事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

お仕事小説その4「あぽやん」 新野剛志著 文春文庫

2015-10-21 | 社会・経済

その3「原発ホワイトアウト」はこちら

某JALじゃない航空会社に勤務していた女性を妻にしていながら、わたしは飛行機が苦手。これから飛び立とうというときに飛び交う業務連絡が苦手だ。

「×××はアームド」

おいおい何がarmed(武装した)なの?これから何が始まるの!と動揺する(実際にはドアモードのこと)。

それよりなによりわたしは空港が苦手だ。特に国際空港のルールがさっぱりわからない。いつかきっと大きな失敗をしてしまうであろう予感が、わたしを海外旅行から遠ざけています。

そんな客はきっと多いのだと思う。この「あぽやん」の主人公は、旅行会社(モデルは歴然とJALパック)の社員で、成田空港で旅客の見送り業務にたずさわっている。なぜ「あぽ」かというと、この業界はなんでもスリーレターであらわすのが通例でエアポートが「APO」なので、空港勤務者をそう呼んでいる。

他にもアームド以上の隠語がさく裂しているので紹介しよう。

PPT……パスポート。これはまだわかりやすい。

ATB……エア・ターンバック。飛行機が空中で引き返すこと。わたしのような元ゲーム好きからすると、アクティブ・タイム・バトルなのだが。

GTB……ということでこれはプリンススカイラインではなくてグラウンド・ターンバック。地上で引き返すこと。
他にもわけのわからないフレーズが満載だ。ディレイやエプロンは一般化しているが、

go show」(予約なしに空港に来て乗ろうとすること。旅行会社の天敵)

may return」飛び立った空港に引き返すかもしれない状態。

ああやっぱり空港はわけがわからない。

華やかに見える成田空港勤務なのに、あぽやんは一種の差別語で、他のセクションから文字通り「飛ばされた」人間の吹き溜まりということになっている。しかし……以下次号

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