ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

ホソミモリトンボの交尾態

2024-08-11 18:41:51 | トンボ/エゾトンボ科

 ホソミモリトンボの交尾態を撮影することができた。

 ホソミモリトンボの生息地には、今季4回目、昨年から合わせて8回目の訪問。この日は朝6時から待機した。天候は晴れで気温は18℃。7時過ぎにオスが1頭飛来したが、すぐに遠くへ飛んで行ってしまった。その後、8時半頃からは厚い雲がかかり、太陽が照らないと寒いほどの状況が1時間ほど続き、その間はまったく飛来することはなかった。晴れ間が広がってからも、時折、雲に太陽が隠れ、朝から快晴の日よりも気温の上昇が穏やかであった。
 今回の大きな目標は、ホソミモリトンボの交尾態を撮ることであった。そのための方法としては2つ。1つは、周囲の木々を隈なく見て回り、枝に止まっているところを探す。もう1つは、産卵に来たメスをオスが捉えた後、タンデムとなって飛んでいくところを目で追いながら、止まった枝を見極めるというものである。様々な枝を時間をおいて見て回ったが、見つけることはなかなか難しく、結局、タンデム飛翔を追うことにした。
 まず、産卵のために飛来するメスを待つ必要がある。毎回、必ず産卵する場所で待機するが、前日にゲリラ雷雨があったようで、湿原の中を流れる細流は、いつもは草が覆いかぶさって流れが見えないが、この日は草が流れの方向に倒れていた。産卵に来たメスは身を隠すように細流の茂みに潜るが、今回は、身を隠せないのである。それを分かっているのだろうか、いつもの産卵場所には一向に飛んでこない。
 オスもほとんど飛来することなく、遠くで探雌飛翔している。産卵場所はいくつもあり、この日の産卵場所はここだということをオスも分かっているのだろう。10時頃からタンデムとなって飛翔するペアが現れた。しかしながら、かなり遠くであり、目で追ってもすぐに見失ってしまう。そんなことを4回繰り返した。
 これまでは、いつも正午頃に引き上げていたが、今回は粘ることにした。すると5回目のチャンスが訪れた。30mほど先を飛翔する小さなタンデムを追いかけ、運よく湿地に隣接する森に入って行く場所まで追うことができた。当日は知人も一緒で、持参くださった双眼鏡で止まった枝を見つけてくれた。私一人では、撮ることができなかっただろう。
 撮影できる場所からの距離は10m以上あり、老眼が進んだ肉眼ではまったく分からない。そこで、トキナー300mmにケンコーの2倍のテレプラスを付けて撮影することにした。焦点距離は600mmだが、カメラはAPS-Cであるから1.6倍になる。つまり35mm換算で960mmの超望遠での撮影である。以前にキリシマミドリシジミを撮ったときと同じように、背面のモニターで拡大表示してピントを合わせ、カメラブレを防ぐためにレリーズでシャッターを切った。
 掲載した写真は、トリミングもしており解像度に難があるが、これで、成虫においては羽化を除いて多くの生態写真を残すことができ、一段落である。

 この日は、正午になっても気温は21℃で、時折、太陽光が雲で遮られる状況。午後になっても、しばしばオスが飛来し、湿地上で探雌飛翔を行っていた。13時を過ぎた頃、こちらから比較的近い場所で ホバリングするオスがいた。6mほどの範囲において、場所を変えながらホバリングするが、長いと同じ位置で10秒以上も静止飛翔していた。これほど長いホバリングを見たのは初めてである。これは、個体差なのか時期的なものか、あるいはこの日の天候、気温が関係したのかは分からない。

 以下には、今回撮影したホソミモリトンボの交尾態とホバリングの写真を掲載した。交尾態はトリミングもしており解像度に難があるが、これで、成虫においては羽化を除いて多くの生態写真を残すことができ、一段落である。後日、本種についての観察内容とそれぞれの写真をまとめて記したいと思う。

以下の掲載写真は、1920×1280ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

ホソミモリトンボの写真
ホソミモリトンボ(交尾態)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS PRO300 2X DG / プログラムAE F11 1/500秒 ISO 3200(トリミングあり)(撮影日:2024.08.10 12:57)
ホソミモリトンボの写真
ホソミモリトンボ(交尾態)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS PRO300 2X DG / プログラムAE F9.0 1/400秒 ISO 3200 +1EV(トリミングあり)(撮影日:2024.08.10 12:59)
ホソミモリトンボの写真
ホソミモリトンボ(交尾態)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS PRO300 2X DG / プログラムAE F10 1/400秒 3200 +1EV(トリミングあり)(撮影日:2024.08.10 13:02)
ホソミモリトンボの写真
ホソミモリトンボ(ホバリング)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / プログラムAE F5.0 1/500秒 ISO 400 -1/3EV(撮影日:2024.08.10 13:21)
ホソミモリトンボの写真
ホソミモリトンボ(ホバリング)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / プログラムAE F5.0 1/500秒 ISO 400 -1/3EV(撮影日:2024.08.10 13:23)
ホソミモリトンボの写真
ホソミモリトンボ(ホバリング)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / プログラムAE F5.0 1/500秒 ISO 400 -1/3EV(撮影日:2024.08.10 13:23)
ホソミモリトンボの写真
ホソミモリトンボ(ホバリング)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / プログラムAE F5.0 1/500秒 ISO 400 -1/3EV(撮影日:2024.08.10 13:24)
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