「奥四万湖の浮島」は、浮島と呼ばれてはいるが、浮いているわけではない。いわゆる中州で、通常は水上に出ているから 木も生えている。しかしながら、雪解け水等が流れ込んで水位が上がる時期は、少しばかり水没する。それが、透明度の高いコバルトブルーの湖水との対比で、このような景観になるのだ。ただし、5月の中旬頃になるとダムから放水が始まり、水位が下がると単なる中州(陸地)になってしまうから、写真のような新緑とのコラボレーションは、10日ほどしか見られないのだという。まさに「奇跡の絶景」といえるだろう。
奥四万湖を訪れたのは、この景観を撮るためである。四万川ダムの管理事務所によれば、16日に放水を始めるというから、この日が本年のラストチャンスであった。
湖の周遊道路をあちこち移動しながらロケハンするが、木立が邪魔をして撮影ポイントはわずか数か所で、しかも木立の間から狙うしかないので、訪れた撮影者の構図は、皆、同じようなものになり得る。しかしながら、光景は刻一刻と変化する。一期一会なのだ。そして、その光景を情景として捉え、心に感じたものを写真に表現することが自然風景写真の真髄である。
この日の天気はうす曇りで、光り輝く光景は期待できない。その代わりに、柔らかい光がまわって若葉そのものの美しさが際立ち、また、運良く一切波立つことのない湖面が、湖水の透明感をより一層引き出していた。その光景は、ファインダーを通してみても絵画的印象が強かった。写真は写実であり「現実を描く(写す)」ことだが、現実にあるものから美しさを見出し、「自らの目を通して何を感じたか」を描く(写す)という点では、絵画の世界の印象派(印象主義)に通じるものがあるかも知れない。
目前の「奇跡の絶景」と対峙し何枚かの写真に収めた。勿論、モネやルノワールの芸術作品の足元にも及ばないが、「奥四万湖の浮島」の魅力は伝えられるだろう。
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奥四万湖/浮島
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 0.6秒 ISO 100(撮影地:群馬県吾妻郡中之条町 2016.5.15)
奥四万湖/浮島
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 0.5秒 ISO 100(撮影地:群馬県吾妻郡中之条町 2016.5.15)
奥四万湖/浮島
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F11 0.3秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:群馬県吾妻郡中之条町 2016.5.15)
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こちらの浮島のお写真の新緑の木々と
静かな湖面の青が微妙に絡み合って(?
表現が上手にできないのですが)というか
綺麗な青から生まれ出ているような
印象をうけました。
実際に見たらこの美しさを言葉では
表せないと思います。
コメントありがとうございます。
見たことも行ったこともない美しい風景を撮りたい。
そう思って、奥四万湖に行ってきました。
湖そのもののコバルトブルーも美しいのですが、
何といっても、浮島(実際は中州)は、少しだけ水没しているために、例えようのない美しさでした。
きっと、太陽が出ていれば、また違った色彩にもなったのだと思います。