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……里親を困らせるために瑠璃は盲腸を装い、救急ヘリを呼ぶまでの騒ぎになる。上空で露悪的に仮病であることを明かす瑠璃に、怒るかと思えた勇造の妻(倍賞美津子)は瑠璃を抱き寄せる。
「よかった」
と。問題はここからだ。もうワンステップ、このドラマは瑠璃にこんなセリフを言わせるのである。
「どんなに小さなことだって、小さい島だと大ごとになるとでも言いたいんでしょ!?」
うまい。大人の欺瞞に常に傷つけられてきた存在であることをここで再認識させ、そして工事現場のシーンにつなげるのだ。泣かせるよなぁ。もうひとつの彼女の名セリフは
「あたしは、本当にさみしいってどんなことか知ってる。」
効きますわこりゃ。
鳩海島の現状は日本の縮図になっている。少子化が極限まですすむとその土地から学校が消え失せ、コミュニティ自体が立ちゆかなくなるのだ。だが、里子をとるという禁じ手(国家レベルでいえば移民受け入れか)まで使い、地域エゴを優先させることが許されるのか……実話だという原作もふくめて、作り手はその迷いから目を背けていない。南の島の美しさでつい忘れそうになるが、これは全国どこででもありうる話なのだし。
ドラマのサイドストーリーに見えて、実はドラマ自体をひっぱっているのは竹野内豊がなぜ鳩海島に来たかの謎だ。自分の過去を語ろうとして緒形拳にさえぎられる、そのわずか一回だけ竹野内は涙を見せる。さえぎる言葉は「瑠璃の前から、だまっていなくなるようなことはしないと約束してほしい」だった。
基本となっているのは緒形拳と成海璃子の情愛だが、竹野内豊と璃子のラブストーリーがもうひとつの核になっていることがここで理解できる。実は美容師だった竹野内が砂浜で瑠璃の髪をカットしてあげるシーンはため息がでるほど美しい。
だから瑠璃の恋愛対象が神木隆之介に変更されてしまったスペシャル「初恋」はいまひとつ冴えない出来になっている。竹野内豊の不在は痛かった。
それどころか緒形拳の死によって、もう「瑠璃の島」の続篇がつくられる可能性はまったく無くなってしまったのだ。でも、緒形拳の柩に竹野内が寄り添っているニュース映像をみたり、きっとお別れの会には成海璃子も出席するであろうことを考えるとそれだけで泣けてくる。続篇は、わたしたち視聴者が心のなかでつくりあげることができるわけだ。まぶたが腫れることを覚悟で、ぜひお試しを(といっても仲間うちで観てなかったのはわたしだけだったけど)。