ブルーモーメント blue moment は、夜明け前と日没後のわずかな隙に訪れる、辺り一面が青い光に照らされてみえる現象である。
以前の記事で「マジックアワー」について記したことがあるが、マジックアワーは、太陽高度(太陽の中心位置と水平線・地平線との角度)が6度~-6度にある状態のこと。具体的には、日の出・日の入り前後30分ほどの時間帯を指し、空がピンク色、オレンジ色、金色、紫色、紺色、青色など徐々に染まり方が変わり、風景が最も美しく撮影できることからそう呼ばれている。太陽高度が0度~-6度で太陽が見えていない時間は「ブルーアワー」と呼ばれ、具体的には、日の出前30分、日の入り後30分ほどの時間帯を指し、空が濃い青色に染まるが、天気が良く空気が澄んでいると波長の短い青い光が広範囲に散乱し、日の出の40分前頃から約10分間と、日の入り30分後からの約10分間は青い光で包まれて幻想的な光景が広がる。このわずかな時間がブルーモーメントである。
今年は、まだ1月4日の「しぶんぎざ流星群と冬の大三角」と1月8日の「寄せ氷」しか撮っておらず、一カ月以上何も撮っていない。理由は幾つかある。1つは、気象条件が合わず撮りたいと思う光景に出会えないのである。野山に出掛ければ、渓流の氷の造形等この時期ならではの芸術的な光景には出会えるし、他の被写体も多くあるにはあるが、今一つ踏み出せないのは、やはり依然猛威を振るう新型コロナウイルスへの感染防止の観点からである。
私が住む東京都内の新規感染者数は、2月6日~12日の一週間で合計11万4453人。前週(1月30日~2月5日)の合計12万5266人より減ってはいるものの、最も多い日では、1万8000人を超えている。家族4人ともに十分に感染対策を行って毎日仕事で外出しているが、この現状では感染への危険度が極めて高いと言える。一人が感染すれば家庭内感染は免れない。まずは自分が感染源で家族に広げないよう、休日は出来る限り自宅内で過ごすようにするべきという思いから、趣味である写真撮影は控えるようにしている。写真撮影は単独で誰にも会わずに行うので全く問題ないのとは思うが、万が一感染した時に「趣味=遊び」を原因にしたくない。
3月31日から二泊三日でヤエヤマヒメボタルをメインに、様々な昆虫の観察と撮影をするために、一人で石垣島と西表島へ出掛けることに決定しているので、感染後の後遺症を考えればそれまでは元気で過ごしたいという事もある。また、一ヶ月以上も休日を自宅で過ごしていると、出無精になったことも理由に挙げられる。平日は毎朝4時半に家を出るが、起きるのが辛い。休みの日くらいは、せめて6時半までは寝ていたい。前日から車中泊で出掛けてしまえば良いが、心にブレーキをかけてしまう今日この頃なのである。
そんな理由から新作を掲載することができないため、今回も蔵出しを含む過去撮影の写真を集めてまとめた。前記事では「夜明け」と題してマジックアワーの時間帯に写した2枚を掲載したが、今回は、冬の夜明け前ならではブルーモーメントばかりを掲載した。
塵一つない澄んだ空気と快晴の空。夜明けが近づき星の瞬きが見えなくなると、全てが青い光で包まれる。わずか10分ほどの光景である。そこに暖かな色彩はない。数分もすれば、空はピンクやオレンジ色に染まりだし、地上は生を受けたかのように様々な色彩が蘇るが、このブルーモーメント-青の瞬間-は「静」の世界。誤魔化しは通用せず、愚かな自分が映る。自然の言葉を心で素直に聞き、自己と対峙し内観できる貴重な時間である。(とは言え、今はそれも叶わず飼い猫5匹と戯れる休日である。)
以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。
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