1928年、サンフランシスコ。ピンカートン探偵社を辞め、作家として糊口をしのいでいるダシール・ハメットのもとに昔の同僚がやってきた。腐敗した市政浄化のための調査に力を貸してほしいというのだが、その直後、彼は無残な死体となって発見される。はたして街を牛耳るギャングの仕業か?旧友殺しの犯人探しに乗り出したハメットの前に、やがて妖しい女の影が…
(「BOOK」データベースより)
職業としての探偵を経てミステリ作家になった共通の過去もあってか、ゴアズのハメットへの傾倒は相当なものだ。「スペード&アーチャー探偵事務所」と「マルタの鷹」の相関もすごかったけれど、タイトルもそのものズバリの「ハメット」を再読すると、魔都サンフランシスコの描き方など、ハメットの世界がみごとに展開されている。彼の事件に対する苦悩と創作の呻吟がクロスするあたりはハメットに淫しているゴアズならではの技。
関係ないけどウチの学校のALTはチャイニーズアメリカンで
「すると鉄道建設のためにきみの先祖はアメリカに移民してきたのかな」
「まさしく」
ということなので、彼のおじいさんは二十世紀初頭の西海岸の魅力と、同時に移民としての屈辱を味わったのだろう。「ハメット」の世界。まさしく。