事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

またまたまた赤ひげ

2015-10-10 | 邦画

PART3はこちら

善をなすことにおいてこの映画で赤ひげと佐八は双璧。赤ひげは強い信念で貧困と無知に打ち勝とうとする強い人物だが、佐八は違う。あることのために妻を亡くしたので、施しは妻への供養なのだと語る。

そんな佐八の臨終に、保本はようやく死の重み、崇高さを感じとる。赤ひげはほとんど弱点を見せない超人なので、佐八と合わせ鏡のようになっている。

亡くなった妻を演じた桑野みゆきは、松竹の看板女優を黒澤が借り受けた形。大島渚の「青春残酷物語」などで有名。可憐で、あわれな女性の役が似合う。

療養所の患者や長屋の住人として東野英治郎、左卜全など、黒澤組が登場してうれしい。特に、三井弘次の酔っ払い演技は絶品。このシーンだけでも金を払う価値はあった。
 
◆「おとよ」
岡場所に往診に出た赤ひげは、身も心も傷ついたおとよという少女(二木てるみ)を療養所に連れ帰る。診療をまかされた保本だったが、彼女はどんな治療も受け付けない。しかし、献身的な治療がつづくうちに……

……二木てるみが天才子役だと言われていた意味がよーくわかりました。世をすねた表情から、次第に保本になじんでいく過程が絶妙。このパートは、許嫁に裏切られ、療養所と赤ひげに反抗、反発していた保本と、療養所にしのびこむ子どものこそ泥(頭師佳孝)を思いやるまでになるおとよが合わせ鏡になっている。ふたりの成長物語。

◆「長次」
 そのこそ泥、長次はおとよに施しをうけ、仲良くなっている。しかしある日「家族みんなで、暑くも寒くもない西の方に行く」と言って去る。観客はもちろんその意味をさとるが、おとよは子どもなのでわからない。以下次号

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