSE」(’77 東宝……意外な人のヌードが拝めますよ)。池上希実子や大場久美子、そして今思えば松原愛なんかが出ていた少女趣味映画である。で、このなかに何の必然性もなく画面の奥の方でガイコツがカタカタと歩いていくシーンがあり、わけもなくゾワッときたのだった。
もう1本はかのダリオ・アルジェンドの「サスペリアPART2」。実はPART1よりも先に作られていて「決してひとりでは観ないでください」は本国イタリアではこの作品のためのコピーだったらしい。問題はこの映画のラスト。鏡と絵画を使った一瞬の引っかけがあり、気づいた瞬間にどひーとのけぞった。
共通点を考えると、画面の中央ではなく、片隅に一瞬チラッと映る何かにわたしは反応するらしい。
この「呪怨2」、実はそんな手口が満載であり、満載でありすぎるところが問題だった。怖がらせることにかけて監督の清水崇が手練れであることに疑いはないが、それにしたってもう少しうまくドラマを構築できなかったのか。ホラー映画の特徴は、
1.カメラが主観(登場人物の目)と客観(神の目)の間を自由に行き来することで、観客を登場人物に同化させやすいこと。
2.映画を観ること自体が暗闇での体験だから、恐怖との親和性が初手から高いこと。
……こんなアドバンテージがあるわけだから、多少予算が少なくても一応の出来にはなりやすいわけ。他のジャンルより安くあがる傾向があるために、ホラーの製作はやむことはない。だから、だ。なおさらお願いしたいのは、せめて絶叫が似合う、絶世の美女ぐらいは用意してもらわなければ。酒井法子と新山千春という、華のなさここにきわまれりという女優陣で、いったい何を描こうというのだ。最後の“あれ”の出産シーンにしても、のりピーに感情移入できないものだから「おー。あんなのが出てきたってことはのりピーのあそこって」と徹底的にオヤジなことを考えて一人笑っていました。「やだー」とか「こわーい」とかつぶやいていた周りの女子高生の純粋さを少しは見習わなくちゃ。反省反省。