ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

冬の精進湖 寄せ氷と子抱き逆さ富士

2021-01-11 15:38:10 | 風景写真/富士山

 冬の精進湖と子抱き逆さ富士が、本年最初の撮影である。

 「精進湖」は、山梨県富士河口湖町にあり、湖水面積0.5平方kmと富士五湖と呼ばれる5つの湖の中で最も小さいが、明治28年(1895)、日本に帰化した英国人スチュワート・ホイットウォーズ(星野芳春)が富士山を最も美しく眺められる地を求めて、1年がかりで富士山麓を巡り、ようやくたどり着いた地と言われている。現在、富士山世界文化遺産の構成資産であり、精進湖から望む富士山は、手前にある小さな山(大室山)が子供のように見えることから「子抱き富士」と呼ばれ、また定番の「逆さ富士」も撮影できることで知られている。

 正月三が日は、自宅で自粛。新型コロナウイルスの感染者が多くなり、1月7日には東京都で2,447人確認され、同時に政府から感染拡大防止のため一都三県に2度目の緊急事態宣言が発出された。9~11日の三連休は、昨年末の寒波を超える強烈寒波の襲来で、富山市内では積雪が35年ぶりに100cmを超えるなど各地で記録的大雪となった。被害に遭われている方々には心よりお見舞い申し上げたい。こんな時に単なる趣味の写真撮影で出かけるのは「自粛警察」や「不謹慎狩り」の標的にされるかも知れないが、誰とも接触することなく単独で今年最初の撮影に行ってきた。
 9日(土)は、午後12時に自宅を出発し長野県の「諏訪湖」へ。「寄せ氷」の光景を期待したが、「しぶき氷」は見られたものの湖面の氷はわずかで「寄せ氷」になるには、まだまだ日数を要する感じであった。その光景は、今月下旬頃に再び挑戦することとし、15時に現地を引き上げ帰路に就いた。
  翌10日(日)関東は快晴無風で乾燥。計画では、前日に諏訪湖に寄ってから、日本のウユニ塩湖と呼ばれる和歌山県の天神崎(昨年の10月24日に初訪問)で夕景、串本の樫野崎灯台で星景を撮る予定であったが、風速5mとの予報で諦めた。代わりに、今まで撮っていない星景の場所はないかと思いを巡らし、静岡県の田貫湖に決定した。その地域の気象庁天気予報は晴れの一日で、GPV気象予報でも夜20時頃までは雲一つない。月も出ない。冬の星景を撮るには好条件の日和である。その写真は、次の記事に掲載したいと思う。

 昨年12月、遺憾であった「ふたご座流星群」の遠征時と同じように、今回も目的地である田貫湖に向かう途中で別の湖に立ち寄った。前回は「山中湖」だったが、今回は「精進湖」である。雲がなく乾燥もしているので夕焼けは全く期待できないが、無風に近いということで「冬の精進湖と子抱き逆さ富士」のイメージトレーニングをしながら現地に向かった。
 精進湖には15時半に到着。湖岸には先客のカメラマンが2人。後に3名ほど増えたが、やはり自粛なのだろうか少ない。精進湖では、2017年1月29日に朝景を、同年12月16日には星空(いずれも失敗作)を撮っており、どちらの時も湖岸にカメラマンが大勢集まっていたが、今回は、ソーシャルディスタンスも十分すぎるほどである。
 気温マイナス2℃。無風なので体感的にはそれほど寒さは感じない。それよりも、富士山に雪がほとんどないことに震えた。見る方向によってはほとんどない状況だ。この時期に夏のような富士の光景を見るのは初めてである。ネット上には、不穏な書き込みが溢れており、地震学者も「1200℃になるといわれる地中のマグマが活動を活発化させ、富士山の地表温度が上昇。わずかに降った雨も、雪になる前に溶けている可能性がある。」と言う。昨年は、精進湖の水位が上昇し「幻の第六湖」が出現するなど、異常な現象が続いているが、富士山に雪がない最大の原因は、降水量の少なさのようだ。富士山の周囲にある雨量計の統計をみると、過去60日間の降水量が平年と比べて90%以上も少なくなっているところがほとんどとなっている。これも、異常と言えば異常である。
  無風で逆さ富士には好条件であったが、目の前を二組のつがいの水鳥が何度も行ったり来たり。そのたびに波紋が広がって逆さ富士が崩れる。富士が夕日で赤く染まり始めた一番美しい時には、目の前で水中へジャボン。タイミングに苦労して、2時間余りの撮影で奇麗な子抱き逆さ富士が見られたのはほんの数回。チャンスは逃さず記録した。また真っ白な富士山でなければ、写真を見て「冬」と思わないかもしれないので、湖岸の氷片を入れて冬の精進湖と子抱き逆さ富士とした。
  波乱含みの2021年がスタートしたが、末広がりの富士、子抱き逆さ富士が見られたことに「こいつは春から縁起がいいわえ」と思いたい。

以下の掲載写真は、683×1024ピクセルおよび1920×1280ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

冬の精進湖の寄せ氷と子抱き逆さ富士
冬の精進湖/寄せ氷と子抱き逆さ富士
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 1/2秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:山梨県富士河口湖町 2021.1.10 16:16)
冬の精進湖の寄せ氷と子抱き逆さ富士
冬の精進湖/寄せ氷と子抱き逆さ富士
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 1.6秒 ISO 100 +1EV(撮影地:山梨県富士河口湖町 2021.1.10 16:42)
冬の精進湖の寄せ氷と子抱き逆さ富士
冬の精進湖/寄せ氷と子抱き逆さ富士
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 2.5秒 ISO 100 +1EV(撮影地:山梨県富士河口湖町 2021.1.10 16:48)
冬の精進湖の寄せ氷と子抱き逆さ富士
冬の精進湖/寄せ氷と子抱き逆さ富士
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 2.5秒 ISO 100 +1EV(撮影地:山梨県富士河口湖町 2021.1.10 16:47)
冬の精進湖の寄せ氷と子抱き逆さ富士
冬の精進湖/寄せ氷と子抱き逆さ富士
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 2秒 ISO 100 +1EV(撮影地:山梨県富士河口湖町 2021.1.10 16:56)

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