アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma Selys, 1883 は、ヤンマ科アオヤンマ属で、日本のアオヤンマ属は、アオヤンマとネアカヨシヤンマの2種からなる。本種は、北海道から九州まで生息しているが、九州はごく一部の県でしか確認されていない。他のヤンマ類のように腹部第3節が細くならず、体形は全体がずん胴型。体色は鮮やかな青緑色をしており、ヨシ、ガマ、マコモなどの抽水植物が繁茂し、腐葉土などの堆積物が多い明るい池沼や水郷地帯の溝川に生息している。幼虫期間は1~2年(2年の方が多い)である。
アオヤンマは、天気の良い朝は、7時頃から活動を始める。池から陸地の方まで飛びまわりながら、飛んでいる小さな昆虫を捕まえての食事タイム。捕らえた虫は、池の中のアシや周りの高木の枝にも止まって食べる。時折、クモの巣からクモを捉えて食べることもある。
食事が済むと、オスはアシの間を低空飛翔し、アシの葉に翅をぶつけて、時々バサバサと音をたてながら、メスを探して飛びまわる。ホバリングは一切行わない。観察したところでは、クロスジギンヤンマのように明確な縄張りを持っているようには見えないが、オス同士が近づけば激しい空中戦を繰り広げる。
茂みの中でメスを見つけると交尾をし、連結したまま空高く舞い上がり、池の周囲の高木の枝に止まる。その後、交尾を終えたメスは、単独で産卵のために池へ戻って、アシの茂みの中へと入っていく。産卵場所の選択基準は不明だが、ある一本のアシに止まると、茎につかまりながら下方へと降りていく。そして産卵管を茎に差して産卵を開始する。産卵に集中すると、カメラを近づけても平気である。
アオヤンマは、環境省RDBには準絶滅危惧として記載されており、東京都や千葉県、埼玉県、群馬県、その他多くの県で絶滅危惧Ⅰ類に、また、神奈川県では絶滅としている。生息環境そのものの消失が主な減少の原因であるが、アメリカザリガニが侵入し増殖するに従い姿を消してしまった例も少なくない。東京都内では、多摩地域ではなく、23区内の公園で見られる。
以下の掲載写真は、横位置は1920×1280ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。
東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます