ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

印旛沼の夜明け

2021-12-13 16:57:56 | 風景写真/湖沼

 印旛沼の夜明けは、ドラマチックであった。

 印旛沼は、千葉県北部の利根川下流南岸に位置し、印西市、佐倉市、成田市、八千代市、栄町に跨る風光明媚な湖沼である。昭和27年には隣接の手賀沼とともに「県立印旛手賀自然公園」に指定されている。一時、千葉県に住んでいた45年ほど前、印旛沼近くの田んぼにヘイケボタルの観察に行ったことがあるが、それ以来の訪問で、印旛沼の光景を撮るのは勿論初めてである。
 印旛沼は、日の出の絶景スポットとして有名で、インターネット上では、印旛沼の夜明けの写真が数多く掲載されており、一度は訪れてみようと思っていた。ただし、私が撮りたい光景には条件がある。晴れていること。風がないこと。雲があること。この3つである。印旛沼は最大水深が2.5メートルと浅いため、風が無ければ水面に空が綺麗に映り込む。快晴ならば空の色だけしか映らないが、雲があることで遠近感や広がりが表現でき、南米ボリビアの「ウユニ塩湖」さながらの光景が見られるのである。天気予報やGPV気象予報等で確認すると、12日の朝は条件を満たしていた。丁度、前日から前記事に掲載した「夫婦岩」で星景を撮ることにしたので、翌朝は印旛沼に移動する 計画とした。

 午前4時に印旛沼の西側にある船戸かっぱ公園の駐車場に到着。1時間ほど車内で待機し、5時からロケハン開始。撮影場所は、駐車場から歩いて1分。すぐ隣にある「ふなー貸船店」の沼畔である。印旛沼はバス釣りが有名で、日曜日であったためか、まだ暗い早朝からボートの準備で賑わっていた。カメラマンは誰もおらず、私一人、カメラと三脚を担ぎながら申し訳ない気持ちで沼畔を行ったり来たり。とりあえず、貸しボートの店員さんや釣り客の邪魔にならず、しかもベストと思える位置に三脚を据えることにした。
 6時近くになると、白々と夜が明けてきた。見渡せば、それなりのカメラマン。20人くらいは居たであろうか。数人は橋の上にセットしていたが、ほとんどのカメラマンは、岸に寄せてあるボートの前。インターネットで検索する印旛沼の夜明けの写真を見ると、手前にボートを入れるのが定番のようであるが、人工物を一切入れないのが私流。(ブログ記事「アタテュルク騎馬像と星空」では、人工物である騎馬像が主役であるため撮影)試しに私もロケハンの時に数枚撮ってみたが、私が撮りたいのは壮大なリフレクション。ボートを写してしまうと主題がはっきりしなくなる。何故、ボートを一緒に写したがるのか私には理解できないが、それが良いと思う方々は、ボートを入れて撮れば良い。
 さて、6時。気温6℃で無風。印旛沼の夜明けは、時間の経過とともにドラマチックな光景を見せてくれた。快晴の放射冷却で冷え込んだ朝ならば、霧も発生し幻想的な光景にもなるだろうが、この朝の光景は、二度と見ることができない素晴らしい光景であると思う。
 刻々と変化する雲と色彩。濃いオレンジ色に染まった沼には、印旛沼を象徴する四角い定置網や網干し用の杭がシルエットになっており、場所を移動したり、レンズを望遠ズームに変えて様々なカットを撮ってみたが、どうしても対岸の人工物が雰囲気を壊してしまう。今回は印旛沼らしさを残しつつ、ドラマチックで壮大なリフレクションを表現するために17mmという広角で撮影した写真を掲載した。
 日の出は6時40分。最後の一枚を撮り終える頃には、ダイナミックな色彩は褪せて普通の朝が訪れた。釣り船が出るのは7時のようで、時報と共に多くの釣り客が印旛沼へと出て行った。

 余談であるが、前記事での撮影時に写せなかった「ふたご座流星群」は、14日未明(13日深夜過ぎ)に月が沈んでから明け方にかけての時間帯に、1時間あたり40~50個ほどの流星が出現すると予想されている。平日である。昨年は、雲で覆われ隅に1つだけ写るといった残念な結果。出勤前にどこかで撮影するという事もできなくはないが、会社員である以上、仕事が優先。今年もあきらめざるを得ない。「ふたご座流星群」は毎年必ず見られるので、定年退職後に時間が出来たらゆっくりと撮影したい。
 代わりに、もう地球には戻ってこないレナード彗星の別カットを現像し、2つ前の記事に追加掲載した。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

印旛沼の夜明けの写真
印旛沼の夜明け
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F8.0 10秒 ISO 400 -2/3EV(撮影地:千葉県 2021.12.12 6:05)
印旛沼の夜明けの写真
印旛沼の夜明け
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F11 1/4秒 ISO 100(撮影地:千葉県 2021.12.12 6:44)
印旛沼の夜明けの写真
印旛沼の夜明け
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F11 1/8秒 ISO 100(撮影地:千葉県 2021.12.12 6:44)
印旛沼の夜明けの写真
印旛沼の夜明け
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F11 1/8秒 ISO 100(撮影地:千葉県 2021.12.12 6:48)
印旛沼の日の出の写真
印旛沼の日の出
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F11 1/8秒 ISO 100V(撮影地:千葉県 2021.12.12 6:49)

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2021 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.



最新の画像もっと見る

コメントを投稿