事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

わたし怒ってます~阿久根PART17「リコール」

2010-08-19 | 公務員

PART16「旧制度」はこちら。

「阿久根を正常に戻して」市長暴走に市民決起

 議会を招集せずに専決処分を繰り返すなど異例の市政運営を続ける鹿児島県阿久根市の竹原信一市長に対し、住民らが16日、リコール(解職請求)運動に乗り出した。署名を集める「受任者」は目標を大幅に上回っており、住民投票を経て市長選になれば、昨年の出直し市議選、市長選に続いて市長絡みで3度目の選挙になる。市民からは「今度こそ市を活性化してくれる人を選びたい」といった声が上がった。

 「市長は市議会を無視して自分の好き勝手に専決処分を繰り返しており、世間の笑いもの。もっと堂々と自分のやっていることを説明してほしかった」。市内のある主婦(60)はこう話した。「今度こそ寂れてしまった阿久根を元気にしてくれる人に市長をやってもらいたい」

 市内で不動産業を営む浜崎充伸さん(70)は「議会制民主主義で、本来は議会が不信任案を出すべきだが、それでは昨年(の市長選)と同じ結果になる。リコールは異常な事態。恥ずかしいと思うが、阿久根を正常に戻すためには仕方がない」と強調した。

 これに対し、阿久根市の肥薩おれんじ鉄道・阿久根駅近くの商店街で、自営業女性(67)は「低所得者を助ける市長の政策に大いに賛成。市長が議会を開かないのも市民のための議案をすべて否決してしまうから。
市民が一番市長を理解してあげるべきなのにリコールだなんて情けない」と市長を擁護する。

 最近になって竹原市長支持をやめたという同市の会社員男性(60)は「市長は市民の方を見ていない気がする。リコールは支持するが、元のなれ合いの行政に逆戻りも困る。誰が対抗馬になるのかを見てから判断したい」と話した。

 一方、市議会では浜之上大成議長が16日午前、記者会見を開き、「市民に市長の解職を委ねる形になった責任は私たち議会にもある。ただ、竹原市長が3月定例会に出席していればこういう状況にはならなかった」と話した。

 市長を支持する石沢正彰市議は「リコール運動は、市の既得権益を持っていた人が裏で動き回っているだけ。運動は住民投票で挫折するだろう。市長の功績を評価する意見は根強い」と自信を見せた。

(2010年8月16日  読売新聞)

……この事態が、市議会にも責任があるとするのは確実だ。その認識なしに、市長を解職して快哉を叫んでいるようでは先行きは暗い。出直し市長選になることを市長側は想定しているはずだし、問題はその先にあるからだ。

 さて、遠く東北から見ていると現状を肌で感じることはできないが、竹原市長が大嫌いなマスコミはこんな報道もしている。

阿久根リコール署名集め希望者、目標の2倍超

 阿久根市長リコール委員会によると、受任者を希望する人は、当初目標の200人に対し、現在520人に達している。

 5月29日に運動開始を表明した直後に100人を超える希望者があり、400人に上方修正。今月2日に元愛媛県警巡査部長、仙波敏郎氏が専決処分で副市長に就任した後から問い合わせが多くなり、それまでの2倍のペースで希望者が増えたという。川原慎一委員長は「市民の多くが議会に諮らないままの副市長就任を違法と認識した結果ではないか」と話す。

 署名の目標は有権者の約4割にあたる8000人。受任者1人当たり16人集めれば達成できる計算だ。竹原市長が一騎打ちとなった昨年5月の出直し市長選で獲得したのは、8449票(投票率82.59%)だった。

(2010年8月16日 読売新聞)

……やはりリコールの成立は確実。というか、ここまで無茶な市政をやっておいて成立しないとすれば日本の民主主義とはなんだということだが。

 支持者の思いもわかる。「既得権益」というフレーズこそ、阿久根をここまで混乱に陥れた元凶で、竹原支持のバックボーンになっている。しかし歴史を思い起こしてほしい。ドイツにおけるナチス台頭の原動力もまた、貧困対策を掲げた彼らに国民が熱狂したことが背景だったではないか。

 確かに竹原市長のやり方は喝采を浴びる要素が多くある。しかし、ここで踏んばって『民主主義ってのはめんどくさいもの』という認識を捨て去らないようにしないと、この国もいつか来た道を歩んでしまう。

 阿久根をとりあげる際に、まさか「既得権益」「ナチス」「民主主義」なんてことまで考えるとは思いもしなかった。それほどに、今回の闇は深い。そして、これは地方公務員だけが感じることかもしれないが、「これだから地方になんか任せられないんだ」という霞ヶ関の高笑いが聞こえるのがどうにも。

PART18「異動」につづく

コメント
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