ハーパー・リー原作 ロバート・マリガン監督
年末に読んでいた本の登場人物が、黒人として気持ちが落ちこんだときに「アラバマ物語」を読む設定になっていた。それでは、と今年の一本目にこの映画を選択。米国映画協会が選定した映画ヒーローのトップに、グレゴリー・ペック演ずる主人公のアティカス・フィンチ弁護士が輝くぐらいアメリカでは名作扱いされている。だからわたしは「黒人の冤罪をペックが晴らしてめでたしめでたしな映画だろ?」と思っていた。いやーしかし違った。なめてて悪かった。
「ものまね鳥を殺すために」という原題が秘める絶望と希望。すごい映画だ。主人公の娘の視点で語られるストーリーは、ハーパー・リーの子ども時代の思い出がもとになっている。彼女と共に冒険する少年のモデルはなんとトルーマン・カポーティ。その縁でリーはあの「冷血」の取材にも同行している。色々な意味で、深い映画だったのだ。なめてて悪かった。
06年12月14日付事務職員部報「人確法」より。