製作年 : 2002年製作国 : ブラジル
監督 : フェルナンド・メイレレス
1960年代、ブラジルの都市リオ・デ・ジャネイロ。「シティ・オブ・ゴッド(神の街)」と」呼ばれる貧民街に、3人組のギャングがいた。ギャング団のひとりを兄に持つブスカペは、写真家を夢見る少年。ギャング団に憧れる同い年のリトル・ダイスは、リーダーのカベレイラとともにモーテルを襲撃し、初めて人を殺した。70年代、リトル・ダイスは街のギャング・リーダーとなる。町にはドラッグが蔓延し、ギャング団は麻薬ビジネスの組織を立ち上げて大金を稼いでいた。そして80年代、ひとつの事件から、神の街は熾烈な闘争へと突入していく。
この映画を観た人の多くが思い浮かべるキーワードはおそらく「ペキンパー」「暴力」「深作欣二」「無邪気」「タランティーノ」「バトル・ロワイヤル」などだろう。
貧困のなかで若者たちが衝突し、殺し合い、そしてその殺し合いが連鎖し、次の世代へ受け継がれていく……こりゃーどう考えても「仁義なき戦い」。原作が実話をもとにしていることまでいっしょ。焼け跡の闇の奥からはじけ出てくる広島やくざと、神の街のチンピラたちの姿は、どうしたってオーバーラップする。堕ちていく男にどうしようもなく尽くしてしまう女の強さと弱さ、権威としての“大人”の不在など、国家が疲弊している時代のアンダーグラウンドは、やはり似てしまうものらしい。
それにしても構成はタランティーノばりにしゃれている。時制を前後させ、チンピラひとり一人をえぐるように描くテクニックはまるで「木更津キャッツアイ」(笑)。失礼な言い方になるけれど、まるでブラジル映画とは思えないほどだ。今さらだが、もう製作国でその映画を判断することなど出来はしない地点に世界の映画界は到達したと再確認。2003年のわたしのベストワン。ぜひ。