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【専決処分】
地方議会はその地区で唯一の立法機関だが、常時開催されていないため、地方自治法179条は、議会が議決すべき事案を、首長が議会に代わって決めることができると規定。
(1)出席議員が定足数に満たず議会が成立しない
(2)緊急を要し議会を招集する時間的余裕がない
(3)議決すべき事案を議会が議決をしない
などの場合に限り、議会に諮らず条例を定め、予算を決めることができる。首長は専決処分した事案を次の議会で報告、承認を求めなければならない。
阿久根市長 専決処分で副市長を選任
鹿児島県阿久根市の竹原信一市長は25日、愛媛県警の裏金問題を内部告発した元巡査部長の仙波敏郎氏(61)を、専決処分で副市長に選任した。
市長は議会を開かず専決処分を続けているが、副市町村長の選任について、地方自治法は「議会の同意を得て選任する」と規定。今回の案件は専決処分の対象外とされており、選任は論議を呼びそうだ。一方、仙波氏は毎日新聞に対し、竹原市長に議会を開くよう求めるなど、市長に是々非々の構えで対応する考えを示した。
仙波氏は愛媛県警地域課鉄道警察隊の巡査部長だった05年、県警の裏金問題を内部告発。報復人事で精神的苦痛を受けたとして提訴し、08年、県に100万円を支払うよう命じる高松高裁判決が確定した。09年春に定年退職後は、全国で裏金問題を告発する講演活動を続けている。
仙波氏によると、7月11日に群馬県内で竹原市長と会い、就任要請を受けた。裏金問題の追及などを評価した様子だったという。仙波氏は31日に阿久根入りし、8月2日に就任会見を開く予定だ。
【馬場茂、福岡静哉】7月25日 毎日新聞
「日本の警察」シリーズ、特に北海道警の稲葉事件関連でお送りしたように、警察の裏金に関する闇は深い。巡査部長として内部告発した仙波氏の勇気は素直に賞賛できる。ただ、是々非々の対応が竹原市長に対してできるかは微妙なところではないだろうか。
竹原市長としては、不在の教育長の代理として自前で職員を採用したのと同様の措置だと考えているに違いないし、行政というものへの嫌悪感を共有できる人材として一本釣りしたはず。
副市長として、しかしここは考えどころではないか。一種の正義感から就任要請を受諾したのだとしても、その過程が“専決処分”であり、およそ法の精神から外れている。そんな位置から、はたしてどれだけのことができるだろう。
竹原市長への熱狂は(わたしのブログへの投稿でもおわかりのように)、彼を“支持”しているのではなく、単に“溜飲を下げたい”層のものなのに。それに第一、この案件を竹原市長が議会に『承認を求める』かすら危ういではないか。
PART16「旧制度」につづく。